第38話 九條 奏の真価 ②
あとはこの悪魔を倒すのみ・・。魔力量が確かに凄いけど、遠くにいるあの王ほどではない。とはいえ、恐らくは私と同じ極魔法使いな気がする・・。
遠方では、相変わらず凄い魔力同士が衝突しているようだ。
なら、私も・・!
「多重大魔法『インフェルノ』!!」
極魔法師になって操作技術とか魔力量があがったため多重大魔法発動の際のロスタイムはもうなくなった。
灼熱の業火がゲラルドへと向かう。
「おお!多重魔法使いですか。ですが、こんなもので私を倒せると思うのは滑稽ですよ。
高位デビルアーツ『ブラッディクローズ』。」
ゲラルドの周辺から出現した小さな点はそのまま大きくなって私の『インフェルノ』を一瞬で飲み込んでしまった。
「な、に・・!?」
大魔法とはいえ、多重大魔法を完全に打ち消した。
「ああ、そういえば聞いておかないといけないことがありました。私が作った薬を飲んで悪魔になった彼を倒したのは、やはり今ディアボロス様と戦っているあの少年ですか?」
「・・!!!!まさか・・。あんたが洋介を・・!!」
「はい、そうですよ。彼は私の薬によって悪魔になりました。幼馴染に振り向いてもらいたいとかなんとか言ってましたが・・非常に使いやすい駒でしたね。」
私は怒りで脳がはちきれそうになる。洋介を、あんなんにしたのはこいつのせい・・。こいつがいなければ、こいつがそもそも洋介をたぶらかしたりしなければ・・。本当に許せない。
「・・その幼馴染っていうのは私よ。私は、洋介の幼馴染!小さい時から一緒にいて、一緒に遊んだり鍛錬したりしてきた・・。洋介を倒したのは、向こうにいる彼と、そして私。ほとんど彼がやってくれたけど、とどめは私がした・・。あんた・・自分がしたことを食いながら私に倒されなさい!!!」
「おお、そうでしたか。ならちょうどよい。あの男と同じ場所に送ってあげますよ。ああ、あの世っていう意味でね。」
「あんた・・!極魔法『アストラルファイア』!!」
極魔法陣から、業火の柱が上がる。
「これで・・どう!?」
「・・まぁまぁですかね。極魔法+高位デビルアーツ『ヘルホール』」
ゲラルドも極魔法で応戦してくる。彼の放った黒い球は瞬く間に私の『アストラルファイア』を真っ黒に染め上げてしまった。そして、そのままその柱はゲラルドがかざした手の中に吸い込まれてしまった。
「私の得意とするのはこの魔法無力化。あなたのような魔法オンリーかつそこまででもない魔法師なら私にとっては格好の餌食です。」
「く・・!」
これで私の打つ手は完全になくなってしまった。他の極魔法を使うにしても、イメージがわいてこない。魔力量はまだ余裕があるが、大魔法を複数打ち込んでも結局また無効化されるだけ。結局は意味をなさないのだ。
「これだけですか?こんなもので私に勝つと、そうおっしゃっていたのですか?」
「くそ・・!!」
私は苦悶の声を漏らすしかなかった。
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