第14話 雷魔法vs日陰抜刀術 前編

そのまま始まる第三回戦。


対戦カードは魔法第二高校主席であり、雷の大魔法を使う渡辺 洋介と、柳生流日陰抜刀道の免許皆伝である天衣 渡の二人だ。


どちらも凄い選手だが、俺は天衣 渡のほうに注目していた。


今回唯一の抜刀術の使い手ということで、戦闘スタイルが恐らく俺と似ているから、日本が誇る柳生流日陰抜刀道がどこまで凄いのか、その真価が俺は見たかった。


だが。、渡辺 洋介も侮れないと思う。


情報では魔法第二高校の圧倒的主席とあるから、場合によっては雷の大魔法によって瞬殺もあり得るかもしれない。


どちらにせよ、見応えのある試合だ。


琴原の声が場内に響く。


「全日本魔法剣技大会、第三回戦です!」


「選手入場です!まずは東コーナー!魔法第二高校主席の渡辺 洋介選手です!」


そのアナウンスとともに、前髪を上げた男と、担当アイドルが歓声とともに入場してきた。


「続いて西コーナー!柳生流日陰抜刀道の免許皆伝である天衣 渡です!」


そのアナウンスの後、西コーナーからは背の小さい童顔の少年と、その担当アイドルが入場してきた。主に女性の歓声が響く。情報通り、女子受けがいいらしい。


二人は位置に着く。そろそろ始まるようだ。


「天衣 渡、剣術の天才らしいが俺の雷魔法でお前の剣技を意味なくしてやる。」


渡辺 洋介はそう言った。


「渡辺先輩、僕の剣技を甘く見ないでください。柳生流の名に懸けてその魔法を打ち破ってやりますよ。」


天衣 渡はそう返答した。


「それでは、第三試合渡辺 洋介vs天衣 渡の試合、開始!」


そう琴原が叫んだ。


始まった瞬間、天衣が仕掛けた。巨大戦闘場の端にいる二人の距離を素早くつめている。


魔法師を相手にした戦い方はこれが正しい。俺でもそうするだろう。


いつの間にかその距離は50mほどにまで縮まっており、ここまで渡辺は微動だにしなかった。


すると、


「魔法陣『サンダースパイラル』」


ようやく渡辺が動いた。通常魔法で天衣を攻撃する。


魔法陣の中から出た細い雷は天衣に向かい、炸裂したかに見えた。


「日陰抜刀術『切裂きりさき』」


天衣は向かってきた雷を切り裂き、攻撃を完全に無効化した。


「流石、この程度では効きもしないか。」


渡辺が言う。


「当たり前ですよ。あなたの大魔法も無効化してみせます。」


「…いいだろう。」


渡辺は短くそう返した。

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