第12話 追憶の欠片
クライストと握手した後、俺は入場口へと戻った。
するとそこには、俺の応援担当の太陽坂45のメンバーが揃ってそこにいた。
「新条さん、とてもかっこよかったです。」と一人のメンバーが俺に言ってきた。
「ありがとうございます。皆さんの応援のおかげで勝てました。」
そう返す。すると、もう一人のメンバーが出てきて、
「あ、あの・・!本当にかっこよかったです・・!」
と、顔を伏せて下を向きながら言ってきた。
「・・?
顔がよく見えなかったため、確認するようにそう言った。
「は、はい!白川です、、!」
今度は俺の方を向いてそう言われた。すこし頬が赤くなっているように見えた。
「ああ、やっぱり。」
俺と白川さんは目を合わせた。すると、白川さんはまた顔を伏せてしまった。テレビで見た通り、少しばかり人見知りな性格なようだ。ちなみに俺と同い年で、公開されている情報では同じ県出身らしい。どうでもいいことだがこのグループではこの子を一番応援している。異性としてではなく、純粋に頑張っている姿を見て、応援しようと思った。
「新条さん、私たちをご存知なのですか?」
俺よりもだいぶ年上なはずの太陽坂キャプテン、
「はい、もちろんです。いつも元気をもらってます。」
「そうですか!!うれしいです!ちなみに、推しメンは誰ですか?」
やはり根は色恋大好きな女の子らしく、興奮気味にそう尋ねてきた。
「えーっと、みなさん全員を応援してますよ。」
少し返答に困ったが、推しとかはよくわからないから当たり障りのない感じで返した。すると、
「それはありがとうございます!でも、推しは…」
そう東雲さんがいいかけたその時、
「すみません。貴方は先ほどクライスト様に勝った新条様ですよね?」
背が比較的高く、一目で傾国の美女というにふさわしいであろうポニーテールの人物が俺にそう尋ねてきた。
「はい、そうですけど、あなたは・・?」
「私は二回戦に出場する、柊 夜空という者です。この先の準決勝ではおそらく敵同士になると思いますから、何卒よろしくお願いします。」
見るからにお嬢様として清楚な振る舞いを幼少期から叩き込まれてきたような、きちんとした態度で礼をしてきた。たしか情報にあったが、魔法第三高校主席で、元出雲大社の筆頭巫女っていう凄い経歴を持った人だった。それを思い出し、合点がいった。
でも、準決勝のことを言うということは、よほど今から始まる二回戦に自信があるということだ。
確か相手は一ノ瀬 翼っていう人だったかな。
「はい、よろしくお願いします。まずは、第二回戦を頑張ってくださいね。」
俺はそう返した。
「もちろんです。では失礼します。」
彼女、柊 夜空はそう言い、入場門の前に立っていた。つまり、もうすぐ二回戦が始まるということだ。
「太陽坂さん、次の準決勝もよろしくお願いします!」
俺はそう言い放って、急いで自分の待機室に観戦のために戻った。
「ああ!行っちゃった新条さん。」
太陽坂のキャプテンがそう言う。
「瞳ちゃん、聞かなくてよかったの?昔どこかで会ったかどうか。」
「いいんです、、。多分新条さん、いえ、輝君は覚えてないと思います。なにしろ、幼少期のことですから、、。」
白川 瞳は少し悲しそうにそう返した
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