第46話 国防方針遂行要領

「東京事変の英雄、新条輝は私達と同じ日英全軍特務大将。更に言うなら、世界最強の部隊である対悪魔連合特殊交戦部隊、通称VDSの私を含めた10名のうち、副隊長でもあります。」

そのレジーの台詞で、記者のみならず会見視聴者までもが凍り付いた。

その言葉を合図に、件の新条 輝は会見舞台へと登壇する。

「みなさん、初めまして。新条 輝です。」

そう彼は言葉を発した。

東京事変から何日かは経っているが、その救世主である新条輝は、その間全く表に顔を出さなかった。

メディアも、彼と悪魔王の戦いの時の報道はしていたものの、その後消息が見えなくなった彼を不思議に思う声が多かった。

よって、これは彼が戦いの後初めて人前に出てきた瞬間でもあった。

半ば神聖視までされていたこともあって、その姿をテレビ越しに見た国民は皆、衝撃が走った。

「よろしいでしょうか。僕は全日本高校魔法剣技に、任務によって潜入し、そして優勝しました。途中アクシデントはありましたが、大事にはいたりませんでした。

そして、東京事変の時の悪魔王も、僕単独で撃破しました。これも、一応全ては日本全軍が表舞台に出るためのものでした。

やはり、今回を通じて、僕自身も日本を衛術協会に任せておくわけにはいかないという結論にたどり着きました。

よって、今日から日本の主力防衛担当は、我々日英全軍となりました。」

またもや、メディアの顔に驚愕の表情が浮かんだ。

「今までは、あまり矢面に立たず、裏方で実務をこなしてきた我々でしたが、いくら国立防衛専門部隊である衛術協会が力を尽くしても、限界がありましたし、実際に限界に達しました。すでに協会とは連絡をつけてあります。我々は、魔法表出以前の防衛庁管轄日本最大防衛機関として、協会が作られる前と同じように、国防を担当することになります。さきほどレジーから説明がありましたが、我々10人は全員が特務大将、かつ対悪魔連合特殊交戦部隊という、軍内の最高部隊です。なにか、質問はありますか?」

輝がそう問うと、何人かの記者が手を挙げた。

「確かに、新条さんの実力は我々も知っていますし、信頼に足るものだとは思いますが、果たして他の方は大丈夫なのでしょうか?防衛庁管轄ということもあって、公にはその実力を出す場面が衛術協会と比べてあまりないように感じますが、国民からの理解は得られるとお思いなのでしょうか?」

ひとりの記者が、簡潔に論理をまとめて、質問をする。

「たしかに、その疑問がわいてくるのはわかります。しかし、僕の口からではあまり信用ならないかもしれませんが、この9人は、全員今の僕よりも遥かに強いです。それに、防衛策を講じる全軍理事会はとてつもなく有能なので安心してください。」

輝がそう説明すると、

「し、新条さんよりお強いと、、?それは、俄かに信じがたいですが、それがもし本当なら、間違いなく国民の理解は得られるでしょうね。」

「ええ。それを示す機会は、おいおい作っていくつもりです。国民のみなさんの理解は得られると思います。では、以上で会見を終了させていただきます。」

輝がそう言うと、また一瞬で10人全員の姿は消えた。

もちろん、その日のネット、メディアは大騒ぎとなった。

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