第三章 太陽坂護衛就任編

第45話 表舞台に現れる世界最強部隊

会見が始まる。記者達の目の前にいたのはある二人の男、一橋和徳とレジー=ウィリアム=ワトキンスであった。

「突然の日英全軍主催の会見で、みなさん驚いていることかと思う。

だが、ひとまずは自己紹介だ。私は一橋和徳。日英全軍の特務大将だ。」

「同じく、特務大将 レジー=ウィリアム=ワトキンスです。」

そう二人が言った瞬間、記者たちが騒めきだした。

なぜなら、特務大将というのは大将の更に上、日英全軍の中では全軍理事会につぐ最高権力保持者であるからだ。

そんな重鎮が二人も、おめおめと世間に姿を晒すとは、思いもしなかったのだろう。

「ゴホンッ。」

和徳が制すかのように咳ばらいを行った。

すると、その威圧にも似た制止を悟った記者団は、蛇に睨まれた蛙のように黙りこくった。

「今回の会見の内容は、だいたいわかっていると思いますが、先日の悪魔襲来、世間でいうところの東京事変についてです。」

レジーが話し始める。

「みなさんは今回の件で理解したと思います。

そうです、衛術協会の能力の無さについてです。

今回の事案では、めざましい活躍はなく、あまつさえ衛術協会序列高位の方達は、悪魔の王に返り討ちにされています。

更に付け加えるなら先日の日本魔法剣技大会中に起こった選手の悪魔化の時もそうでした。どちらもほとんど活躍をせず、日本を悪魔から守るという役割を果たしていません。

だから、私たちがこうやって表舞台に出てきました。」

そうレジーが言うと、割って入るように勇気にある記者が言葉を放つ。

「そう言いますが、貴方方もなにもしていませんよね?

活躍したのは日本魔法剣技大会優勝者かつ東京事変の英雄、新条 輝君です。

そんなことを言う権利はそちら側にないと思うのですが。」

すると、レジーはにやりと笑った。

「何もしていない?ご冗談を。

我々は日本の軍隊です。故に、国益を損なうようなことにはならないように、自国を防衛します。私達数名は日本全軍の最高座であるが故に表立った活動は出来ませんでしたが、組織としては動いています。

現に、今回の死者は一人もいないでしょう。東京事変の時、下っ端の悪魔を倒していたのも軍の人間です。マスコミはあれを衛術協会の会員だとか、はたまた運がよかっただけだとか報道していますが、あれらは全て我々がやったことです。

それに、、」

そこで、レジーが少し間を置く。

瞬間、記者会見の舞台に人間が8名現れた。

その中には、あの新条 輝もいた。

「東京事変の英雄、新条輝は私達と同じ日英全軍特務大将。更に言うなら、世界最強の部隊である対悪魔連合特殊交戦部隊、通称VDSの私を含めた10名のうち、副隊長でもあります。」

その台詞で、記者のみならず会見視聴者までもが凍り付いた。

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