第7話【とある昼食でのこと】


「そーいえば、うちの妹をナンパするなんて涼介は凄いね」


2人で昼食を食べていた時にふと司がそんなことを言い思わず吹き出してしまった。


「な、なんの事だよ」


たまらず視線を逸らしながら涼介はとぼけた。


「いやいや、そんな反応したあとに取り繕ってもさすがに意味がないと思うよ」


司は苦笑いをしていた。


「誰から聞いたんだ?」


発生源を知るために涼介は司に質問をした。


「誰からも聞いてないよただの感だよ

ちなみに何も知らない涼介くんは昨日は何をしていたんだい?」


きっと涼介が昨日凜華と一緒にいたことに気づいているだろうが涼介の口から言わせたいのかそんな質問をした。


「昨日は学校から帰ってきてすぐ寝た」


昨日のようにイヤホンを買いに行ったりしない日の行動を言ってみた。


「そっか〜

じゃあさ、これは相談なんだけど」


こいつ絶対信じてないな、つかどんだけ妹のこと気になってんだよ、好きすぎかよ


涼介がそんなことを思っているとも知らず司は話を進めていく。


「実は昨日妹の帰りがいつもより遅くてね、それで何してたのか聞いても、「内緒」って言われるんだ」


あいつもわざと内緒って言ったな、絶対この状況になることを理解してたな、


「それで、その何が相談なんだ?」


とりあえず涼介は何も知らないことを突き通すことにした。


「まぁ、内緒って言ってたんだけど、帰ってきた時に結構大きめなクマのぬいぐるみを持ってたんだよ」


「ゲーセンにでも行って帰ってきたんじゃないか?」


涼介はその状況を聞いて、普通の人でも想像ができることを言った。


「僕もそう思うんだけどね

凜華の部屋に涼介とよく似た人と撮ったプリクラがあったんだよ」


思わず顔を顰めてしまった。


「そんな偶然もあるもんなんだな」


わざと気づいてないような態度をとった。


いや、えぇぇ、こいつ気になって妹の部屋に入るとか妹好きすぎだろ

やべぇよ、マジで、前々から妹の話は結構聞かされてたけどさ、


普段人に興味がなくだらけていてやる気のない涼介でも饒舌になるほど今の司はなにか得体の知れない怖さがあった。


「まぁ、本人が違うって言うならほんとに偶然なんだね

プリクラって顔が全く違う人になることもあるしね」


司の今の表情は笑顔だった。


「いやぁ、今の現代科学って怖いなぁ」


俺はお前が怖いけどな


「でもね、凜華は僕といる時以外で僕のことを「お兄ちゃん」って言わないんだよ」


その事を聞いて、初めてのアイツとまともに話した時に「兄さん」と読んでいたことを思い出した。

つまり、あいつがこの状況になることを理解して、わざとやったということの確証がとれた。


「へーそうなのか」


「ま、うちの妹とこれからも仲良くしてね

あいつがこんなに素を出せる相手は滅多にいないんだからさ」


「えっ…」


司は涼介の肩を1回だけ叩き、そのまま部室を出ていってしまった。

最後の司の表情はどこか遠いものを見ているような感じだった。


「さてぇ、このことについては本人に聞くしかないか……」


一人取り残された部室と言うなの空き教室で涼介は残りの休み時間を、寝て過ごした。

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