第13話 『巫女姫』

俺は急いで階層を上がり、自分の待機室にもどった。


この競技場の欠点は、大きすぎて移動に時間がかかることだと思う。


二回戦はさっき喋った柊 夜空と、たしか一ノ瀬 翼という人だったはずだ。


そんなことを考えながら、俺は部屋にはいった。だが、もう遅かった。


俺が入った瞬間、モニターには




The end of duel


winner、柊 夜空




と表示されていた。いそいで戦闘場の様子を見てみると、そこには倒れ伏した大男と、チャクラムを持って立っている柊 夜空がいた。


「一ノ瀬選手の戦闘不能で、勝者は柊 夜空選手です!高校一年生ながらも、圧倒的な力を見せつけ、勝ったのは柊選手です!」


俺がこの部屋に戻ってくるまでの数分間で決着がついてしまったようだ。


柊がなにをしたかはわからないが、この時間で終わるということは相当実力差があったということだろう。


倒れたままの一ノ瀬 翼は担架で運ばれて行ってしまった。よく見ると彼の体には多くのかすり傷のようなものがあった。柊のチャクラムによってつけられたのだろうと思ったが、それにしては傷が多かった。


彼女は『姫君』らしく無傷で退場していった。


次に戦うのは彼女だから、俺は少し警戒しておこうと思った。


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