ずっと横目で見えていた筈であった世界は這ったりで……3

 月日は意外に進んでいくのかもしれない。今はは全く話がまとまらなかったと作者が頭を抱えている、あの日から2日たった月曜日の授業後、教室。

 「あー眠い。部活行こ」っとかいって部活にぼっちで行く時間なのだが今はそうともいかない……。

 目の前には目をパッチリとさせた田舎の高校では珍しいというかなんというか。そんな茶がかった蜜柑色でボブヘヤー。そんな髪をふわりとさせた伊良湖が俺の前に立っていた。


 「え――――――とですね?」


 少しの沈黙の後、俺が切り裂くように空気を吐く。周りではいつもの通り女子が多くまた「今日は……カラオケか」っと話していた。何この市?陽キャに厳しいの?確かに学校評価サイトでは陰キャが多いとか書かれてたけど……。ってそんなことないもん!僕たち女子とおしゃべりできないだけだもん!

 ……。まぁ確かにそれが大半で陽キャ組の中で男子が2人しかいないという事はそうゆう事なんだろう。嗚呼……………辛辣。誰か俺(俺達)の人生飾って!

 っと俺は辺りのほとんど男子を貶しつつ、困惑の目で伊良湖を見ていた。……。……。……。かわいい。

 俺の視線に気づいてしまったらしい。伊良湖は頬を赤面させると「それでさ」っと謎の接続詩を使い、周りに聞こえないように配慮しながら端的に言葉を紡いだ。


 「少し来て」


透き通った可愛いらしい声は教室全中に響き渡った。

その言葉に俺どころか教室に残った10数名は動揺してし待っていて「何!告白⁈」っと騒いでしまう始末。まあ俺を確認した瞬間「あ……(察し)」「カツアゲかよ……」っとうなだれてしままったのですけどね!いや死ねよ!いや修正。タヒねよ!………これはいけない。しっかり罪を認識しなさい。by尊師。

 俺の個人情報が開示されないか心配だが気にしないでおこう。

 話は戻ってこんな時にヤリチンが存在していたら多少楽なのだろうが今日、ヤリチンはサッカー部の部活に行ってしまった。……やっぱタヒねよ!ほんと心底使えない奴だよ。がっかりだよ!

 俺はカツカツ鳴るブロック長のタイルが張られた底面の教室を出ると、目の前にはくすんだ抹茶色の廊下が広がった。

 吸い上げると広がる柑橘の香り。今日はこの香りに踊らされずに済みそうだ。

 俺は先に歩み出していた伊良湖の背中を追う。 

 一歩、また一歩と進むごととに伊良湖の生き生きしている姿に活力をもらっていた自分がいた。

 その背中は俺と同じ小さいものであったが……日食のあふれ出てくるプロミネンスの如く、今日の伊良湖はどこか目を細めてしまう程眩しかった………。

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