冬の日の約束
勝利だギューちゃん
第1話
「また来年来るからね」
「うん。約束だよ」
「じゃあ、指切り」
小さい頃は、毎年冬になると、やってくる女の子がいた。
当時は、僕よりもお姉さんだった。
でも、ある年を境に、来なくなった。
冬・・・
雪の精霊・・・
寒くないと、活動が出来ない。
ここ何年かは、地球温暖化の影響で、暖冬が続いている。
雪の精霊であるお姉ちゃんには、生きていけないのだろう。
それからもう、何年も経った。
いつしか、お姉さんの事は、もう心の宝箱にしまってあった。
長い事、開けてない。
鍵は、お姉さんにあずけている。
なので、自分では開ける事はできない。
寒ければ文句を言われ、暖冬なら問題視される。
冬も気の毒だ。
人間は、わがままだと思う。
もしかしたら、北国にいけば、会えるかもしれないが・・・
「君は、ここにいてね」
「どうして?」
「お姉ちゃんは、ここが好きだから」
律儀にも守っている。
もしかしたら、担当のエリアがあったりして・・・
さらに月日が流れる。
もう、雪ではしゃぐ年齢ではなくなってしまった。
しかし、その歳は記録的な大雪となり、交通網が乱れてしまった。
「会社には、行けないな」
会社からも、今日は休みという連絡が来た。
さてと・・・
どうしますか・・・
「久しぶりだね」
「お姉さん?というのも変か・・・」
「お姉さんでいいよ。すっかりおじさんだね」
「お姉さんは、変わらないね」
「私は、精霊だもの」
タイムスリップするのに、時間はかからなかった。
「じゃあ、久しぶりにふたりで、遊ぼうか」
「何をして?」
「何がいい?」
「鬼ごっこ」
「了解」
お姉さんとの鬼ごっこがはじまった。
「捕まえたら、何でもいうこと聞くよ」
「何でもいいの?お姉さん」
「うん」
お願いごとは決まっている。
「また、会いたい」
冬の日の約束 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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