第13.5話 何物でもない空間
目の前の景色がぐるぐると回り、まばゆい光が右から左へと流れていったと思えば、左から来ることもある。常に回りは暗闇に囲まれているが、この光のおかげで気分は沈まない。不思議な感覚だ。宇宙に放り出されたような感覚。絶対に行くことはできないほど遠くにある星を羨ましく眺めるような感覚。ここがどこだか分からない。何時間たったのかもわからない。ついさっきここに来たのかと思うこともできるし、何年もここにいたのだと思うこともできる。でも鮮明に覚えていること、それは俺はカシマに刺されて死んだということだ。あの剣で。そうか、これがカシマの言っていた何者でもない空間、虚無なのかもしれない。肉体から切り離された魂が行くべきところ。あの剣にはそういう力があって、肉体ごとここへ送る。きっと俺は永遠にここを彷徨い続けるのだろう。だけど不思議と寂しくない。俺以外にもここで彷徨っている魂がそこら中にあると目に見えないが感じるからだ。右にも左にも、後ろにも。それも、かなりの数。ここにいる魂達は一体何のためにいるのだろうか?きっと今の俺じゃわからない。あのカシマのことだ。ただ俺を処分するために殺したのではないだろう。だって、カシマ自身もクガタチという名前がついた日本刀を持っている。誰も聞いてないだろうから言うけど、ギターケースの中にその刀を隠しているからなあいつ、そのうち捕まるぞ。ははは。で、わざわざ俺の剣を回収し俺を刺した。きっと俺はここで何かをする、もしくは助けを待つのだろう。助けに来るのなら誰だろうか。段々と記憶が思い出せなくなってきた。記憶の中の知り合いを探すが顔と名前が一致しない。あれ自分の名前は?いつからここにいる?もしかして、本当に何万年も立ってしまった?そんなバカな。こういうときなにをすればいいのか、からだがういてるからあるけないし、そもそもあしもすけてきて、てもないからなあ、あ。うーん。これはなにご?おれだれ。こわい。だれかおれをさがしてくれ。いまのおれがどうなっているのかおしえて・・・・・・。
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