第23話【遊園地デート】

土曜日ーーーー普段の涼介なら休みのため外に出ずに1日過ごすのが普通だ。

しかし、今日の涼介は違った。


準備が終わり、そろそろ家を出ようとした頃ポケットに入っているスマホが震えた。


見ると凜華からRAINが届いていた。


凛華「おはようございます

今から家出ますね」


そう書いてあった。

涼介もそろそろ家を出ようとしていたので時間的にはちょうどいいくらいだろう。


「俺も出る」


そう返すと、涼介はスマホをポケットに入れ家を出た。


◇◆◇◆◇◆


「あっ、先輩お待たせしました」


涼介が着いて間もなく凜華がいつもの曲がり角に来た。


「はぁ……行くか」


そんなやる気のない掛け声を出発の合図として、2人は並んで歩き始めた。


「とりあえずは駅に向かうんですよね?」


「あぁ、そのあと地下鉄に乗って、街中に行って乗り換えたらすぐだ」


涼介は後々聞かれるのが面倒だったため、そのあとのことも付け加えて説明した。


「それにしてもまさか先輩と遊園地デートに行くなんて思いもよらなかったですよ」


凜華は楽しそうにそう言った。


「舞に断られた時点で司に返すつもりのチケットだったんだがな」


「お兄ちゃんは最初から私にくれればよかったのに」


凛華はしょんぼりとしたような顔をした。


「まぁ、そのおかげでこうして先輩と一緒に遊園地に行けるんですけどね」


そう言うと凜華は涼介の腕に絡みついた。


「おい、離れろ」


もうすぐ秋と言ってもまだ9月のためそこそこ暖かい。

そのため凜華の服装も黒のスカートに肩が出てる白い服の上にカーディガンを羽織っているような格好だった。

だから肌も所々出ており、一般的な男子高生の目には毒だった。

涼介も例外ではなかった。


「あまり抱きつくな」


涼介はこれ以上は危ないと思い凜華の頭を抑えて、無理やり離れさせた。


「えぇ、いいじゃないですか

こんな可愛いイマドキのJKに抱きつかれてるんですよ?」


凜華はJKブランドというものを出てきたが、生憎涼介はなにも思えなかった。


「なんでそんな興味無さそうなんですか先輩」


涼介が無反応のことに対して焦ったようすの凜華だった。


「興味がなさそうなんじゃなくてないの間違いだろ」


「えぇ〜男の人なら誰でも大好きなブランドだと思ったんですけど」


だいたいの男は好きだろうが涼介は当てはまらない分類だった。


「はいはい、くだらないこと言ってないでさっさと行くぞ」


それから2人は話しながら地下鉄に乗り、途中乗り換えて降りた先に目的の遊園地があった。


「意外と遠かったですね」


「そーだな」


凜華は遊園地が楽しみなのか楽しそうな雰囲気だった。


入場口に行き涼介は司から貰ったチケットを出した。


「カップルでのご入場の方ですね!

どうぞ楽しんできてください!」


スタッフの合図とも呼べる掛け声と共に入場ゲートが開く。


「先輩私たちカップルと言ってましたよ」


凜華はゲートを出るとすぐにそう言ってきた。


「はいはいそうだなー」


涼介は適当に対応しどこかに歩き始めた。


「彼女をちゃんとエスコートしてくださいよ」


「いや、お前彼女じゃないだろ」


「つまらないですね、なら奴隷さんエスコートしてください!」


凜華は1週間相手の言うことを聞くと言う権利を使った。


「はぁ……着いてこい」


涼介はそう言って歩き始めた。


「先輩手繋ぎましょうよ〜」


凜華は涼介の隣に来るとそう言った。


「やだ」


涼介はシンプルにそう言って断った。


「なんでですか!

前みたいに無理やりされたいんですか」


放課後にそんなことをされた時があったがそれは人が誰もいなかったため誘惑に惑わされたが、今は人が多くいるし、通り過ぎる人が凜華を見ている。

そんな所で出来るほど涼介の心臓は強くなかった。


「いや、もう着いたからだ」


涼介は目的地を指さした。


GUN shootingと言う出てくるキャラクターを銃で打ってポイントを競うと言う有名なアトラクションだった。


内容だけ聞くと男性に人気なものだが、出てくるキャラクターが可愛く女性からの人気も高いとネットでは書いてある。


「先輩がまともな所に案内するなんて思いませんでしたよ」


凜華は楽しみなのか嬉しそうな表情をしていた。


「まぁーな」


「じゃ、行きましょ!」


凜華はいつもより速歩でアトラクションに入っていった。

涼介はそれを追いかける。


「あいつ俺に案内しろって言っておいて先に行くのかよ…」


涼介の呟きは誰の耳にも届かなかった。

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