第37話  九條 奏の真価 ①

「いってしまいましたね・・」

私は太陽坂さんにそう言った。

「そうですね・・。まぁ。新条さんなら大丈夫でしょう!」

太陽坂さんのキャプテンはそう言ってくれた。

「とりあえず、私はもしもの時のために備えておきます!!」

今の私にできることはそれくらいしかない。悪魔軍の参謀が出現するかもしれないらしい。新条君は流石に手いっぱいでここにはすぐにはこれないだろう。

だから、いざというときは私がやってやる。もう新条君に迷惑をかけたくはないから。

その時、ゴン!!とさっきよりもさらに大きな音が遠方でなった。その振動は、ここまで伝わってくる。

「新条君・・」

確実にこれは新条君のものだ。今、悪魔の王と対峙していると思う。新条君なら大丈夫だとも思うが、それでもこの感じたことのない圧倒的な魔力量を前にすると、どうしても心配になってしまう。

すると、魔力の流れが一変した。私が感じていた強大な魔力が二つに増えた。この魔力の幹事は、おそらく新条君。彼もまた、実力を隠していたというわけだ。

すると、今度は遠方に蒼い雷の柱が見えた。ここからでもよく見える。

だが、それは一瞬のうちに消滅し、あたりは暗くなった。

また衝撃音が鳴る。今度は突風のようなものも吹いてくる。

どこまで彼らは強いのかと、私は驚愕した。

「これは、本当に凄いですね・・。」

「ええ、本当に。この距離まで届く衝撃波ってもう、ありえないです!」

また衝撃波が起こる。と思ったら、遠くに黒い柱が出現した。とんでもない魔力を感じる

。極魔法師となった私でも、絶対に勝てないような、そんな圧倒的なものを感じたその時、

ビシッと音が鳴った。

「九條さん!今、攻撃されたみたいです!」

太陽坂さんのひとりがそう教えてくれた。

「ハハハ!この程度では破れませんか。」

目の前に人間ほどの大きさの悪魔が出現した。かなりの魔力を感じる。こいつは、間違いなく参謀のゲラルドだろう・・。

「あなたは、悪魔軍参謀のゲラルドね!?」

私がそう叫ぶ。

「フフフ・・。ご明察。やはり、我々の情報は人間に察知されていたようですね。道理で人間の姿があまり見えないわけです。嵌められたのはこちらだったというわけですね・・。恐らくは奴ら・・の仕業でしょう。」

「奴ら?あなたが何を言っているのかはわかりませんが、もうあなた達の好きにはさせない!」

「フフフ・・。そういうわけにもいきません。今回は失敗してしまいましたが、ここで少なくともあなた方を殺し、それで今回は良しとしましょう。」

「させるものか!ここは新条君に任されたの!絶対に、この身に代えてもあなたを倒して見せる!」

「あなたも素晴らしい魔力をお持ちのようですが、はたして私に勝てますかな?」

ゲラルドは私にそう言って挑発をした。そんなものに流されはしない。

「太陽坂さん!私が必ず守って見せますから、安心してください!」

「はい!信頼しています!」

あとはこの悪魔を倒すのみ・・。魔力量が確かに凄いけど、遠くにいるあの王ほどではない。

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