第10話 ヒロキさんが好き

 私こと静流とあさひ、プラス1(ヒロキ)は晴れて文化委員になった。


 うちの学校は一年がクラスの展示、二年が劇、三年が模擬店と決まっている。


 私達のクラスは投票の結果、ベタにお化け屋敷ということになった。お化け屋敷をするのにお墓やらなんやら作るダンボールをもらうため、スーパーに向かった。


「はぁ」


「静流さんどうしたのです?」


「なんでもない」


 本当は文化委員になりたくなかったのに、なってしまった。勢いだったとはいえやってしまったと反省している。


「まぁまぁ静流、これから楽しい文化祭なんだからさ、張り切ろうじゃない」


「アンタは楽観すぎ、要するに私達はクラスのパシリを任されてるのよ」


「なんかそういうの青春っぽくていいですね」


「あさひも何言ってんのよもう」


 私達はスーパーに入り、従業員の方に説明し段ボールをたくさんもらった。


 ……かなりの量だ、一回では運びきれないかもしれない。


「はぁ、たい焼き売ってるから食べながらちょっと休憩しようよ」


 私達はたい焼き売り場の目の前にある、小さな休憩スペースで座りながらたい焼きを食べた。


「私、文化委員やりたいっていう二人と一緒にやれて本当に嬉しいです」


 あさひの笑顔がまぶしい。


「いやぁ、ジャンケンでは負けたけどまさか二人の手伝いができるなんて思わなかったよ。良かった良かった」


 ヒロキの笑顔もまぶしい。


 本当二人の仲を良くさせたくないだけで文化委員になってゴメン。


「私学校帰りに買い食い?というのは初めてです、なんかわるい事した様な気もしますが楽しいですね」


「そうなんだ、まじめだったんだね。うちの学校はきびしい規則なんてないからこれからも色んなことして遊ぼうよ」


「たい焼き食べたら喉乾いたな、僕2人の分も飲み物買ってくるから待ってて」


 そういうとヒロキは席を立ち、自販機の方に向かった。


「ヒロキさんって良い方ですね」


「ヒロキ?まぁそうかもね、泣き虫だけど」


「そんなに泣くんですか?」


「女の子に振られてはよく泣いてるよ、告白できる行動力はすごいけどね」


「静流さんはヒロキさんが好きなんですか?」


「え? 急に何?」


「静流さんがヒロキさんの事話してる時すごく、優しい顔してるので」


 私そんな顔してるのか、は、恥ずかしい!


「ど、どうだろね。ヒロキの事は嫌いじゃないけど」


「私は好きですよ、ヒロキさんの事」


 !


 あさひは私をジッと見つめそう言った。


「どういう意味で?」


 そう聞き返した時にちょうどヒロキがジュースを買って帰ってきた。


 ヒロキがいるのでその話は途中で終わってしまった。三人でダンボールを持ち学校に向かいながらもその事が私は気になった。


 どういう意味だったのだろう。


 純粋なあさひの事だから友達として深い意味はないのかもしれない。


 私はあまり難しく考えない様にした。

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