俺だって彼女が欲しいのに学園屈指の美少女2人の彼氏を作る手伝いをさせられてます。
楓原 こうた【書籍6シリーズ発売中】
第1章 これが俺、彼女たちの物語
プロローグ
「だからもう少し真剣に考えてください!」
「いや、真面目にやっているだろ! しかも、俺だってこんなことしてる場合じゃないんだ!」
「ちょ、ちょっと二人とも落ち着いてよー!」
とある日の放課後。
野球部の活気溢れる掛け声が聞こえてくる中、俺は化学準備室でとある女子と口論をしていた。
いや、喧嘩とかじゃないよ? 口論してるだけだよ?
女子相手にどうかとは思うがこればっかりは仕方ない。だってこの子気に食わないんだもん。
「こんなことってなんですか!? だいたい、あなたはいつもいつもふざけていて、真面目にやったらどうです!?」
「はぁっ!? 俺がいつふざけてるっていうんだよ!」
「だから落ち着いってってばぁ……」
俺が口論している相手はさらさらな金髪が腰まであり、透き通った肌と整った顔は通り過ぎる人が見蕩れてしまうほどの美少女様。
名を
なんと日本では知らない人はいない超大手企業西条院グループの一人娘なのだ。おまけに全国模試では二回連続一位をとってるいるぐらいの頭脳明晰っぷり。学校では僅か1年で生徒会長を務めるほどの人気者の1人だ。
ただ、ひとつ欠点を挙げるのであれば……彼女の貧相な未開拓地である胸部であろう。
本当に悲しいくらい胸がないんだ……可哀想に。
そして、俺と西条院の間でオロオロとしているのが小柄な美少女の神楽坂アリス《かぐらざか ありす》。
母親がロシア人、父親が日本人のハーフの美少女さん。 綺麗な銀髪は西条院と同じくらいの長さで、可愛らしい顔と誰にでも優しく明るい性格は学園中の男女問わず好かれていて、ファンクラブまで存在している人気っぷり。
一緒にいるだけで、男どもの殺気とした目線がグサグサと刺さってくる。
ほんとにあれ怖いんだよなぁ……。
「だいたい、何がそんなに気に入らないんですか? こんなに私達がお願いをしているというのに」
「確かに気にいらない。神楽坂のお願いならともかく、西条院からも同じお願いをされると尚更」
「待ちなさい、今なんて言いました?」
「けどな、一番気に入らないのは————」
「気に入らないのは?」
「俺がなんでお前らの彼氏を作るのに協力しなきゃならんのだぁぁぁぁぁぁ!!!」
そう、俺はある出来事のせいでこいつらの彼氏作りを手伝わせれている。
しかも、美少女達の彼氏作りときた。
ほっとけばすぐにでも彼氏を作れるはずなのに彼氏がいない彼女達の。
本人曰く、理由があるらしいが、とにかく俺は他人の恋路を手伝わされているのだ。
「おかしいですね? 協力してくれると仰ったはずですが……」
「おい、あれは脅迫と言うんだ。辞書で調べてこい」
「そんなことを言ってもいいのですか? この動画がネット上に晒されることになりますよ?」
「くそぅ! 何も出来ない自分が悔しいっ!」
そう、俺は脅されているんだ。とある動画のおかげで。
だからこうして、俺は彼女達のお願いに渋々協力している。 仕方ないじゃん。流石にあの動画を人質に取られてしまっては逆らえなくなってしまうんだ。
……そもそもなんでこんなことになったのか。
それは二日前に遡る—————。
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