Vol.4 季節を感じるもの
ここ数年、はっきりとした形で季節の移ろいを感じることは、難しいように思う
暖冬だとか、雪の降るなか桜の開花宣言があったりだとか
あなたはどんな時に、季節の移ろいを感じるだろう
わたしは、空気の変化に四季を知る
色 匂い 温度 …
そんな、体で感じることのできる、すべてから
春が近づくと、刺々しかった空気が、ふんわりと柔らかくなる
ほんのすこしの、土の匂いと草花の瑞々しい匂いに、
暖かな気配を含んで、たっぷりとしている
夏は、見逃してしまいそうな一瞬に、すぱっと色を変える
たった今まで、梅雨の重たさを引きずっていたのに
ちょっとうつむいていて、
顔を上げた次の瞬間には、世界が静謐な青に染まっている
夏は、唐突にやってくる
来るのも去るのも曖昧なのは、秋
残暑に紛れてやってきて、気づいた時にはもうそばにいる
気まぐれな温度に振り回されるのは、
とっくにその手中で踊らされているから
わたしたちを弄んで、
それに飽きたら、行ってしまうみたい
迫りくる冬の足音を、直前でかわすようにして
吸い込んだ空気に、
体の奥まで浸透するような冷たさを感じたら、冬
寒いだけでもじゅうぶんなのに、
吐き出されると白くなって見せて、
ぴったりと人肌に貼りついて、
存在を主張してくる
今はちょうど、冬と春の間くらいだろうか
もうあと数日したら、
春を漂わせた空気に変わってくるかもしれないと、
ちょっぴりわくわくしてしまう
あなたは、何に季節を感じるのだろう
こんな時だから、
そういう小さな、でも確かな変化に、
目を向けて、感じてみて
世界は、いつもと同じように、
次の季節を迎えようと、
準備しているから
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます