第5話 すなつぶゆがんでかたまった

両手で砂を掬い、指の隙間から少しずつ落としていく。


さら。さら。さら。


流れていく砂はとても滑らかで柔らかくて綺麗だ。


私は綺麗なものが好きだから、それを眺めながら私はあの人への想いを馳せる。


大好きだった。尊敬していた。ずっと一緒にいてほしかった。


なのに。


裏切った。いなくなった。私にだけなにも言わずに消えてった。


ぽたり。ぽたり。


赤い水が砂に落ちた。


そしたら泥みたいに固まった。綺麗な流れも歪になった。


ああどうしようどうしよう。


私は綺麗なものが好きなのに。ずっと綺麗でありたかったのに。


産まれてくるものはどうしてこんなにも汚いの。

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