12 独り言

 とあるマンションの一室。少女は鏡台に向かって座り、髪を梳かしていた。濡れた髪は蛍光灯の光を反射し、鈍く光っている。


「ねぇ、聖」


 少女は誰かに向かって話しかける。だがその部屋には独り、彼女がいるだけ。


「新しい魔法使いが生まれたって、ホント?」


 返答はない。虚無があるだけ。しかし独り言は続く。


「へぇ……あなたと仲のいい人だといいね」


 濡れた髪を乾かし、整えると、ナイトキャップを被った。そして電気を消すと、布団に潜り込む。枕元には、時計と着替えの制服、さらに1つのフォトフレーム。


「でもわたしには……独りでいるのがあってるから」

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