Vol.8 ”ひとり”の充実
ひとりで過ごす時間を、大切にしたいと思っている。
誰にも邪魔されない、わたしのためだけの時間。
でも、自分がやりたいことをやれる時間というのは、たとえ独り暮らしであっても捻出することが難しいのだ。
朝起きて、仕事へ行くまでの時間。夜帰宅して、眠りにつくまでの時間。
その間に、家事があり、外の世界へ出てゆくための支度があり、食事があり、次の1日に向けた準備がある。自分が、明日という日を滞りなく始められるように、必要なあれこれがある。
そうしたことの隙間にほんのすこしだけでいい、目標のためにやりたいこと、趣味、リラックスのためにやりたいこと、そういう自分のために使う時間がほしいと思う。
そのためには、朝早く起きるのが望ましいし、定時を過ぎたら一刻も早く退勤したいし、帰宅後はさっさと動いてやるべきことを早急に済ませてしまうのがいいに決まっている。そしてそんなことぐらい、自分がいちばんよくわかっている。
けれども、よくわかっているのにできない。
だって、生活するということ、人間として日々を生きていくということは、とても壮大で大変なことなのだ。頭でわかっていてもその通りにいくことなんてほんの一握りで、珍しくうまくいっていると思えば、最後の最後にどんでん返しがくるし、無視するに越したことはないのに、苦手な人から受けるダメージは親しく優しい人たちからもらう癒しを簡単に上回る。それでも毎日を回して、置かれた場所で自分の存在価値を大声で示して、わずかでも見えるところに爪痕を残して、いまできる精いっぱいを相手にぶつけ続けなければいけないのが、外の世界で生きていくということ(だと今は思っている)。
この状況で、自分を律して時間を捻出できている人は、一体人生何週目なのか。
…と、今は現状に嘆いて文句を言い、人を羨むことしかできないけれど、いつか、自分もそちら側の人になることを目指して。
まずは自分を律することができるようになりたいところ。
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