第51話 幼馴染との邂逅

私は白川 瞳、今現在太陽坂っていうアイドルグループに所属している17歳、高校二年生です。

ここ最近はとてもたくさんの出来事があって…ちょっと頭の整理が必要だったけど、そんなことをしているうちに新しい護衛さんが決まったということで、私達太陽坂は今現在、運営会社の大きな部屋の中に集められています。

「瞳ちゃん、護衛の方ってどんなひとなのかな?私はやっぱりかっこいい人がいい!」

同じグループに所属する仲間で、親友の西城さいじょう りんちゃんがそう話しかけてきました。

「凛ちゃん!そういうことは、アイドルが言っちゃいけないことなんだから!」

私はすかさずツッコミを入れます。凛ちゃんはすごく可愛くて、スタイルもいいし性格も優しい人なのですが、時々アイドルらしからぬ発言をすることがあるのでその時は私が注意するようにしています。

「ごめんごめん!でも、瞳ちゃんだって新条さんかっこいいとか言ってたじゃない!」

「輝君…じゃなくて、し、新条さんはいいの!」

「あれー?顔が赤くなってるよー?」

凛ちゃんがからかってくる。うかつにかっこいいなんて言うべきじゃなかったかも…。でも、輝君に知られなければいいや!

「ぐぬぬ…!そ、それよりも!護衛さん、ほんとに次はどんな方なんだろうね?」

「わかんないよねー。前の方、凄い怖かったから、できれば優しい人がいいかな…。」

「それは私も同じ気持ちよ。せめて、優しければどなたでもいいかも。」

そんなことを話していた時、突然扉が開いた。

運営会社の社長さん、その他にも名前を知っている重役の方々がはいってくる。

「みなさん。今日集まってもらったのは他でもありません、新しい護衛の方の紹介です。契約期間は特例を除き、2年ですから、みなさんも良好な関係を築けるようにしてください。」

若槻さんが話をし始めました。あらかじめ話は聞いていたから、まわりのメンバーも何か変わった様子はありませんでした。でも、どこか、みんないい人を願っているような、そんな気がします。私が願っているからそう見えるのかもしれないですけどね!

前回の方は、凄い高齢で、しかもとてつもなく怖かったんです。確か、衛術協会序列5位の方なので実力は凄いと思うのですが、怖かったので誰一人として仲良くなれませんでした。仕事等についてきてもらうこともあったのですが、とても気まずい雰囲気になってしまっていたので、今回のお話は、みんな関心をもっていると思います。

「みなさんそんな不安な顔をしないで、安心してください。今回の方は全く怖くないと思いますし、すごく喜ぶと思いますから。」

前回の方の件で相談しに行っていたメンバーもいたようで、やっぱりみんな不安そうな顔をしているようです。

「では、この方です。おはいりください。」

若槻さんの指示で、扉が再び開かれます。

と、そこから入ってきたのは…。黒い軍服、かなりの長身、少し上がった黒髪で超がつくほどイケメンな、私の幼馴染の…輝君でした。

「!!!!」

瞬く間にメンバーの顔が明るくなりました。凄い嬉しいみたいです。かくいう私も気が気ではなく…。

「ひ、輝君…。やったー!!」

と、心の中で叫んでいました。この部屋の中では叫べません。叫びたいけど、そんな雰囲気はありませんでした。

「太陽坂のみなさん、お久ぶりです。この度護衛を務めることになりました、新条 輝と申します。」

その言葉の瞬間、あまりの嬉しさにたまりにたまった鬱憤が爆発したのか、みんな騒ぎ始めた。

「やったーーーー!!」「今まで耐えた甲斐があった…!」「こんなことって!」

「最高だー!ひゃっほい!」

メンバーが全員騒ぎはじめます。私はまだ後輩なので、騒げる勇気はありませんでしたが、凛ちゃんと手を取り合って喜びました。

「…え、えっと、これは…。」

輝君が困惑している。

「太陽坂の前回の護衛の方は少々彼女たちには合わなかったようで。ですから、新条様がついてくれるということで喜びが爆発したのでしょう。」

「は、はぁ、なるほど…。」

輝君は微妙な表情をしています。

「と、とりあえず、皆さんこれから、よろしくお願いします。」

「「「「よろしくお願いします!!」」」」

私達の声が、部屋の中に木霊しました。でも、突然輝君が扉の方を見ます。


次の瞬間、ドカンッ!!!そんな大きな音が立ち、扉が吹き飛んだ。部屋の中に飛んできた扉は、輝の方へと飛んだ。

「…!」

輝は無言で拳を払い、扉を人がいない右側へと吹き飛ばした。

「おうおう、いい御身分じゃねえか、軍人さんよォ。」

年は輝とおなじぐらいだが、茶髪のショート、しかし目つきが鋭い男が入ってくる。

「なんだ、お前は?」

輝はそう男に問う。

「俺は海原かいばら 敏樹はるき!衛術協会、新序列二位だ!!」

海原はそう叫んだ。

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