第16話 アケチミカ
1月24日
最後の大学入試センター試験。2021年より大学入学共通テストに移行予定。
浩正は腰痛で身動きが取れなくなっていた。筑穂タウンの叔父の家で療養していた。バンテリンを幹部に塗り、コルセットを巻いた。
「爺さまみたいだな?」
見舞いに来た椎名多江が鼻で笑った。
「馬鹿にするなよ」
0時10分頃、東京都渋谷区の竹下通りで、軽自動車が歩行者8人をはね、うち1人が意識不明の重体。運転手の男は逃走したが、25分後に警視庁原宿警察署員が身柄を確保。その後殺人未遂の疑いで逮捕された。調べに対し「テロを起こした」と供述したが、その後「人を殺そうと思ってはねた」と供述した。
被疑者は高川あきら、かつてテロ組織『アンデッド』に所属していた。
『アンデッド』の三宅力、秋山竜太郎、松山太は名古屋に来ていた。古本屋でマンガや週刊誌を立ち読みした。
三宅はLINEニュースで高川が逮捕されたことを知ってビビった。3人組は20代だが、高川は37歳だった。
「あのオッサンもヤキが回ったようだな」
松山は風船ガムをパチッ!とやった。
「うっせーよ」
秋山は田中みな実の横乳にうっとりしていた。
「いいな〜、抱いてみたいなぁ」
「オメェみたいなデブは豚でも抱いてろよ」
三宅は誰を殺そうか妄想していた。
「真瀬麻子マジでムカつく」
秋山が吐き捨てるように言った。
真瀬は三宅たちが3年前に勤務していた『タルタロス』って食品会社の正社員だ。ホントはアサコなのだが、三宅はマコだと思い込んでいる。
『タルタロス』のタルタルソースは人気商品だ。
タルタロスはギリシア神話に登場する神であり、かつ奈落そのものである。
ヘーシオドスの『神統記』に拠れば、カオス、ガイア、エロースとともに生まれた原初の神々の一柱である。女神ガイアとの間にテューポーンという息子がいる。アポロドーロスに拠ればエキドナも彼とガイアの娘である。
冥界ハーデースのさらに下方に有る。天と地の間の距離と同じだけ、大地からさらに低いところにある(その距離というのは、具体的には、上端から下端へ真鍮の金敷きを九昼夜落とし続けて十日目に下端につく距離)。
霧たちこめ、神々ですら忌み嫌う澱んだ空間。ポセイドーンが青銅の門を作り、その周りは青銅の壁で覆われているため、何者も逃げおおすことはできない。仮に人間がこの門の中に入ったとしたら、一年がかりでも底にたどり着けない。かえって、神々が怖れるほどの苛烈な暴風で吹き飛ばされてしまう。
はじめ、ウーラノスやクロノスがヘカトンケイル族やキュクロープス族を幽閉するのに使い、怪物カムペーに番人をさせていた。後にゼウス達が彼らを解放しティーターン族を打ち倒すと、ティーターン族が幽閉される番となり、ヘカトンケイル族がその牢番となった。他にもテューポーンがここに投じられたとも言われている。
後世、たとえばプラトンなどでは地獄として扱われるようになった。
新約聖書の原文中、ただ一度ペテロ第二2章4節にその名前がみえる。
三宅たちは真瀬の家に行き、ゴキブリの死骸をポストに入れておいた。
1月25日
蓮子はつくば市でチャイニーズレストランを経営していたが、ある日、友人の北見美香の送迎中、爆発テロに巻き込まれ目の前で美香の命を奪われてしまう。
美香が亡くなる前の日、蓮子の夢の中にキタミ・ミカが出て来た。怪物とキタミ・ミカは戦っていた。ミカはカンフーの使い手だ。怪物は人面馬脚で赤い身をし、嬰児のような声を上げミカを喰った。
その後、『アンデッド』が犯行声明を出す。『これ以上俺たちをコケにしたらまた新たな犠牲者が出る』と。
北見美香は派遣会社『ソード』のコーディネーターだった。
木村は、かつて過激派組織の活動家だったが現在は国会議員となっている小林幸雄とコンタクトを取り、犯人の名前を教えるように小林に迫るが、小林は無関係を主張し、彼を帰してしまう。
三宅たちはアパートで飲んでいた。三宅はビール、秋山はサワーが好きで、松山は一滴たりとも飲めなかった。松山はアルコールアレルギーだった。
「俺を殺す奴は酒を飲ませてくるだろうさ?」
松山は三宅たちを完全に信じてるわけじゃなかった。ニュースを見て三宅は憤慨した。
「俺たちを利用しやがって、なめてやがる!」
そう、北見美香を殺害した犯人は『アンデッド』ではないのだ。
「あっ、つまみなくなっちまった」
秋山は嘆いた。柿ピー、ポテチ、スルメイカ……全滅。
「ヤベー、もう9時だぞ」と、三宅。
テレビの時計は20:57になってる。
アパートの近くに『シックスナイン』ってコンビニがある。オープン当初は6時から21時までの営業だったが、1980年代後半から24時間営業に切り替わった。だが、今年から過労死防止の為に昔の形態に戻った。
「働き改革うぜーんだよ」
秋山はソファに寝転がった。
「しばらくはおとなしくしてた方がいいな?」
三宅が金麦を飲み干し言った。
「コロナうぜーよな?」と、松山。
「そうじゃねーよ、俺たちハメられてるからさ?あんまり派手なことしない方がいいってこと」
1月27日
茨城県の老舗百貨店・鰐淵及び関連会社の鰐淵友の会が茨城地方裁判所に自己破産を申請。即日破産開始決定を受けた。
鰐淵鈴江は逃し屋、市川朔太郎の力を借りて北海道に逃げた。市川は普段はトラック運転手だ。
市川の夢の中にワニブチ・スズエが現れた。リアルの鰐淵鈴江は老婆だが、夢の中では絶世の美女だ。
市川は椎名多江に相談した。かつての恋人で、神話とかに詳しかった。
「コシンプかも知れない」と、多江は言っていた。
コシンプは、樺太や北海道のアイヌ民話に伝わる精霊。地域によっては「コシンプウ」「コシンプイ」などともいう。
動物が人間の異性に懸想して憑くことをいい、北海道ではキツネなどの山林の動物のものをイワコシンプ(イワは山の意)、オホーツク海岸から樺太にかけてはアザラシなどの海の動物のものをルルコシンプという(ルルは波の意)。ルルコシンプは日本の本土でいう人魚のようなものともいう。姿を現す際には絶世の美女となって現れる。
人間に憑いて様々な悪事を働くといい、これらに憑かれると、どんな者でも何年かのうちに必ず死んでしまうともいう。アイヌの民俗では、人間の気が狂うのは他者に呪われたか妖魔が憑いたかのどちらかとされ、淫欲を司るパウチカムイとともに人間を狂気に陥れるものが、このコシンプとされている。
ある伝説によれば、ルルコシンプに憑かれた女が良い声で「海へ来い、海へ来い」と誘う歌を歌うことがよくあり、潮の響きのような良い声であったが、呆気のように無表情だったという。
ただし、コシンプは好きな男のトゥレンペ(憑き神)になることもあり、そのときには善神として、憑いた男を良い運命へと導くという。
イチカワはワニブチに崖の上から突き飛ばされた。
1月29日
新型コロナウイルスの主な感染エリアとなっている中国・武漢市の封鎖により、現地に取り残されていた日本人の民間チャーター便による帰国が開始された。
武漢市に椎名多江は来ていた。小林幸雄を追っていた。依頼人は真瀬麻子というマダムだ。中国には悪魔虫って怪物が伝わる。中国語では『悪魔蠕虫(エモ・ルーチョン)』という。粥と共に人体に入り、病をもたらす。
また、アツユって怪物の存在を知ったとき多江は震えた。窫窳は、『山海経』海内西経によると、もともとは蛇身人面の天神であったが、危(き)と弐負(じふ)という神によって殺された。黄帝によって崑崙山で薬をほどこされ蘇生したが、川に身を投げて怪物に変じたという。
姿は赤い牛のようで人面、足は馬のようで赤ん坊のような声で鳴く。人を襲っては喰い、堯の命を受けた弓の名手の羿(げい)によって退治された。
「蓮子の夢の中に出て来た怪物じゃない」
探偵業はそんなに儲からず、心理カウンセラーの仕事もはじめた。また、殺し屋としての顔を持つ。蓮子は腰の曲がった老婆だった。
蓮子は身を守る為に整形を施し、明智美香と名を変えた。蓮子は幼い頃、江戸川乱歩の書いた推理小説にハマった。いつか、明智小五郎みたいな名探偵になりたいと思っていたが、両親に大反対された。
『危険だからやめろ』『普通の仕事につきなさい』
鏡に映っているのは別世界の人間だ。若かりし頃の美空ひばりによく似ていた。
信じられぬことだが、鰐淵鈴江もアケチ・ミカと名を変えていた。明智美香とは1字違いの明智美嘉だ。
こっちは明智光秀の末裔という設定で、どことなく黒木瞳に似ていた。
市川は『失楽園』のラブシーンを思い出し顔が熱くなった。
多江はコバヤシ・ユキオが殺される夢を見た。上海で委蛇(いい)という2つの頭を持つ蛇に遭遇、この怪物は見ただけで死ぬ。ユキオは首を押さえ『クルシイ』と言いながら死んだ。
真瀬麻子は小林幸雄の友人で、探し出してほしいとのことだった。初恋の人だったのだろうか?
1月30日
浩正は録画した連続テレビ小説『スカーレット』を見ていた。主題歌の『フレア』はSuperflyが歌っている。戸田恵梨香の演技力はすごいな?一昨年の『大恋愛』もよかったな?アルツハイマーの役が上手だった。それにしても今回は出番が少ないな?多江は無事かな?
小林幸雄の遺体が小樽運河で見つかった。
小林は剥製にされていた。
剥製 とは、学術研究・展示、鑑賞を目的とした動物標本作製技術の一種。あるいは技術によって標本にされた動物個体のことを言う。
死亡した動物の表皮を剥がして防腐処理をほどこし、除去した内容物の構造の代替として損充材を詰め、標本生存時の外観形態にほぼ近い状態で保存する動物標本技術の一種である。
剥製技術は、標本外観の長期間の保存を目的としたものであり、適正に施術をほどこされた剥製標本は、自然環境下でも数十年単位、博物館・資料館などの保存施設が整った環境下においては数百年単位での保存が可能とされている。
一般的な剥製技術の方法においては、剥製標本にする動物個体に対して、内臓系・神経系・筋肉系のすべて、ならびに骨格の大部分を除去し、腐敗防止のため皮革および残存した骨格になめしなどの防腐処理を施し、除去物(内臓・脳などの神経・筋肉・一部の骨格)に対して損充材(ボディ)を詰めて外観を整える。損充材には、過去には脱脂綿・ゴム・木屑などの天然繊維や天然樹脂が用いられてきたが、近年では形態の安定・防腐や劣化防止の観点から、グラスファイバー・ポリウレタン・発泡スチロールなどの合成繊維・合成樹脂を用いることが多い。 骨格の大部分は除去されることがほとんどであるが、外観の頭部・尾部・足部手指部(爪などと緊密に構成されていることが多い)など構成要素となる頭蓋骨・尾骨・手指の細骨などについては、まま保持(筋系・神経系については除去)して剥製標本内に利用されることが多い。
剥製技術の対象としては、主に脊椎動物に対してこれを用い、特に哺乳類、鳥類、爬虫類に対して多く用いられるが、両生類や魚類などに対してもこの手法を用いることがある。
脊椎動物以外に対しては、イセエビ類などの甲殻類や、昆虫類にこの剥製手法が用いられることもあるともされるが、甲殻類、昆虫類のなかでは甲虫類はきわめて強固な外骨格を持ち、外骨格内の内容物をすべて除去して外骨格に防腐処理を施せば極めて容易に形態保存が可能であり、そもそも外骨格は「皮」ではないことから、甲殻類や甲虫類に対するそれは、厳密には剥製技術とは呼ばないことも多い。
また、近年においては動物の外観保存技術としてフリーズドライ技術が多用され、広義の剥製技術の一種として分類されることがあるが、この技術は、剥製技術の定義と言える皮を『剥いで』防腐処理をほどこすという工程を持たないことから、フリーズドライ技術のそれは、厳密には剥製技術とは呼ばないことも多い。
ニュースを見て、浩正は江戸川乱歩の『黒蜥蜴』を思い出した。
帝都東京の暗黒街の一角、クリスマス・イブのパーティーで、一座から崇められる黒衣の夫人がいた。求めに応じて全裸で「宝石踊り」を舞う美貌の彼女の左腕には、黒いトカゲの刺青があった。その晩、恋人と恋敵を殺して庇護を求めてきた青年、雨宮潤一を死亡偽装させ、『山川健作』の名を与えて忠実な部下に加えた彼女、『黒蜥蜴』は、Kホテルに滞在中の大阪の富豪岩瀬庄兵衛の令嬢、早苗を誘拐するために、有閑マダム『緑川夫人』の名で岩瀬老人に近づいた。だが岩瀬は相次ぐ警告文をもとに、素人探偵明智小五郎に依頼して、その身辺警護に当たらせていた。
早苗の誘拐の可否について明智に賭けを挑んだ緑川夫人こと黒蜥蜴は、変装して山川となった潤一とともにまんまと早苗を浚ってみせたかに見えたが、明智の機智の前に一敗地にまみれ、かろうじて逃亡。明智と岩瀬は、大阪南部の岩瀬の自宅で早苗を匿うが、部屋の長椅子に仕込んだ黒蜥蜴の人間椅子のトリックで、早苗はついに誘拐されてしまう。
黒蜥蜴は岩瀬老人に、大阪通天閣塔上でのダイヤ受け渡しを要求する。黒蜥蜴は早苗とダイヤモンド『エジプトの星』の交換を岩瀬に要求。通天閣塔上でダイヤの受け渡しをもちかける。変装した明智は黒蜥蜴の裏をかいて賊を追跡、黒蜥蜴は自家用の蒸気船で東京まで逃亡を図る。船に乗り込んだ明智は黒蜥蜴との虚々実々の駆け引きの末、隠れていた長椅子もろとも海に投げ込まれてしまう。好敵手明智を失い、早苗と二人で激情にまかせ号泣する黒蜥蜴。
東京湾の埋め立て地の廃倉庫の地下に黒蜥蜴のアジトはあった。誘拐した早苗に、誇らしげに宝石をはじめとする収集した美術品の陳列を披露する黒蜥蜴。さらに女賊は早苗に恐るべきコレクションを見せる。それは剥製化された全裸の人間の陳列、さらには檻の中に閉じ込められた全裸の美青年、人間を放り込む大水槽だった。そう、黒蜥蜴は、若く美しい男女を誘拐しては殺害し、剥製としてきたのだ。黒蜥蜴は早苗をその陳列に加えるつもりであると残忍に言い放つ。はたして早苗の運命は、そして名探偵明智小五郎は本当に死んでしまったのか…?
犯人は『黒蜥蜴』をモチーフにして小林を殺したんじゃないか?浩正は思った。
北海道警察捜査1課に所属する、白井孝太郎警部は小樽運河沿いにある『アマリリス』ってホテルにやって来た。白亜の洋館で、シャレオツな感じだ。
殺された小林が昨夜、チェックインしている。もしかしたら、小林を殺した犯人が『アマリリス』の中にいるかも知れない。白井はホテルマンに頼んで宿帳を見せてもらった。
その中に『明智美嘉』という人物がいた。『アマリリス』は2階建てで、明智美嘉は『207』に宿泊していた。彼女は明智光秀の末裔らしい。
「信長公は甘党でしたからね?髑髏の盃なんてありえません」なんてことを美嘉は言っていた。姉川の戦いから3年後、浅井氏と朝倉氏は滅亡した。その際、信長は浅井長政・朝倉義景・浅井久政(長政の父)の髑髏に金箔を施し、頭の皿を盃にして飲んだと大河ドラマや年末年始の24時間時代劇(現在は随分、時間が短くなった)などでよくやっていた。
1月31日
1月最終日、今月も雪は降らなかった。冬って感じがしない。
アケチ・ミカが浩正の夢の中で亡くなった。熊に食い殺されてミカは死んだ。
ケナシコルウナルペってアイヌに伝わる妖怪がいる。
名称は木原の姥の意味で、胆振地方や沙流郡での呼称。他にも平原の小母を意味するケナシウナラペ、湿地の小母を意味するニタッウナラベなどの名があるほか、天塩地方では山の魔の意味でイワメテイェプとも呼ばれる。
樹木の空洞や川岸の柳原などに棲んでいる怪女。ざんばら髪で、黒い顔には目や口が無く、親指のような鼻が付いているのみである。また川岸の柳原などにも棲むといわれたため、そうした場所では人が泊ることを戒められていた。
クマを操ることができ、山狩りをする者を熊に襲わせたという。そのため、本来善良な動物であるクマが人を襲うのはこの妖怪の仕業とされていた。
死んだのは明智美香なのか?それとも明智美嘉なのか?
浩正は整骨院にかかっていて牽引とかしてもらったが、ここにアケチ・ミカも来ていた。待合室で隣に座っていた美女だ。テレビで爆破テロの続報をやっていた。
犯行に使われた爆弾はC4爆薬というものだ。
「C4って舐めると甘いのよ」
ミカがそう言ったときはコイツが犯人なんじゃないか?と思った。
TNT換算で約1.34倍の威力があり、3.5kgあれば幅200mmの鉄製H鋼を爆発の一撃で切断できる。粘土状であるため、固形爆弾では難しい隙間に詰め込める。さらに、耐久性・信頼性・化学的安全性が高い。衝撃による暴発はまず無く、火に投げ込んでも単に燃えるだけであり、確実に起爆させるには起爆装置や雷管を要する。
イギリス軍ではプラスチック爆薬はPE4と呼ばれる。C-4とPE4はともにオフホワイトの固体で、その爆発性特徴や組成もほとんど同一だが、使われる可塑剤のタイプと割合が異なる。
少量では燃焼するため、ベトナム戦争時には固形燃料の代わりとしても用いられた。ただし、主成分のRDXなどは毒性がある。爆発した際にはオレンジ色の閃光が発生する。陸上自衛隊でも使用され、施設科では新隊員後期教育訓練期間中に行われる爆破訓練でC-4も使用する。
蓮子は猟奇的な趣向の持ち主だった。剥製にしたのは、死亡推定時刻を判断しにくくさせるという理由からではなかった。
「皮を剥いでるときは何とも心地よかったわよ」
「どうして、小林、鰐淵、それから北見を殺した?」
浩正は問い詰めた。
「私は認知症でね?そのうち何にも出来なくなる、そうなる前にやっておきたかったんだ」
蓮子は『後妻業』をしていた。鰐淵、北見も仕事仲間だったのだ。
小林は蓮子(事件当時77歳)と結婚相談所を介して知り合い、去年の11月に結婚したばかりであった。白井たちの捜査により蓮子は事件当時、約1000万円の借金を抱えており、蓮子の周辺では1994年以降男性10人が死亡し、総額で数億円の遺産を受け取っていたことも判明した。このため遺産取得を目的とした連続殺人事件の疑いが浮上した。
蓮子は小林が小樽にいることを突き止めた。野外でのセックスを名目に廃屋に連れ出し、青酸化合物を服用させて青酸中毒に陥らせ、同じ場所で剥製にした。
「北見と鰐淵は罪の意識に苛まれるようになっていた。警察にチクられる前にやらないとマズいと思った」
白井が蓮子に手錠をかけた。
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