第4話、決闘

目覚まし時計が鳴り朝を知らせる、聡太は時計を止めゆっくりとベットから起き上がる、朝食をとり身支度を済ませ聡太は学園に向かった。

4月の朝はまだ肌寒く、時折冷たい風が吹き冬を思わせた、聡太は学園の坂を上がっていると背後から聞き覚えのある声で呼び止められた。


「よ、聡太」


「何だ真人か」


「どうした聡太、辛気臭い顔しやがって」


「そうか?そんな顔してたか?」


「ああ、臭すぎて朝飯が出ちまうほどにな」


「それは、言いすぎだろ」


真人は笑顔で笑いその場を後にする。


「じゃあな聡太、俺用事があるから先行くわ」


真人は走って坂を上がって行った。聡太は教室に着き目の前の扉を開けるとそこにはパトリシア立っていた。


「うっ?!パトリシア=ヴァン・パリス何でここに?」


気まずい空気が二人の間に流れパトリシアが切り出す。


「どいて変態」


「お、おい待ってくれ昨日の事にはちゃんとした理由があって‥‥」


「理由が有ろうか無かろうが貴方がやった事は十分に重罪だと思うけど?」


「そ、それは確かにそうだ‥‥けど」


「ふん、理解したなら私にもう二度と話しかけないでね」


「お、おいちょっま!」


教室から出ていくパトリシアを追おうとした瞬間何かに躓き倒れる聡太、その手にはヒラヒラとした布、スカートが握られていた。聡太は恐る恐る上を向いた。そこには頬を赤らめ涙目でこちらを睨むパトリシアとクマさんパンツが見えた。

聡太は無言で立ち上がりスカートを返す、パトリシアはそそくさとスカートを履き聡太を睨みつけ言った。


「こ、ここここここ、殺す!」


パトリシアを中心に魔力の波動が吹き荒れる。次の瞬間パトリシアの手を魔力が覆う、その手を前にかざすと何もない空中から一つ剣が現れる。その剣は剣身に炎を纏い錆びついた鎖で厳重に拘束されいたパトリシアは剣を掴み聡太に剣先を向け言った。


「一ノ瀬聡太、貴方に決闘を申し込みます!」


「ま、待ってそんな事急に言われて‥‥」


「私はここの学園長と少し縁がある家系なんです。この意味、理解できますよね?」


「分かったよ、ただし俺が勝ったら今回の件は許してくれ」


「ええ、良いわよだけど私に勝ったらね」


「‥‥ああ、分かった」


周りの野次馬たちが歓声を上げ野次馬が野次馬を呼ぶ、二人の決闘は一時間もしない内に学園全体にしれ渡った。


「では放課後、第二模擬戦闘所で決闘を行ういます」


そう言うとパトリシアはこちらを睨みつけ教室を後にした。聡太が席に着き深い溜め息をしていると横からエリーズが話しかけてきた。


「いやいや、朝からとても元気だね少年。君を見ていると僕の日頃の悩みが小さく見えちゃうよ」


「はいはい、朝から嫌味ご苦労さん」


「何だよ〜、せっかくこの可愛い、可愛いエリーズちゃんが哀れな子羊に情報を提供してやろうと思ったのに~」


エリーズは聡太の机に座り話始めた。


「では、いい情報と悪い情報どっちが聞きたい?」


「悪い情報」


「へ〜、意外だな〜まぁいい、まず一つは目はこの決闘に風魔委員会が目を付けた」


「風魔委員会?」


「簡単に説明すると風紀委員会みたいな存在だね、でも風紀委員会はそんなに甘くない、もし少しでもこの学園の規律を破ろうならばその場で懲罰され下手したら速退学が決まるらしい、特に三日月玲には気を付けたほうがいい、彼女は風魔委員会の代表だからね。」


「玲ってたしか‥‥」


聡太は昨日の事を思い出す。空中に浮かび化け物を一瞬で葬り去る三日月玲思い出す。


「黒髪で眼帯の人?」


「あれ?、もしかして知り合い?」


「いや、ただ姿を見ただけだよ」


「へ〜彼女は基本風魔委員会の教室に居るからそんなに目撃情報が無いんだよね〜」


「目撃情報って動物かよ、それで良い情報は何だよ?」


「ん?、ああ今回の決闘で少年とパトリシアどっちが勝つかで話題になって学生間でギャンブル大会が開催された」


「訳がわからん!、どっちも悪い情報じゃねえか!」


聡太は机を面を両手で叩く。するとエリーズがそっと肩にてを置いて言った。


「安心してくれ少年、私は‥‥パトリシアに賭けた」


エリーズは聡太に向けグッと中指を立てた。


「おう、喧嘩したいならかかって来い!」


「あははははは、やはり君は面白いな分かったよ、じゃパトリシアの弱点についての情報をあげよう、彼女の弱点は‥‥」


――――――――――――――――――


放課後の第二模擬戦闘所。


「あら、来たのね、この変態スーパーズングリムックリ」


「お前、男できたこと無いだろ」


「‥‥決めたわ一ノ瀬君、貴方は楽に殺してあげない」


「おいまて、この決闘に殺しのルール何てあるのか?!そんなルール聞いて‥‥」


慌てる聡太に遠くのエリーズが魔法で呼びかける。


「そうそう少年この決闘には生死は問わないから、でも時間制限あるからもしかすると生き残れるかもしれないよ、まぁ頑張りたまえ。ちなみに制限時間は一時間、模擬戦闘所が17時に閉鎖されるからそれまで頑張ってねー」


「そう言うのは先に言えエリーズ!」


ガヤガヤと騒ぎ立てる聡太に対してパトリシアが言った。


「一ノ瀬君、貴方の武器ってその訓練用の防具を着ている魔術人形ドールなのかしら?」


パトリシアが聡太の背後にいる中世風の鎧を着たシアに指をさす。


「そうだよ、さっき訓練庫から装備を一式借りて来た大丈夫ちゃんと先生の許可も取ったから安心してくれ」


「そうね、安心したわ貴方が馬鹿でとても安心した。私も見くびられたものね、その訓練用で私に勝てるとでも?」


「ああ、勝てるかどうかはやってみないと分からない、俺は少しでも勝てる希望があるからこの装備にした、あと俺は負け戦しない主義なんだよ」


「‥‥そう、なら後悔して死になさい一ノ瀬聡太!」


「行くぞシア!」


「了解です、マスター」


シアはそう言うと腰に装備していた武器を構える。


「氷結・七六式戦闘魔具・三霊巌」


シアが構えた武器は見た目は中東の三節棍に似ているが、その武器は氷で形成され、見るものを魅了する程の透明度誇り、武器の先端は矢のような鋭い形状をしていた。パトリシアが剣を振るい炎の斬撃を飛ばしてくる。対するシアは武器をヌンチャクのように使い炎の斬撃に攻撃する。刹那、物凄い水蒸気が煙のように聡太とシアを飲み込んだ。煙で見えなくなった聡太達を見て野次馬がざわめきだす。だが一人の野次馬が指をさし言った。


「おい、あれを見ろ!」


水蒸気の煙が晴れ中から聡太達と三日月状に凍らされたパトリシアの斬撃の姿あった。パトリシアが目の前の光景に驚き言った。


「ねぇどんな手品を使ったか説明してもらえる?」


「手品もクソもねぇよ、ただお前の斬撃を凍らせただけだよ」


野次馬たちが次々と声を上げて白熱する。


「ふーん、私の高熱の斬撃を止めるなんて、ちゃんと私対策してるんた」


「言ったろ負け戦しないって」


「‥‥そう、なら‥‥言うは易く行うは難し、口だけなら容赦しないわ!」


パトリシアは再び高熱の斬撃を繰り出す。向かってくる攻撃に対してシアは一撃目と同様に武器を振るい斬撃を凍らせる。


再び水蒸気の煙が起こり聡太達を包み込んだ。


「はぁあああああ」


煙の中からパトリシアが現れシアに斬りかかる。キッンっと鍔迫り合いが起こり甲高い音が周囲に広がる。


「へぇ、けっこうやるじゃないでもまだ、甘い!」


パトリシアは剣に魔力を込める。すると剣から発せられた炎が大きくなり剣身を紅色に染める。するとシアが装備している鎧が次第に溶け始めた。


「この距離なら外さない‥‥」


異変に気づいた聡太はシアに言う。


「シア逃げろ!」


「もう遅いわ、消し炭になりなさい!、大型魔法紅焔の太陽プロミネンス・サン!」


パトリシアの剣から紅の光線が迸り一瞬でシアを飲み込む。紅の光線は一直線上伸び地面を溶解しながら結界が張られているステージの端まで伸びて行った。


「シアーーー!」


聡太はシアの方向に走り出しシアの様子を見る。

シアは左脚の股から下にかて破損し鎧もその原型を留めておらず中半、溶けかけていた。


「驚いたわ、私の一撃を喰らって脚だけで済むなんて大したものね。でも、これで終わり」


パトリシアが剣を構えて魔力を込める。パトリシアの高密度の魔力が剣に宿り再び剣が紅色に染る。そんなパトリシアに対し聡太は言った。


「誰が終わりだって?」


聡太はニヤリと笑い言った。


「術式発動!、氷河の機関銃アイスマシンガン


聡太の言葉で発動した魔術がパトリシアを後方から襲う。それに対してパトリシアは剣を地面に突き刺し身を守る。氷の弾丸は剣の熱に溶かされ水蒸気となり霧散した。


「無駄よ、貴方に勝機は無いわ」


「いや準備は整った、シア!」


「了解ですマスター」


パトリシアの背後からシアが現れ攻撃してくる。パトリシアは地面から剣を抜き応戦する


「何で?!、脚を破壊したはずなのに」


パトリシアは聡太達の方を見る。そこには先ほどまで倒れていたシアの姿はなく代わりに氷の分身がそこにはあった。


「これは氷で作った分身だ、シア時間稼ぎは任せたぞ!」


「はいマスター」


シアが攻撃し再び鍔迫り合いが起こる。聡太は地面に跪きポッケトからチョークを出し魔法陣を書き始めた。


「くっ猪口才な、でも貴方の魔術人形ドール私は止められなっ?!」


鍔迫り合いの最中、パトリシアの剣が弾かれ驚いたパトリシアはを睨みつける。


「‥‥何なのこの魔術人形ドール異常だわ。私が近接戦でそれも鍔迫り合いそれも力で負けるなんて。でも、次こうは行かない!」


パトリシアが再び斬りかかるシアも応戦する。キン、ゴンと高音と重音が響き渡り火花が起こり。それを見た野次馬達が一斉に声を上げる。


「「うぉおおおおおおおおおお!!」」


パトリシアは距離取って高熱の斬撃を飛ばす。シアは踊るように軽やかに避け再びパトリシアとの距離を縮め鍔迫り合いが起こる。


「ち、さっきから何なのこの魔術人形ドール!、それにこの気迫、まるで高位の魔法使いと戦ってるみたい。くっ‥‥私だって負けられないのよ!」


パトリシアの魔力が膨れ上がり剣に送り込まれる剣身は再び紅色に染まり高熱を放出した。シアの鎧と武器がドロドロにゆっくりと溶解し始めるなか聡太は言った。


「シア!、下がれ」


「了解ですマスター」


シアはパトリシアの剣を跳ね除、距離を取る。下がったシアを確認した聡太は両手を組、前に突き出し言った。


「行くぞパトリシア=ヴァン・パリス、術式発動!」


突如ステージを囲む様に小型の魔法陣が六つ青く輝き発動した。小型の魔法陣はそれぞれ繋がり大型魔術陣に変化し魔術を発動した。聡太達の足元から突風が螺旋状に吹き荒れる。突風が終わると、ステージの頭上に巨大な水の塊が浮かんでいた。驚いたパトリシアは言った。


「いったいどこからこんな水の塊を‥‥まさか?!」


「お察しの通り、周りの水蒸気を使ってこの水の塊を作ったわけよ」


「でも、これだけの魔術を発動するのにかなりの魔力を消費したんじゃない?」


「ああそうだ、だからこれが最後の攻撃になる、まぁ一番苦労したのはお前の目をかいくぐって見つからないように魔法陣を書く事だけどな。さぁって俺の最後の魔術攻撃受けてくれるだろ、パトリシア=ヴァン・パリス?」


魔術を放つ聡太はエリーズとの会話を思い出していた。


――――――――――――――――――


「いいかい少年、彼女の弱点はプライドそのものなんだ」


「は?」


「おいおい少年そんなカバが馬鹿を見たような顔をしないでくれ」


「そんな事言われても、は?、としか返せないだろ」


「まぁ簡単に言うとだね。彼女はそのプライドゆえか絶対に本気を出さないし、弱い相手になると防御すらしない。元に彼女は生涯で一度も負けた事が無いらしい」


「だからそこが狙い目と?」


「ああそう言う事さ、勝つ為には彼女の虚をつくしかないね」


「虚をつくか‥‥何か他の情報はないか?」


「そうだね~、後は彼女の剣の能力と名前くらいかな」


「教えてくれ」


「おいおい、そんな真剣な顔で僕を見ないでくれ少年、惚れてしまうじゃないか」


「茶化しは後にしてくれエリーズ」


「はいはい」


エリーズはクスクスと笑い喋りだした。


「彼女が所持している剣の名は炎剣フリークスその名の通り剣身が常に高温の炎に包まれている剣、能力はあまり知らないけど高熱の斬撃を飛ばしてくるとか」


「どのくらい高熱なんだ」


「さすがの僕もそればかりはわからないよ。水が一瞬で蒸発する程度くらいには熱いんじゃないかな」


―――――――――――――――――――


聡太はエリーズとの会話を思い出しながら最後の魔術に力を込める。


「ええ、受けて立つわ格の違いを思い知らせてあげる」


パトリシアは剣を構えて再び魔力を込める剣は紅色に染まり燃えだす。


「いくぞパトリシア=ヴァン・パリス、大型魔術、偉大なる水球グレードアクアショット


「そんな水の塊、直ぐに消し飛ばしてあげるわ!、くらいさない大型魔法紅焔の太陽プロミネンス・サン!」


魔法と魔術がぶつかり刹那大きな爆発が起こりステージに居た三人を飲み込む。爆煙が風で去り聡太達の姿が現れる。聡太達は事前に張っていた防御結界で爆発の衝撃をしのいでいた。だが聡太の魔力は底をついていた。防御結界が解け聡太は息を上げその場に跪く、聡太を心配してもシアが近寄る


「マスター大丈夫ですか?」


「はぁはぁはぁ、これどっ?!」


聡太の目が点になりが息が止まるそこに居たのは黒色の剣を携えた無傷のパトリシアの姿だった。


「危なかったわ、鎖を外すのがあと少し遅かったら私は爆発に巻き込まれ貴方に負けていたでしょう」


「ど、どうやって‥‥爆発を防いだ。それにその剣はなんだ?!」


パトリシアは黒く染まった剣の先端を向け言った。


「喋らない方が良いわ一ノ瀬君、魔力欠乏症になりかけてるわ。ゆっくりでいいから答えて、さっきの爆発はどうやって起こしたの?、貴方の魔力じゃ複数の魔術の同時発動なんてできないはずよ」


聡太は苦痛が走る胸抑え


「‥‥水蒸気爆発、水が高温の物と接触するこによって引き起こされる現象だ」


パトリシアは唖然としていた。


「‥‥ふーんなるほどね、貴方面白いわね。ねぇ、今回の件許してあげようか?」


「どいゆう風の吹き回しだ?」


「タダで許すとは言わないわ条件を付ける」


「その条件は?」


パトリシアは剣を下ろし言う。


「今年の夏に開かれる魔導競技会、通称トラディシュ・オーネに私と一緒に出てもらうわ、パートナーとしてね」


聡太は少し驚いた表情しパトリシアはその表情見て言う。


「どうしたのカバが馬鹿を見たような顔をして、一ノ瀬君からしたら別に悪い条件じゃないはずよ」


「理由を聞かせてくれ、別に俺じゃなくとも探せば俺より優秀な生徒は沢山いるだろう?」


「そうね、一ノ瀬君より優秀な生徒は探せば沢山いると思う。でも一ノ瀬君、貴方が初めて私を本気にさせた人だからよ。ほら、その証拠にフリークスが黒くなっているでしょ。これが一つ目の理由あともう一つ言うなら…女の勘よ」


聡太は唖然としていた。それもそうだ先ほど殺し合いをしていた相手を簡単に許し更にはパートナーになれと言い放つのだから。聡太はプッと口から笑いが吹き出しパトリシア言う。


「お前おかしな女だな」


「あら、変態に言われたくないわね」


「おい、許したんじゃないのかよ」


「だけど恨まないとは言ってないわよ」


パトリシアは聡太に向かい手を出し言った。


「これからよろしく一ノ瀬聡太君」


「ああ、よろしくパトリシア=ヴァン・パリス」

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