日常なんて一言で変わってしまう。6
結局あの後、LINEを交換した後、消えてしまいそうなろうそくの炎を見るような目で「生徒会選挙もよろしく………」っと言い残して踊り場から立ち去っていた。
いや本題それじゃ?っと突っ込むのは少し野暮な気がしたのでやめておいてあげた。なぜそう感じたのは分からないが……。多分LINEでここまで話しを広げれる俺天才とでも思ったのだろう。そうだよ!
立ち止まったままの俺。正直この絵図らだけもたら振られたと思いだろうがあながち間違えではない。
少し放心状態も溶け切って「メールト♪」っと少し鼻でささやける余裕が出てきたので、歩き出すことにした。
正直生徒会長選挙なんてこの高校生活で一番やりたくなかったことであり今もやりたくない。だが……返事すらさせないまま「生徒会選挙はよろしく」っと言われてしまったので断ることはできない。
なんで俺にはラブコメ的な展開を匂わせておいて結局結末は最悪なんだろう。神様ぁ。
もしもタイムマシーンがあったらこの会話自体をなくしたいな。な~んてな。ははは。
俺は少し首を振り周囲の空気をかき混ぜる。
「はは、世界は辛辣だな」
そう思わずつぶやかずにはいられなかった。想像通り世界は回らない。これは必定。
歩き始めて数秒。そのまま南中し昇降口に向かおうとしていたところ途中、角の柱に体重を預けながらに佇む美少女が一人。
髪の色は差し込む陽によって蜜柑色に見えるが黒みを帯びていて、夏服の純白で凡庸なセーラー服を意外にも着こなしている。そして、どこか紫式部を感じさせられる……。
そう―――――――そこには羽豆がいた。
そして数歩近づくと俺の存在に気付いたのか目線と一瞬ちらっと俺にやりすぐにもとに戻す。
そして真正面を貫き見、俺かは定かではない誰かに息を吐いた。
「はあ……」
本当に思いつめているわけではないその溜息は俺の日常とは違い、どこか他人行儀で目線も自分に向いてはいない。でもどこかその溜息が蟠りとなる。
降り注いでいる陽光はあの瞬の時とは違い、高度を下げていて羽豆の全体を覆っていた。
神秘的なその姿、少し見とれかけていたのだと思う。そんな馬鹿馬鹿しいことを創造してしまった刹那、羽豆は吐いたままの息を吸う事をせず、続けるように「誰か」に囁く。
「なんでかなぁ……君には理解できる?」
その言葉は俺に向けてだったようだ。核のある声は、話の筋を俺に一切話さない様子が羽豆らしくなくどこか動揺しているようで……それでも声色は乾性だ。
そしてまた、繊細な空気をくなぎ合わせるように彼女は息を吸うように足しつける。
「私には理解できない……」
そういう事だろう?一人で話を始めるあたりどこか俺と似ている。まあ俺に限っては脳内なのだが……。
でもそこが羽豆っぽくない。それはまさに俺のようだから。
俺は現状が理解できないままであったがこのままでは何かがいけないと本能的に思い問いかける。
「どうした?」
俺が質問すると羽豆の目が怪訝なものになった。
だけどそんな時間も過ぎ、羽豆は明後日の方向に目を逸らしなが目を細めこう言う。
「いや……なんで一歩が踏み込めないのだろうなあ……って思っただけ」
俺は僅かな引っ掛かりを覚えたがそれが何かは分からず、明後日の方向を向いている羽豆を凝視しざるを得なかった。でも……俺は苦しく心臓からは不協和音が奏でられていた。
煌めく光の一線は轟轟と燃え上がる太陽から直線距離で羽豆の身体で反射、屈折を繰り返していてその光は拡張する。
そして羽豆は羽衣を優雅に操るようにゆっくりと振り返る。ふわーっと振り返っているの時の流れは彼女のジャスミンの爽やかな香りと共に慎重にゆっくりと香り出してきて俺の鼻をくすぐる。
そしてしばらくの沈黙の後、羽豆は160ちょい程の俺でもわかるし下目使いで日射で染まった頬をこっちに向けながらつぶやく。
「あっ気にしないでね……仁?」
本当に今日は心臓に悪い。どれだけインターバルを繰り返せばいいのだろうか?てか君じゃないのね……。
まあいいですが少し名前は………。うんやっぱ恥ずかしいかやめてくれない?
てかなんだよこいつ反則だろ。いつも図書室ではあんなのなくせに。急に初々しい彼氏彼女みたいになってなんかもうずるいよな。
俺はそんなことを考えていると、これ以上なのかと本物のツンデレが怖くなった。あやせさんマジ怖ス。(それはヤンデレだったは)
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