いい靴をあなたへ

作者 深水千世

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★★★ Excellent!!!

新進気鋭の美しい女優に憧れる靴屋の青年。
ファンレターの最後にしたためる言葉は「いい靴は相応しい道へあなたを連れていってくれるでしょう。そして僕はいい靴を作ることができます。あなたに相応しい、あなたのための靴を作らせてください」

ある日、憧れの女優が彼の店を訪れた。双子の姉とともに。

太陽のような妹。月のように寄り添う姉。
同じ顔でいながら、性格は対照的。
青年の心はしだいに、奔放な女優ではなく物静かな姉に惹かれていく。

そして起こる事件。
落ち着くところに落ち着いたと思いきや。
ラスト数行で私は混乱した。
え? まさか。いや、そんなはずは。

ドロリとしたサスペンスを思い浮かべ、しかし思い直す。
やはり双子は双子なのだと。対照的な姉妹ではあるが、似ている部分があるのだと。
負けず嫌いで見栄っ張り。それが姉妹の共通項なのだと。

でもまだ……私はどこかで疑っている。
まさか。いや、そんなはずは。そんなことは……ないよ……ね。

★★★ Excellent!!!

霧深いロンドンが目に浮かぶ。
古いフィルム映画のような始まり。
(もちろん人によるでしょうが)
アナログレコードのブツブツと途切れる音が始まり、ゆったりと女性ボーカルの声が聞こえる。

物語はゆっくりと静かに進んでいく。短編なのに重くて読みごたえがあって、とても素敵だと思った。

出てくる人物たちも魅力的です。