第27話【一日の終わり】

それから涼介達は日が暮れるまで遊園地を楽しんだ。


「いやぁ先輩今日は楽しかったですね」


「そうだな」


遊園地は楽しかったがそれ以上に疲れていた。


「でも、夜のパレード見て帰らないんですか?」


この遊園地は夜にキャラ達によるパレードがある。

それはかなり有名だがそれを最後まで見たらかなり遅い時間になる。


「さすがにその時間までいたら遅いし、司に悪いからな」


「別に……いいんですけど」


凜華は余程パレードが見たいのかそんなことを言った。


「はいはい、早く帰るぞ」


涼介は出口のゲートまで歩き始めた。


「別に明日も明後日も休みだから夜遅くまでいいじゃないですか〜」


「やだ、俺が帰りたい」


「分かりました…仕方ないですね、先輩」


◇◆◇◆◇◆


適当なことを話しながら駅まで向かった。

電車に乗ると2人は司に頼まれたアンケートを答えていた。


「先輩眠かったら寝てもいいんですよ」


アンケートが終わったのか凜華が涼介に話しかけた。


「いや、別にそんなに眠くはないから」


電車は混んでおらず、チラホラ人がいるだけだった。

涼介たちが座っている列の所も左角に涼介達、その反対に人がいるという感じだった。

だから、寝ても全然安心だろう。


「いや、いいよ

逆にお前が寝たらどうだ?」


「じゃあお言葉に甘えさせてもらいますね」


どうやら凜華は俺がそう返すのを待っていたかのようだった。

凜華は涼介の肩に頭を傾けると目を閉じた。


「おい」


凜華から香る甘い匂いが涼介の鼻腔を擽り平常心を保つので精一杯だった。


「ほんとに寝たのか?」


しばらく経ってから涼介が声をかけても返事は返ってこなかった。


涼介は試しに凜華の頬を指でつついてみた。

その頬はとても柔らかく触っていて、とても楽しかった。

ハマりそうなその感触に涼介は何分触っていたかわかんなかった。


それから最寄り駅に近づいた時に凜華を起こした。

その時の凜華の反応的に本当に寝ていたのだろう。

いつもの小悪魔見たいな凜華ではなく、可愛らしい感じだった。


それから2人はいつもの帰宅道を並んで歩く。


◇◆◇◆◇◆


「先輩今日は誘ってくれてありがとうございました。楽しかったです」


凜華は丁寧に頭を下げた。


「いや、お前が仕掛けたんだろ…」


あのタイミングで来たら誘うしかないだろう。


「あれー?

そうでしたっけ?」


てへっと舌を出して誤魔化しているようだがとてもわざとらしかった。


「はぁ……まぁ、いいや

俺も楽しかったぞ」


素直に感想を言うのが嫌だったため

「ジェットコースターはもう乗りたくない」と付け加えた。


「なら、苦手克服のためにまた行きましょうね!」


それが逆効果だったのか凜華はまた連れていこうとした。


「はいはい、それじゃ、また火曜にな」


そう言って2人はそれぞれの帰り道を歩き出した。

月曜日は休みのため会うのはきっと火曜日だろう。


◇◆◇◆◇◆


「ふっふふっふふーん」


ベットの上でうつ伏せになって枕に顔をうずめていた。

凜華は鼻歌を歌いながら今日のことを振り返っていた。

お風呂上がりのため上に半袖で下はパンツだけというとてもラフな格好だった。

普段は兄である司に注意されるのだが、今日は居ないため自由だった。


「我ながら大胆なことしたけど楽しかったなぁ」


舞が週末は予定があると言っていたのをちょうど知っていたので涼介が誘っても断られるのがわかっていたため、あの現場に現れたのだ。


凜華はスマホを起動すると今日撮った1枚の写真を見た。

タピオカの時の写真だ。


「先輩もっと笑顔で撮ってくれてもよかったんですけどね」


まぁ、それはそれで涼介らしくなく笑えると凜華は思った。


「次は何をしましょうかね」


スマホを閉じるとベットに仰向けになった。

そして、部屋の灯りを消した。


今日は家に自分以外誰もいないため少し寂しい。


涼介に電話をしようかと考えたが寸前のところでやめた。


いい事を思いつきました。


「火曜日じゃなくて、明日も会えそうですね、先輩」

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