第17話【ご主人様と奴隷先輩】
9月になり高校生になって、半年が経とうとしていました。
私は高校から人に誰にでも優しく平等にでも一定の距離を置いて接するようにしてきました。
その結果、学年ではお姫様のようになりました。
お兄ちゃんには辛かったらやらなくていいと言われますが意外と楽しかったりします。
でも、親しい人には素でいることにしてます。
それでも素でいる人はまだお兄ちゃんと両親くらいでした。
けど、最近一人増えました。
それはお兄ちゃんの親友で部活の先輩の橘 涼介先輩です。
先輩と密接に関わり始めたのは私がナンパされている時に救ってくれたことがきっかけでした。
救い方はかっこいいとは言えるものでもないですし、名前も覚えていませんでした。
でも、お兄ちゃんが先輩は1番信用出来ると言っていたので試しに素で話してみました。
反応は面白くて、とてもからかいがいがある人でした。
何より、私を全然特別視しないのがいいです。
男子は可愛いから近づいてくるという人が多かったりしますが先輩は私に全然そう言うことをしてきません。
それが久しぶりで嬉しくてついつい絡んじゃいます。
先輩はめんどさそうにしてますが意外と優しいくて甘いです。
だから、私は今日も先輩にいじわるをしちゃいます。
◇◆◇◆◇◆◇◆
今日は月曜日で学校の始めだった。
テストが終わったため気が楽だけど、やはり月曜日はちょっと憂鬱です
凜華は顔を洗い朝の準備を始めた。
いつもならあと20分もすれば家を出る時間になる。
凜華は制服に着替えつつスマホを開いた。
そして、RAINを開いた。
RAINとはスマホを持っている人ほとんどがやっているメッセージアプリで友達登録をしておけばメッセージを送ったり、電話ができる便利なアプリだ。
凜華はRAINから最近追加した涼介のところを開いた。
今まで凜華は涼介のRAINを持っておらず、金曜日にやっと聞いたのだ。
凜華「先輩、おはようございます」
慣れた手つきでスマホをフリックし送った。
返信が来るまでまた準備を続けたが、5分経っても返信は来なかった。
これは仕方ないですねー
凜華はもう一度メッセージのところを開くと通話のボタンを押した。
コール音が何度かなると涼介は電話に出た。
「もっしもーし、おはようございます先輩」
凜華は元気よく挨拶した。
「何の用だ?」
涼介の声に眠気は混じってなく、いつも通りだった。
無視してた感じですか…
「ご主人様に対してそんな口調でいいんですか〜?」
凜華は少し煽ってみることにした。
「今忙しー」
そんなことを言う涼介の声の向こうから何かを焼いている音がした。
どうやらほんとに忙しいようですね
「じゃ、ご主人様の私から命令です!
ココア買ってきてくださいね、ホットで」
そう言うと凜華は涼介の返事も聞かず電話を切った。
さぁ、今日も一日の始まりです
電話してから間もなく司に声をかけ、凜華は家を出た。
◇◆◇◆◇◆
涼介は朝早く起き、弁当を作っていた。
そんな時に凜華から電話がかかってきた。
凜華とは賭けをして負けたせいで今週ずっとは凜華の命令を聞かなければいけない。
電話の内容はココアを買ってこいというものだった。
わざわざこんな内容のために電話してくんなよ…
涼介は面倒くさがったもののやらなかったらもっとめんどくさい事になりそうなので自動販売機によってから、学校に向かった。
いつも凜華と別れる曲がり角につくと、そこには凜華が立っていた。
「先輩おはようございます〜」
凜華は上機嫌のようで笑顔でこちらに挨拶してきた。
「あぁ、おはよう」
涼介はいつも通りのテンションで挨拶をした。
「も〜先輩テンション低いですよ〜!」
凜華のテンションが高すぎるのではと思ったがその事は言わないでポケットからココアを取り出して無言で渡した。
「あっ、ほんとに買ってきてくれるとは思ってませんでした〜まぁ、ご苦労様です
ご褒美は罵りと踏むのどっちがいいですか?」
凜華は涼介をドMと決定し、それに合わせたご褒美を言ってきた。
「いや、どっちも要らないし、俺Mじゃねぇよ」
朝からウザ絡みしてくる凜華に涼介は飽き飽きしていた。
「あっ、どっちも欲しいって言うことですね、欲張りな先輩ですね〜」
凜華は涼介にさらに近づいてきた。
「はぁ……もーなんでもいいよ」
涼介は朝から凜華に付き合っていたら疲れると思い適当に流した。
「冷たいですよ先輩〜」
凜華はつまんなーいと言い出した。
「ココアでも飲んで暖まってろ」
「あっ、そーですね」
凜華は手に持っていたココアを開けて飲み始めた。
涼介はこれで少しは大人しくなるだろうと思ったがそんなことは無かった。
「そーいえば先輩ってお昼誰と食べてますか?」
凜華は唐突にそんなことを聞いてきた。
「普段は1人でたまに司と食べるくらいだなー」
隠す必要も無いので素直に答えた。
「さすが友達少ない先輩ですね」
凜華は鼻で笑って見せた。
「うるせぇよ、1人の方が落ち着くしいいんだよ」
これは言い訳でもなんでもなく、誰かといると気を使うことになるので1人でいる方が楽だ。
「まぁ、そんな『ぼっち』な先輩を哀れんだ優しい優しい後輩の私が先輩とご飯を食べてあげましょう!」
やけにぼっちという言葉を強調したのはわざとだろうと思い少しムカついた。
「遠慮しておく、」
涼介は凜華といるとめんどくさいとしか思えないので断った。
「この世界探してもこんな美少女のお誘いを断るなんて、先輩だけですよ」
凜華は少し呆れながら言った。
「世界で俺一人なんてすごいなぁ~」
涼介はわざとらしく喜んだ。
「あー、はいはい、すごーい
ていうことで、よろしくお願いしますね、奴隷先輩❤」
凜華はわざとらしく最後に奴隷と付けて、涼介が指示に従うよう促した。
「あ、あとこれもーいらないんで飲んで捨てといてくださいね」
凜華はココアの空き缶を涼介に押し付けるとそのまま歩いて言ってしまった。
凜華は道端に一人ココアの缶を持ち立っていたがやがて歩き始めた。
とりあえず、捨てるために缶に口をつけた。
間接キスなど気にするような歳ではないと涼介は思っているので全く気にしなかった。
「って、入ってねぇじゃねぇか」
涼介は逆さまにしても何も出てこないココアの缶に対して文句を言った。
そんな時、スマホの通知がなった。
見てみると凜華からRAINのメッセージが来ていた。
凜華「中入ってると思いました?
残念ですねぇ〜私と間接キスできるその缶は取っておいてもいいんですよ〜」
誰が取っておくかよ、捨てるわ
涼介は心の中でそうツッコミをするとちょうど近くにゴミ捨て場があったため投げ入れた。
涼介「いらねぇよ、もう捨てたわ」
涼介はそう返事を返すと涼介は歩く速度を上げた。
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