第33話 悪魔王ディアボロスの力

これは俺達が競技場をこじ開け、その正体を吐露する前の話。

異常事態を察知したスカルノ=メルカリウスと、クライスト=メルカリウス、それと衛術協会序列2位の今生こんじょうさとる(27歳)は共に魔力の反応が強いところに向かっていた。あたりは激しい轟音とともに更地になってしまっていた。おそらくはその元凶がこの先にいる。

「父上、我々だけで勝てますか・・?」

「正直わからない。我々三人とて、この惨状を一瞬のうちにつくりだした者に勝てるかは確証はない。だが、やるしかないのだ」

「スカルノ様、一位はこんな時に何をしているのでしょうか・・?」

今生がスカルノにそう訊いた。

「あやつのことだ、裏でちゃんと活躍しているのだろう。衛術協会最強、恐らく日本最強としてこの場にいてほしかったがな・・。」

そして、三人は同中に襲ってくる低位の悪魔をスカルノは弓で、クライストは槍で、今生は斧で倒しながら、この騒動の元凶を見つけた。

その姿は禍々しく、角が生え、翼もあり、肌は黒がかった紫色をしている。

大きさは三メートルほど。だが、その中に内包している魔力量が半端ではないことはすぐにわかった。

「父上・・。」

「ああ、クライスト。これは・・。」

「おそらく悪魔の王ですね・・。」

三人ともその答えにたどり着いていた。

「人間よ。よくぞ見破ったな!我は悪魔王ディアボロスだ。ひ弱な日本を落としに来た。だが、一つ問わせてもらおう。誰一人として建造物の中にいないのはどういうことだ・・?我はまだ人間を一人も殺せていない!!どういうことだ!答えろ人間!」

ディアボロスが凄まじい剣幕で三人に問いかける。

「だれも中にいない・・?私達衛術協会もそんなことは知らぬぞ!」

「なに・・?お前、よく見たら衛術協会の会長とやらだな・・。それに、知らぬわけがないだろう!しらを切るというのなら、こちらからもいかせてもらうぞ。」

周辺の魔力の流れが変わった。何か技を放つ気だということは自明だ。

「クライスト!聡!攻撃をするぞ!全力の技で構わない!」

「わかりました!魔法槍奥義『グングニル』!!」

「了解!魔法斧奥義『ミョルニール』!!」

「地・魔法弓奥義『ペトラ・オルカ』!!」

三つの強大すぎる技がディアボロスへと飛んでいく。

「人間にしては高威力ではないか。極魔法『ヘルブレイズ』」

四つの技が交錯する。ありえないほどの音と、地震めいた振動が起こる。

だが、ディアボロスの技の前に三人の技はなすすべもなく砕け散った。

そのまま『ヘルブレイズ』は炸裂し、三人をボロボロにした後、周辺を炎で埋め尽くした。

「だが、こんなものか・・。衛術協会とやらはこんなものか!!容易い、容易すぎるぞ!!」

ディアボロスは大きな声で笑いながらそう言った。

「もっとだ!もっと!もっと強い奴をよこせ!こんな雑魚共ではなく、我を楽しませる者をよこせ!!」

ディアボロスはそう叫ぶが、返事をする人ももういなくなっていた。

「・・。はァ、ここら一帯は終わらせるか。悪・極魔法『デーモンヘルブレイズ』」

その技を放った瞬間、

「させない!蒼電一閃『雷光らいこう』!!」

俺が到着した。俺の放った技は、半径5mほどの太い雷。その技は、『デーモンヘルブレイズ』とぶつかり、さっきよりもすさまじい音と、振動を起こした。

「な・・!?我の悪・極魔法をたったの一撃で打ち消しただと!?」

「おい、悪魔の王とやら。俺はお前を殺しに来た。」

「はッ!やれるものならやってみろ!!」

「ああ、そうさせてもらう」

俺は悪魔王ディアボロスと睨みあった。


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