父へ
私は父の元に生まれてきて、とても幸せだと思うのだ。
だからいつもあの横断歩道で、父の背中を探す。
もしかしたら、通りの向こうまで渡りきった父が、そこにいるかもしれないから。
そうしたら、私はもう一度、振り返った父に手を振るのだ。
行って来るねと手を振るのだ。
そして誕生日には電話をして、おめでとうと言うのだ。
『お父さん、誕生日おめでとう。
それから
ほんまにありがとう。』
だから
きっと私の旅の果てには、笑顔の父が待っていてくれるに違いない。
だから、その時まで、聞き取れなかった言葉のことは忘れていようと思う。
そして私も伝え忘れた言葉を、父が遺してくれた沢山の思い出と一緒に、その時まで取っておこう。
『大好きやで』
父へ 麒麟屋絢丸 @ikumalkirinya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
戦国徒然/麒麟屋絢丸
★100 エッセイ・ノンフィクション 連載中 255話
異世界のかけら(実話)/麒麟屋絢丸
★14 エッセイ・ノンフィクション 連載中 67話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます