第47話 VDSの方針
「おわったな。」
和徳が嘆息する。
「これで、俺らのささやかな日常は完全になくなるわけか・・。」
俺はそう、もの悲しく呟いた。
「そうだな。今後は輝にもここ、東京の全軍支部に駐留してもらう。高校は辞めざるを得ない。」
「まぁ、元から何か成したくて入学したわけじゃないからな。日常は感じれたから、もうそれでいい。」
俺はそう返した。
「私なんて、日常を感じたことすらないからね。」
莉々奈もそう言った。
「それは置いといて、だ。今後の方針をお前らに伝える必要がある。」
その隊長の言葉によって、全員が隊長の方を向いた。
「今までは、表立った活動をすることは軍隊という性質上出来なかった。三年前、憲法改正により日本にも軍隊保有が認められてから日英協定により陸、海、空の自衛隊と英国軍が統合して出来た日英全軍だったが、憲法九条、国際連合の中での勢力均衡、国立で衛術協会が出来たことにより動きずらかった。ここは世間には周知の事実だ。だが、こうやって悪魔が襲来し、それを撃退したことにより国際世論が変容し、ついに我々にも認可が下りた。そして、各国の精鋭部隊とともに、有事には国際連合軍として戦うことになった。これは、今リアルタイムで全世界に情報が共有されていることだが、お前たちは知っていることだからよいだろう。イギリスの方には、我々VDSではなく全軍理事会が伝えている。
これからは、こそこそと何かをする必要はない。だが、表立ってするにも、何かの機会がないとそもそも動く妥当性も生じない。まずは、国民からの信頼を得る必要があるが、その機会が無くては話にならない。これから起こるであろう、異世界からの来訪者の侵略を阻むには、それしかない。
今回の悪魔界は元々俺たちが逆侵略していたから事なきを得たが、存在を確認しているだけでも他にも3つは、違う世界が存在する。すべて悪魔やさらに上位の存在によるものだ。悪魔界、魔界、神界、もうひとつは存在が確認されているものの中身は全く分からない世界がある。魔法によってつながってしまったこれらの世界からの来訪者は、いずれ必ず来るだろう。まとめると、界門が開いたらそこに行くという任務と、国民からの理解を得るという任務、それに加えて普段通りの国防任務がある。
おそらく輝には国民からの理解を得る任務の中核を担ってもらうことになるが、具体的なことは決まってない。実際はそこまで焦る必要はないから、後々通達する。」
和徳が説明をした。
「我々がやることは結局、国を、地球を守ること。それには変わりはないから何も問題はありません。」
レジーが付け加えた。
やっとVDSの具体的な方針が定まった。俺はいつもよりも気を気を引き締めた。
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