作戦開始!っと無責任に伊良湖みなみは文芸部を巻き込む。2
朝の目覚め。こんなにすっきりと起きれたのは久しぶりじゃないだろうか?
カーテンから漏れ出してくる木漏れ日は、目の横を霞め周囲に広がっていく。
いつもなら二度寝する寝起きだが、今日は1分も経たずに置き起き上げさっさと顔を洗う。
正面にはパッとしない、アホ毛を立てた男の子が写っていたがその顔に疑いの靄は掛かっていなかった。
× × ×
「おはよ」
一階に降りてきた俺だが……今日は珍しく妹がいない。いるのは母だけで父はもう仕事に行ってしまったようだ。てかなんで妹がいない!なんでだろか?さては父だな?まさか法に触れることをするとは。ってか保護者の誘拐は罪に問われるのか?
まあこんなこと考えていてなんだが多分妹は部活だ。決して父のせいではない。丁度この季節三年生が抜けたおかげで空気は軽く、一年生を急に後輩扱いしだすあれだからな。妹もそれに便乗しているのであろう。俺もして後輩にコテンパンにされたし。……。……。………。
懐かしいな~っとつくづく浸る俺だった。まあ一年生全員から呼び捨てで呼ばれていたけど(実話)
とはいえど、思い出には基本本編として何か思い出したくないものもついてくるのは必定。
決して部活動はいい思い出ではなかったというと嘘。俺は中学時代そこそこ友達もいたしボッチでは
なかった。
――――――でもどこか不十分なところがあって……戻りたいかそうでもないかと言われたら勿論俺は迷うことなく後者である。客観で見たら今よりはいいのであろうでも……。
結局タイムマシーンがあったって俺は何処にも戻る場所はないんだろうな。多分本質的にはそうだと思う。だってそうだったし………。
「ガチャ」
そんなことを俺が思っていた時、リビングから客間を挟んだ先にある玄関、そこから硬質な音がリビングまで響き渡っていた。
瞬間センチメタルで耳に入ってきた音に俺と母は首を145度させる。
妹だろうか?この時間っという事はつまりそういう事なんだろう。俺もそうだったしし。はっ、忘れ物取りに来てたら思いっきりバカにしてやろう。これが兄の恨み!ゲスの極みである乙女に痛い目を味合わせてやろう。小さなことでも反撃する、これ兄をやっていく上で必定!俺は不骨髄反射か如くそう思いつく。兄というのは気は長くなるものだがドンドン捻くれていくもの。しかも妹がいかにもな感じだったらもっと。
俺は母親に気付かれぬようそっと目いっぱい息を吸う。
奥から響き渡ってくる足音は何処か重い……だが俺は気にしない!こんなとこに同情なんて必要ない。気持ちなんておいてこい!兄に寝返られた俺の気持ち、受け取れ~!!!
俺は目を朝早くにも関わらずパッチリと明け力強く言葉を震わせる。
「っは何しに来たの、ささっと戻れ」
ドヤ顔で久々に恨みを返す。はッ。
「えッ!」
声が聞こえてきたのは正面ではなく少し左。今現在紅茶を優雅に飲んでいるほうだった。
母は珍しく平常心を崩している状況で俺の顔を伺う。正気か……っという顔で。
なんで妹にこの反応……って思ったけどやはりそうか。だって妹は偏差値現在69。運動もできてない上整ッ容姿だよ!兄の立場から「かわいい」っという単語だけは発していないが要するに完璧。なぜか超進学校蹴って偏差値50付近の碧海高校へと進学した兄と同様……まあ完璧という事。
……だが10秒の沈黙の後でも同と伴っていない。これはおかしい。だっていくら完ぺきと言おうが妹だよ。卵焼き食べさせてくれない妹。そんな妹が何も反論しないわけがない。俺はそこも少し楽しみながら論破しているのだが……いやそれはないだろ。いやまさか。まさか。まさか。まさかさかさま。 いや……仕事に行ったはずだ。だって社畜だもの。っと現代相田みつおな俺及び父な訳……。
――――――父!
うすうす気づいていたのは内緒であるが、まさか、まさかっと思い俺はまた145度首を振り返ると……
「まさかのマジブラック社畜朝帰り社畜かよ!!」
社畜の二重活用。
そこにはレットブル片手にパンダのようなクマを作った父が立っていた。
んッとですね、今のこれが修羅場というやつですね。俺は脳内の辞書を書き換える……前にこの処理の方が優先だろう。
俺はわざとらしく「しまった」っと小言を吐きつつこめかみに手をやる。
そうするとしばらくたった後、震えそうな声色で少し父は空気を細めて……。
「だって社畜だもの」
「まさかの相田みつおッ!」
社畜は行き過ぎると相田みつお脳になってしまうみたい。
こんな父を見ていると本当に働きたくなくなるよ……。
ほんと父大丈夫かよ………。朝帰りって……大変だな~っと思いながらもその単語がなんかエロイなんて思ってしまっているのは俺以外の高校生みんなそうだろう。
俺は頭の中まっピンクの中、父は俺位の罵倒などどうともとらえていななく寝室のある二階へと歩き出していく。だってただでさえきつい俺に対する罵倒がかわいい程度だと父は言っていた。そしてまた父曰く、「妹が俺の上司だったら俺が死んで罪を着せる……」っと言っていたほど。
怖いっすまじ妹さん。社会より社会なんて、これじゃ社会が家庭の縮図になる時が近い。
にしてもあの背中はほんと哀れで愁哀がありほんと俺からも溜息しか出ない。その背中は曇り空からわずかに入り込んでくる光に目もくれず階段を上っていく。
俺はこんな姿を見てしまえば本当に本当に……。
「ごめん……」
そんな溜息のような言葉しか出なかった。まあもっと気が利いた謝りをしといたほうがいいと思っている首謀者であったが妹の話をしたらドーコン(ドーターズコンプレックス)である父に跳ね飛ばされるか。ほんとあんだけされても未だにドーコンなだと考えると父ってすごいな。
こんな関心はともかく、父は振り向くことなく階段を上っていった。
そんな父と入れ替わるように今度は優雅さ。
母が珍しく疑問の目線を向けてくる。
なんか拍子抜けるな、っと思っていながらもぼーっとしていると母がいきなり一言。
「お父さんMなのかしら」
「ほんと違うから!……ってそうかな?」
まあ認めざるを得ない。まあそうだよな。あんな娘をもってながら娘を愛しているのだから。
そんなドM一歩手前サラブレットな俺は、朝ごはん代わりのロールケーキを直接食べず、分解し一枚にしてから横にして食べるのであった。
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