第41話  黒帝と冬将軍

「みなさん、大丈夫でしたか?」

俺は『纏雷てんらい』を使ってみんながいるところに戻り、そう言って安否を確認した。

「はい、なんとか・・!」

九條がそう答える。その様子は、見るからに疲弊しており、姿もボロボロになっていた。

「私たちも、九條さんと新条さんのこの盾のおかげ大丈夫でした!」

太陽坂のメンバーもそう言って怪我などがないことを教えてくれた。

「それはよかったです・・。こっちもギリギリの戦いだったので、感知はしていたのですがどうしてもいけませんでした、すみません・・。」

「いえいえ!新条君が倒した悪魔の王は私が倒した参謀よりも強い魔力を持っているようでしたし、なにより、私も多重極魔法を習得できましたから!」

九條はそう言う。やはり・・。俺が感じた九條の魔力量の増加はそういうことだったらしい。

「多重極魔法ですか!これまた、凄いものを・・。」

「また洋介が現れて、私に教えてくれたんです。使えることを。」

「わ、渡辺さんが・・。ということは死後の世界から伝えに来たというより、もう『精霊』に近いですね」

「あ!そう言ってました、洋介も!自分は精霊のような存在だと、言ってました。」

「やっぱり・・。珍しいケースですが、前例がないわけではないです。渡辺さんがついているというのは、かなり心強いですね。」

「前にもこんなことがあったんですね・・。あ、そういえば洋介が言っていたのですけど、新条君の魔力が計り知れないとか・・。」

「・・。まぁ、僕の魔力はかなり特殊ですから、たとえ精霊であっても感知したことのないものだと思いますよ。」

「そ、そうですか・・!」

すると、軍服を着た複数人の男が俺たちの前に出現した。

「黒帝様。これからの処理は我々が請け負います。あなた様は、これより行われる日英全軍の記者会見に特務将軍・・・・、およびVDS副隊長としてご参加お願いします。冬将軍様もご参加され、それに伴ってVDSの面々方も参加されます。」

「記者会見か?また、そんな面倒なことを・・。」

「「参加しろ」と冬将軍様の言伝もありますからどうか・・」

「またあいつは・・。・・わかった。場所と時間を教えてくれ。」

「了解しました。」

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