第36話 vs悪魔王ディアボロス 【終局】

「はァはァ・・。」

「ゼェゼェゼェ・・。」

流石の俺とディアボロスもかなり疲弊していた。

「我をここまで追い詰めた人間は初めてだぞ!お前、名を聞いてやろう。」

ディアボロスは俺にそう言ってきた。こんなやりとりをしてる場合ではない。決まる手はあるが、それを使うのは不安要素がある。

「・・!」

すると、なんとゲラルドの反応が消えた。九條の魔力量は確実に強くなっている。ということは、九條は何らかの形で勝利したのだ。安心すると同時に、その憂慮していた不安要素も消えたため、もう決めることにした。

「・・・いいだろう。俺は『黒帝こくてい』。日英全軍対悪魔連合特殊交戦部隊VDSの副隊長だ。」

「な、な、なんだと・・!?黒帝・・?お前はまさか・・。二年前元悪魔王を倒した、『灰色』の片割れか・・!?ありえない、なぜお前がここに!?」

明らかにディアボロスは動揺している。そりゃ無理もない。二年前、アメリカに悪魔が襲来した際、逆探知的に悪魔界に俺らの隊は侵入し、そのままそこにいる悪魔を全員殺した。ついでに齟齬があった時間軸も元に戻したため、悪魔界の方が人間界よりも時間の流れが速く、その分成長が段違いに早いという人間に圧倒的に不利な条件はなくなった。こいつはその生き残りというわけだ。

「じゃあ、終わらせるぞ。」

俺は上方に刀を掲げた。瞬く間に雲が暗くなる。そして、雷がいたるところから俺の刀に集結していた。

「そ、んな・・。ばかな・・。あの忌々しいやつが!!」

まだディアボロスは動揺している。

完全にチャージし終えた。

「我がかたき!!!絶対に負けぬ!!水晶!極大魔法『デドラードヘルブレイズ』!!」

「散れ。蒼電一閃奥義『極雷きょくらい』」

ディアボロスの使用した水晶は割れ、空に極大魔法陣を作り出した。だが、それは俺が見てもわかるほど完成された極大魔法陣とは違うものだった。つまり、未完成な魔法陣。そんなもので俺に勝てるとは思わないでほしい。

その未完成な極大魔法陣から真っ黒い濃密な炎が放出される。

俺の刀からディアボロスめがけて、超強大、強力な雷がディアボロスを貫通して雲も突き抜けていく。ディアボロスの使用した魔法も完全に打ち消した。

そのあとには、空に穴が開いたように雲が完全に割れていた。

「――っ!ふぅ。」

俺はしりもちをつく。この技は今の俺では反動が大きい。だから、あまり使いたくはなかった。

「終わったな・・。」

俺は自分が放った技によって見えるようになった青空を見て、感慨にふけった。

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