第11話 魔術
2019年11月3日
有田は椎名多江から魔術ノートを見せてもらった。CAMPUSノートにボールペンで書かれていた。
巨大化 3人目
飛空 6人目
回復 9人目
石化 12人目
混乱 15人目
呼び寄せる 18人
鍵開ける 21人目
窒息 24人目
浮遊 27人目
防御 30人目
透明 33人目
分裂 36人目
爆破 39人目
蘇生 42人目
42人以上殺すと呪われて死ぬという暗黙のルールがあるのだが、多江や浩正は知らなかった。
2019年11月4日
有田菜々子は宮城県にある天龍島にやって来た。クルーザーを運転してるのは三好進という漁師だ。三好長慶という戦国大名の末裔らしい。この島には6つの玉が眠っていたが、兄が『炎』の玉を獲得したので残り5つだ。神隠しにあった兄を助ける為に菜々子は勇気を出した。6つの墓は普段は洞窟の奥にある。洞窟には様々な妖魔が潜んでおり簡単にはいかない。ゲジゲジやサワガニ、コウモリ……それすら不気味だったが白髪頭の婆さんはさらに怖かった。
「最近、この辺で感染症で多くの人間が死んだ」
三好が教えてくれた。
「感染源は?」
「分からない」
老婆の正体は疱瘡婆だった。
文化年間初期。七ヶ浜村大須(現・宮城郡)で疱瘡が大流行し、多くの病死者が出た。それと共に、病死者たちを葬った多くの墓が荒らされ、遺体が盗まれたり、何者かに食い散らかされるようになった。村人たちは遺体を土に深く埋めた上に大きな重石を乗せ、魔除けの祈祷をするなどしたが、それでもなお重石を取り除いた上で墓は荒らされた。
そのような事件が多発する内に、人々は「疱瘡婆という化け物がおり、死人を食べるために疱瘡を流行させて人々を病死させている」と噂し始めた。
そんなあるとき、村の名主の3人の息子が疱瘡で病死した。名主は我が子たちだけは疱瘡婆に食われまいと、十数人がかりで運ばせた大きな重石を塚に乗せ、夜は銃を持った猟師に番をさせた。初めは何事も起らなかったが、数日後の晩、化け物をおびき寄せようと猟師が灯りを弱めたところ、土を掘り返す音が聞こえてきた。猟師が忍び寄ると、相手は轟音と共に木々をなぎ倒して駆け去った。遺体は無事であり、それきり墓荒らしが起きることはなかった。
それから数年後のこと。町で買物中のある老女が山の方を眺めていたところ、突然驚いた様子で失神してしまった。人々に介抱されて気がついたものの、何事があったのかと訊ねられても何かを恐れている様子で、決して理由を話そうとはしなかった。
さらに数年後、老女がようやく重い口を開いた。あのとき、山に化物の姿を見たということだった。それは顔が赤く、頭が白髪で覆われ、身長が一丈(約3メートル)もある老婆のような姿で、あれこそ疱瘡婆と思った老女は恐怖のあまり失神してしまったということだった。
疱瘡婆は「フギャフギャフギャ」と呪文を唱えた。菜々子は途端に具合が悪くなってきた。三好は9人の男を殺していた。9人とも前科者で、生きている必要のない人間だった。三好は回復の魔法で菜々子を元気にした。さらに空を飛んで、疱瘡婆を猟銃で撃ち殺した。
6つの墓の前に菜々子と三好はやって来た。菜々子は『氷』の玉を手にした。三好はその隣にある『地』の玉を取ろうとしたがどんなに力を入れても抜けない。
「何でだよ!?」
妖怪1匹につき1個という制限があるようだった。ちなみに兄の浩正はジョロウグモを倒して『炎』の玉を手に入れている。
ジョロウグモは美女に化け、火を吐く子グモを操り攻撃してくる。
ジョロウグモにより滝に引きずり込まれそうになった人が切り株を身代りにするという伝説は各地にあるが、中でも仙台市の賢淵がよく知られる。ここの伝説では切り株が水中に引きずり込まれた後、どこからか「賢い、賢い」と声が聞こえたといい、賢淵の名はそれが由来とされる。以来、賢淵ではジョロウグモが水難除けの神として信仰され、現在でも『妙法蜘蛛之霊』と刻まれた記念碑や鳥居がある。
あるときに賢淵のそばに住む源兵衛という男のもとに、淵に住むウナギが美女に化けて訪れた。彼女が言うには、明日は淵のジョロウグモが攻めてくるが、自分の力ではわずかに及ばないので、「源兵衛ここにいる」と声をかけて助力してほしいとのことだった。源兵衛は助力を約束したものの、いざ翌日になると怖くなり、家に閉じこもっていた。結局ウナギはジョロウグモに敗れ、源兵衛も狂死してしまったという。
菜々子が『氷』の玉を手に入れたことにより、浩正と多江、それに木村は戦国時代から脱出することに成功した。
2019年11月5日
浩正は仕事がなかったので、木村の捜査を手伝うことになった。
浩正と木村は赤間の高校時代の友人、真壁豊を尋ねることにした。真壁は名古屋城の近くに住んでいた。だが、インターホンを鳴らしても真壁は現れなかった。
2人はビジネスホテルに宿泊した。夢にスッポンの怪物が現れた。半獣人で、名古屋駅に出現して通行人を襲撃した。そこに颯爽とカワグチ・マミが現れた。マミはステゴロでマミと闘った。巴投げをしかけ、首を引っこ抜くとスッポン怪人は呆気なく死んだ。
かつて日本ではキツネやタヌキといった動物と同様、土地によってはスッポンも妖怪視され、人間の子供をさらったり血を吸ったりするといわれていた。また「食いついて離さない」と喩えられたことから大変執念深い性格で、あまりスッポン料理を食べ過ぎると幽霊になって祟るともいわれた。
江戸時代には、ある大繁盛していたスッポン屋の主人が寝床で無数のスッポンの霊に苦しめられる話が北陸地方の奇談集『北越奇談』にある他、名古屋でいつもスッポンを食べていた男がこの霊に取り憑かれ、顔や手足がスッポンのような形になってしまったという話が残されている。また古書『怪談旅之曙』によれば、ある百姓がスッポンを売って生活していたところ、執念深いスッポンの怨霊が身長十丈の妖怪・高入道となって現れ、そればかりかその百姓のもとに生まれた子は、スッポンのように上唇が尖り、目が丸く鋭く、手足に水かきがあり、ミミズを常食したという。
夢から覚め、朝食をとるためにエレベーターで1階に降りた。浩正たちは3階の301と302に宿泊していた。ロビーで川口真美瓜二つの女を見かけたときは驚いた。
「川口?」と、浩正は思わず声をかけたが「違いますけど」と返された。
愛知県の小さな町に前田貴子が引っ越してくる。美しくセクシーな彼女の姿に、菓子職人の大森大知はすぐに惹かれるが、彼女にはかつて久慈祐実って若い女性をレイプして妊娠させた実の父親を見つけ出し、復讐するという目的があった。
木村は久慈宏という名古屋署の署長に彼の家に招かれた。瀟洒な家で、水槽には不気味な生物がいた。内臓がスケスケなのだ。
「何ですか?これ」
「グラスフロッグだよ、南アメリカに遊びに行ったときに見つけたんだ」
本名はラヴァルアマガエルモドキと言うらしい。
「実は娘がある男にレイプされてな?」
久慈は写真を木村に見せた。ピンク色の長い髪の男が写っていた。
「前田拓哉、ユーチューバーだ」
木村はユーチューバーに関してあんまりいい印象を持っていなかった。
「コイツが祐実さんを?」
「あぁ、祐実は豊橋に住んでるが、心配でならない。君に護ってもらいたい」
そんなことしてる間に赤間が新たな殺人を起こすかも知れない。やむなく、そっちは有田に任すことにした。
「分かりました、お任せください」
豊橋は路面電車が走っていた。冬は車内でおでんが食べられるそうだ。
「前田はゴミみたいな奴でした」
ソファにちょこんと座り、祐実は言った。彼女はまだ大学4年生らしい。Youtubeの『愛知美女図鑑』ってのを見た。そこに祐実の姿もあった。
『俺、今年で60になるんだ?この髪、いかしてるっしょ?』
画面に映る拓哉は確かに60にしては若く見えた。
祐実は韓国に旅行に出かけるところだったが、仁川国際空港で爆破テロが起きてそれどころじゃなくなった。
買い物につきあった。自家用車のジープを運転し、近所のスーパーに。🚙
木村は睡魔に襲われた。駐車場に車を入れた。「ひとりでも大丈夫ですよね?」スーパーは広々としてるし?人を襲うには適していない。
「はい」
祐実を下ろし、リクライニングを倒して昼寝をした。
ユミが小さな島にいる。天狗の鉤爪で喉を切り裂かれてユミは死んだ。
木村は磯天狗って妖怪を思い出した。愛知県佐久島、和歌山県須賀利、三重県北牟婁郡に伝わる海の妖怪。
磯天狗の伝わる愛知県知多郡南知多町の海
愛知県知多郡南知多町では、ある漁師が雨の夜に海に出たところ、大量の魚が採れたが、どこからか火の玉が飛来し、草鞋を頭に乗せて念仏を唱えたところ火の玉が消え、気づいたときには採った魚が無くなっていたという。
愛知県半田市の民話によれば昔、尾張国(現・同県)のある村で、海上に小さな白煙が回転しながら現れて次第に大きさを増し、竜巻のような凄まじい風と共に山へ飛来し、また飛び去ってゆくものが磯天狗の仕業と呼ばれたという。ある乱暴者が磯天狗を退治すると言い張り、磯天狗が飛来したという山へ登ったところ、噂通りの竜巻のような白煙が飛来し、あっという間にその中に飲み込まれ、はるか遠くの海まで放り出されてしまったという。
銃声の音で木村は目を覚ました。スーパーから悲鳴が聞こえる。美女がスーパーから出て来た。祐実ではなかった。米倉涼子にどことなく似ていた。美女はショットガンで通行人を次々に殺している。運良く、木村には襲いかかってこなかった。
SATが駆けつけてマシンガン攻撃を仕掛けたが美女は死なずに走り去った。
娘の死を知った久慈宏は嘆き悲しんだ。顔を両手で覆って泣いた。
久慈はある女を思い出した。その女は名鉄名古屋駅近くにある『加護探偵事務所』に現れた。加護裕太は前田拓哉を追跡している。あの写真も加護が撮ったものだ。その、加護めもうこの世にはいない。
加護が亡くなる前夜、夢にカゴ・ユウタが現れた。カゴがスクーターで坂道を下ってると雪女が現れて、カゴは雪女の冷たい吐息で凍りついた。
翌朝、事務所から加護の死体が見つかった。死因は凍死だった。屋内での凍死というのはあまり見かけない。過去に真夏に濡れた服をそのままにしたために低体温症になって亡くなった事故が起きたが?低体温症とは、恒温動物の深部体温(中核体温)が、正常な生体活動の維持に必要な水準を下回ったときに生じる様々な症状の総称。ヒトでは、直腸温が35℃以下に低下した場合に低体温症と診断される。また、低体温症による死を凍死と呼ぶ。
警察は当初、事故死と判断した。
だが、久慈が探偵事務所の防犯カメラを調べたところ、黒木メイサに似たクールビューティーが映っていた。
あの女は前田に雇われた殺し屋だったんじゃ?久慈はそう思った。
前田貴子は夜7時のニュースで久慈祐実が殺されたことを知った。
「先を越されたか?」
貴子は舌打ちをした。
祐実は野菜売り場でショットガンで撃たれて亡くなったらしい。他の店員や客に犠牲者が出なかったのが何よりだ。大森が浴室から出て来た。2人はラブホテルに来ていた。貴子は大森が働く和菓子屋の常連となり、大森は思い切って告白した。
『はじめてアナタを見たときに、その、心臓がキュンっとしたんです』って言うと、貴子は『病院行ったら?』と真顔で言った。天然キャラの貴子をさらに好きになった。
今夜は3回目のデートだ。ホテルに来たのも初だ。大森はハタチになるが未だに童貞だった。貴子はうまくリードして、大森はどうにか卒業することが出来た。
「気持ちよかった」と大森は陶酔し、目が虚ろだった。
「ワタシも」
貴子は殺人犯に感謝していた。もう殺意に苦しむこともなくなった。
真美は祖父、肥後涼真の家に匿われていた。彼女は前田拓哉の依頼で祐実を射殺した。冥界から蘇った真美は鋼のような体を手に入れた。それにしても、有田を見かけたときには心臓が止まるかと思った。不死身な真美だったが、恐怖心がないわけじゃない。
4人の仲間と有田浩正を殺したときのことを思い出した。葛城、中尾、松山、中島……あの4人は詐欺師だった。かつて、有田幸四郎に逮捕されたことがあり、恨んでいた。浩正は幸四郎の息子で、浩正に究極の恐怖と悲しみを味合わせるために殺害した。
「おまえが生きているだけでおじいちゃんは幸せだ」
祖父は決して裕福な暮らしをしていたわけではなかった。小さなアパートに住んでおり、科学技術が進歩する中、このアパートには冷暖房すらなかった。食事はぱぱっとライスに梅干し、それだけだった。真美は祖父が孤独死しないか不安だった。
孤独死は特に都市部などの地域コミュニティが希薄な地域が多い。また震災などによって地域コミュニティが分断されている場合にも発生しやすい。当然、過疎地域等では民家が疎らであるため隣家が気付きにくい部分もある。なお生活様式では、以下のような特徴が挙げられる。
①高齢者(とくに男性・後述)。
②独身者(配偶者との死別を含む)。
③親族がいないか、いても近くに住んでいない。
④定年退職または失業により職業を持たない。
⑤慢性疾患を持つ。
⑥アパートなどの賃貸住宅(隣家に無関心)。
肥後は81歳で、祖母は2年前に他界している。また、仕事はエンジニアをしていたが、定年直前にリストラされている。病気をしていないことが唯一の救いだ。
なお2000年代後半に入っては、孤独死が社会問題として広く認識されるようになったことを背景に、70歳を越える後期高齢者への周囲の関心度が高くなる傾向があり、孤独死から長期間気付かれないなどの問題が抑制されているが、それと相反するように60代、特に65歳以下だと気付かれにくい傾向も見出せる。
性別に関しては、阪神・淡路大震災以降に被災者内に見られた孤独死事例やまたは随所で行われているその他の集計において男性は女性の2倍以上の高率で孤独死しやすい傾向が見られる。これは女性は日常的な近所付き合いなどがある率が高いことが関係していると考えられ、男性は職場でこそ人間関係を持っていたが地域コミュニティに馴染むのが下手で周囲に異常が発見されにくく手遅れとなりやすいとされる。
祖父は髪の毛はボサボサで頬は煤け、無精髭が伸びている。
「おじいちゃん、長生きしてね?」
有田菜々子は『氷』の玉を眺めていた。コイツが加護の命を奪った。菜々子はリクナビに登録していたがナカナカ、仕事にありつけなかった。ネット喫茶で『アマランス』という裏のネットワークビジネスを知った。『アマランス』には不死の花という意味合いがあった。『アデランスではございません、禿げてる方にあまり効果はございません』という文に思わず笑った。
加護は標的の1人だった。依頼人の正体を末端の菜々子は知らずにいた。ビルのエレベーターを上がり、オフィスのチャイムを押すと阿部寛によく似た男が出て来た。
『あの、加護さんですか?』
『そうですが、ご依頼ですか』
菜々子はポーチに入っている『氷』の玉を撫でた。すると、みるみるうちに加護はカチンコチンに凍りついた。
任務をクリアすると口座に30万が振り込まれていた。
「車でも買おうかな?」
アパートのチャイムが鳴った。警察だろうか?とビクビクした。アイホンのモニターをつけると作業帽をかぶったガタイのいい男が立っていた。
『すみませ〜ん、火災報知器の点検に伺いました〜』
何だ、管理人か。菜々子は胸を撫で下ろした。
浩正は再び真壁邸にやって来た。インターホンを鳴らすと、『はい』とダミ声の男が出た。「回覧板です」と嘘をつくと、ドアが開いた。
「真壁さんですね?」
「そうだけど」
真壁はボサボサの長い髪を掻いた。フケが煙みたいに舞った。浩正は眉を潜めた。
「赤間さんを知ってますよね?」
赤間と真壁は野球部でバッテリーを組んでいた。
「ええ、奴とはよく飲むんですよ。赤間がどうかしたの?てか、あんた誰?」
「赤間さんの甥っ子です、赤間さんと連絡がつかないんです」
「マジかよ?」
「彼に何か変わった様子はなかったですか?」
「特には……」
その日の夜、マカベが夢に出てきた。
マカベは列車に轢かれて死んだ。
翌朝、真壁の死体が真壁邸で見つかった。
発見したのは浩正だった。野球はあまり詳しくないので、いろいろ調べて来たが必要なかった。洋間の出入り口部分に死体が放置されていた。
司法解剖の結果、真壁の遺体の頸部には『首の周りを一周する索溝』が形成され、舌骨が左大角の中央部・右大角の中央部において骨折していたほか、右大角付着部においては広く出血を伴い、さらに甲状軟骨の左上角も骨折し、広く周辺に出血を伴っていた。
父からは優しくしてもらった覚えがない。
酒を浴びるほど飲んで、機嫌が悪いとよく貴子を殴った。貴子は豊橋にやって来た。駅の周辺を探した。ここなら父が来るかも知れない。だが、見つからなかった。
あきらめてビジネスホテルに戻って来た。
『おまえがいなくなれば、自由になれるのにさ?』父はよく言っていた。父は坂本九の『上を向いて歩こう』をよく口ずさんでいたが、そのせいで嫌いになった。本当は素晴らしい曲なのだが、父を思い出してしまうので嫌だ。
風邪気味なのもあり、だるくてベッドに横になったら寝入ってしまった。
マエダタクヤが夢の中で木登りをしていた。そこに猿みたいな怪物が現れてマエダタクヤを鉤爪で切り殺した。
真壁が亡くなったのと同時刻、前田拓哉の水死体が神奈川県にある相模湖で見つかった。川口真美は瞬間移動が使える。一度、死んだ者はどんな魔術でも制限なく使える。
真壁、祐実、前田……川口真美によって消された。真美は前田貴子も殺そうと決めた。真美は人を殺すことがたまらなく好きだった。テレビゲームよりもやっぱ、マジな殺しだ。知り合いに血が好きだから医者になったという奴がいたが、そいつとは気が合ってよく飲む。
浩正は見知らぬ男が武家屋敷みたいなところにやって来る夢を見た。天井裏から「足洗え!」という声が響き、天井を突き破り血にまみれた足が降りてきて男は踏み潰された。
『血の間』というヤバそうなサイトの存在を知った。浩正はノートパソコンをカチャカチャいじった。夢のことを書き込んだら、『東京の本所にある味野邸って幕府の上級武家で似たような現象が起きています。』と返信があった。
真美は祖父が亡くなって悲しかった。
真美は前田拓哉の葬式に出た。そこなら貴子が来るかも知れないと思ったからだ。まんまと貴子はやって来た。サングラスとマスクをして貴子に近づいた。真美はショットガンを頭に思い浮かべだ。ポンッ!と姿を表した。祐実を殺したときも同じ方法でショットガンを手に入れた。
「キャアァァァッ!!」
貴子が悲鳴を上げた。ダンッ!銃声が響いた。撃たれたのは祖父だった。祖父は貴子の盾となった。
「じいちゃん、どうして?」
祖父はもう何も言わなかった。
浩正はニュースで真美が逮捕されたことを知った。浩正は関市に来ていた。息抜きは大切だ。前田拓哉が何故、相模湖になんていたのか不思議でならない。関市は刀鍛冶で有名な場所だ。ホテルの窓の外を見た。夕焼けの中を赤間が空を飛んでいた。
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