第28話【長い一日の予感】
午前10時を過ぎた頃涼介は目を覚ました。
普段は土日であっても6時頃には起きているが昨日久しぶりに遠出した為疲れていて、なかなか布団から出られなかった。
陽の光でも浴びて目を覚まそうと思ったが、生憎の雨だった。
涼介は昨日の疲れがまだ残っている重い足を動かしリビングにまで来た。
「綾子さんは今日も帰ってきてないみたいだな」
綾子とは涼介の母の妹で今の涼介の保護者だ。
普段は仕事場で寝泊まりしている時が多く滅多に帰ってこない。
涼介はとりあえず、なにか飲もうとお湯を沸かした。
待っている最中にテレビを見ていた。
どうやら、今シーズン最大規模の豪雨が来ているらしく、午後はさらに強くなるそうだ。
「洗濯物は部屋に干すかぁ…」
あれから帰って、洗濯物を洗う元気がなく、いつもより多く溜まっている状況だった。
ピロン
その時涼介のスマホが鳴った。
見てみると、凜華からだった。
「はぁ…こんなどんよりとした天気になんのようだ……」
涼介は嫌々スマホを開きRAINを見た。
凜華「助けてください!!」
………あいつはまた何したんだ
心配するよりも先にそんなことを思ったのはきっと普段の凜華の行動のせいだろう。
涼介「何があった?」
とりあえず、話を聞くだけ聞いてみることにした。
凜華「とりあえず、今は身の安全を守るためにコンビニに避難したところです」
涼介「何があった?」
凜華「コンビニに避難してます」
ダメだな……
何があった?という質問に対して今の状況を説明するということは何があったかは言えないという事なんだろう。
つまり、まためんどくさい事になる。
一応慈悲として2回真実を言う機会を与えたがそれもダメとなるともう無視するしかなかった。
涼介はコーヒーを飲もうと先程沸かしたお湯をポットに入れ粉を用意し始めた。
「今日は1日のんびりと過ごすか」
先程の凜華とのRAINのことを記憶から消し1日の予定を考え始めた。
程なくして、再び涼介のスマホが鳴った。
今度はRAINではなく、電話だった。
一応誰からかと確認したが見たくてもわかっていたが、凜華からだった。
放置してるとスマホが鳴り止むするとまた電話がかかってきた。
さすがに涼介も五月蝿いと思い電話に出た。
「もしもし」
「ちょっと先輩酷いじゃないですか!
なんでRAINは無視するし電話には出なかったんですか!」
出た途端に元気な声で文句が聞こえてきた。
「よし、元気そうだな」
涼介はそれだけ言うと電話を切ろうとした。
しかし、
「先輩忘れたんですか?
先輩が私の奴隷になるって約束は今日まで有効ですよ」
「はぁ…どこのコンビニだ?」
「前会ったところのコンビニです」
嫌々だが、約束は守る主義なので行くしかなかった。
前言撤回今日も長い1日になりそうだな
そう思わざるを得ない涼介だった。
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