ずっと横目で見えていた筈であった世界は這ったりで……2
俺はヤリチンを横目にコメダスペシャルほ啜る。sssssssssssssssssss。
ほんのり温まった俺の胸は何処に向いているのだろうか?まあ目の前なんだろうけどさ。
で……その目の前はというとなぜか目をキラキラさせながらゆで卵を食べている。ちなみに俺はゆで卵は塩で食べる派だ。
そのヤリチンの目は俺が深夜にラブコメをブルーライトを浴びるかの如視聴している時張りの輝く瞳を、俺の方向に向けながら高めな声で呟いた。
「あっ……千歳先輩じゃん」
ヤリチンの目線の先、を振り向いたものの居るのは俺とヤリチンと千歳先輩の年齢を×2ぐらいした御老人方。
その刹那、左から心を響かせるような空気が運ばれてきた。
「お待たせいたしました。シロノワールです」
凛とした涼し気な声……。とはどこか違い少し温かみをはらんだ上品な声だった。この声が耳にどうも馴染まない……。てかそもそも筈初対面だったわ。
見上げるとそこには、艶やかな長い黒髪は後ろに一つで結ばれていてエプロン姿、朗らかなベールをまとった千歳先輩がいた。
でもまさかこんなところでアルバイトしてるとは意外だ。てっきり風合いからどこかのお嬢様だと思っていたが。
ここら田舎の公立高校生はアルバイトとは夢に見るものであって実行するものではない。見つかったら停学だよ停学!嗚呼………新しいXperia欲しい。
そんなガジェオタになりかけている俺は置いておいて、千歳先輩は少し申し訳なさそうに疑問を問いかけていった。
「あの~どちら様でしょうか?」
「高橋翔です」
「えっ佐藤健って誰⁈」
まさかの事実。ごめんよ佐藤君。まぁ君が誰かは知らんがな。
そんな俺に雑巾を貸してくれた善良な民は置いておき、ヤリチンは千歳先輩に向かって抗議した。
「えっ俺の名前覚えてないですか?同じ中学ですよ!」
「え、そうなのねこんにちわ。お名前はなんて言いましたっけ?」
「佐藤健です」
「結局誰なの⁈」
「千歳千代ですよ?」
「なんで先輩まで乗ってきちゃうんですか……。しかも可愛げに!」
いや、可愛いんですけど。その姿は何も寄せ付けない絶対的美人、学校で見た「千歳千代」とは違いどこか優雅で回りにバラが咲き誇っている。そして可愛い。
学校では一見しかしていないが印象が反転的に違って困惑してしまう。これがバラ理論で言うところの棘で有ろうか?………でも学校での姿が棘には遥かに思えず儚げだったので謎だ。ほんと女の子は意味分かんない!
っと俺は脳内でツンデレキャラ風に演じたわけであったが、千歳先輩は軽く咳面した後咳払いし、再び優雅な口調で話をしていった。
「まぁ冗談だと思いますからその話はさておいてですね……」
「仁は基本素で言ってるよ?ねっ」
「いやなんで付き合い始めて1カ月目の彼女ずらしてるんだよ!まぁ素だけどね!」
「グフ」
いやどうした?急に増殖系YouTuberか?っと思ったがただの絶命しただけだったみたい。
そんな先輩は体制を整え直すと笑顔を作り直しヤリチンに問いかけた。
「それでなんで佐藤君はここにいるのかな?」
「え……。ただ単に……コメダに来たかっただけですが……」
いやヤリチンかしこまりすぎじゃない?なんで急に塾で教室間違えた後の先生とのやり取りみたいになってるのかなぁ?………ちなみにこの物語はノンフィクションです。実際の出来事を忠実に再現しております。決してフィクションではありません。
ヤリチンがつぶやいた後、千歳先輩も俺にだけに聞こえるように、すこし蟲惑魔的に耳元で呟いてきた。
「そう……。佐藤君がねぇ。これが事実は小説より奇なりというものかしら?」
「そうですね……ここは否定しようがありませんね」
俺は近づいてくる艶やかな唇に、内心ドギマギしながらもうまく平然を装い、回答していく。
近づきざま、バラの優雅な
香りが俺の咽頭まで保たれたまま香ってきた。まるでブレスケアの様に……。あれ?急にバラの香りが消臭元的な何かになったぞ?ここは何処だ?トイレなのか?千歳先輩はどこにいった?
っと俺の一人漫才が完結したところで俺と先輩はヤリチンの言葉に思わず耳を疑ってしまう。
「まあ、俺は小説よりもニーチェかな?あなたが出会う最悪の敵は、いつもあなた自身であるだろう。とかまじでエモい。エモエモだよ!」
『あ……あぁ』
急にニーチェの言葉が出てきたのには想定外で二人共ぎょっとしてしまった。ニーチェにエモいとかあるのかよ!ニーチェにマジ失礼だゾ!
という事でっとどうゆう事か分からないが俺のお気に入りニーチェ格言を紹介しよう。
「自分を破壊する一歩手前の負荷が、自分を強くしてくれる」
という格言だ。
ちなみに俺は現在進行形で強くなっていっている。
ヤリチン!お前のせいだよ!
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