第172話双子だけど

ヴァレンティノ、ボス、アルージャ達が同性婚の法律を決めている真っ只中の頃から毎日・・プロポーズの連続だ。


嬉しいよ?

結婚したいって言うのは解るんだが。


俺達はさあ。双子だよね・・・。


「ジハード。俺の嫁!!」

今日も帰宅するなり抱きつかれた。


「はいはい。」

それを軽くあしらうのが日課となってしまった。


「ジハードは俺と結婚したくないのか?」

流石に俺の塩対応にヴェガも困った顔をして見詰めてきた。


「うーん?まあ、座ろうよ。」

ゆっくり話さなきゃとは思っていたし。

もう直ぐ新居のマンションも完成する。

一緒に住むんだろうけど本当にこの兄貴は俺と結婚する気?なんだろうなあ。

思わず深い溜息が出た。


「ヴェガさあ。俺達、元々家族だよね?双子だよ?」

別れて生きてきたから戸籍は違うんだが。

結婚は嬉しい。だけどさあ。

「世間体的に有りなのかな?」


俺の顔をヴェガは悲しそうに見詰める。

嫌な訳じゃない。って言葉が上手く出ない。


「ジハード。世間体より自分の気持ちじゃないのか?それにそんな一般人の考えに振り回されるな。」

うん。ヴェガの言う事も良く解る。


子供の頃はずっと一緒に居るのが当たり前で引き離された時は本当に辛かった。

ヴェガはラッキーな事に引き取られた先はマーシェルファミリー。


俺は劣悪な環境のマフィアだった。

悲しい事に初めての相手はヴェガじゃない。気持ち悪いし辛いし泣いてばかりだった。


異能の目覚めと同時にマフィアを脱走。

何処に行ったか解らなかったヴェガを探す途中で政府に捕まった。


護送中にボス達に助けられた。


アルージャのお陰でヴェガを見付け出してくれて再開したのが16歳くらいだったかな。年齢に関しては自信が無いが。


「ジハード?どうした?」

「ああ。ごめん。考え事してた。」


あの日、会えた時本当に嬉しかったんだよな。


「ヴェガ。」

もし、再び引き離されたら俺は耐えられないだろう。

一緒に住むのが当たり前になってお前が居なくなったら・・・。生きていけないな。


「ジハード。大丈夫。居なくならないから。」

ヴェガは優しく俺の頭を撫でた。

全く、思った事が相変わらず通じる。


俺も解っているんだ。ヴェガの深い愛情。

嘘偽り無い。深い深い・・愛。


「素直に育ったヴェガが羨ましいよ。」

本当に陰と陽の様な俺達。


「ジハードは変わらないよ。今も昔も。それにどんなジハードも俺は愛してるから。」

ヴェガは優しく俺を抱き締める。


何だかんだで甘えてばかりだ。


世間体なんて・・・一般人の考えだよね。

俺達、異能者は最初から普通じゃないから。


「俺はヴェガが好き。愛してる。」

改めてこう言う事を俺は普段絶対言わないのでヴェガの綺麗な目が更に大きくなった。


「ジ・・ジハードぉぉぉ!!」

あっ。変なスイッチ押した・・。


ヴェガは興奮しまくって俺をキツく抱き締めて激しいキスをしてきた。


ん・・・。気持ち良いんだけど。

この流れは押し倒される。


まだ話したいのに。


「ちょっ・・・ちょっと待て!」


このままじゃまた塩対応のエンドレスループが始まりそうだ。


でも、今日はしっかり伝えないと。


「ヴェガ、少し離して。」

「つれないなあ。」

うん。知ってる。


「ヴェガ!!」

「うん。悪い。止まらなかった。」

少し反省気味の顔に笑いかけた。



「ヴェガ。俺と結婚して下さい。」

全く、ちゃんと言わせてから抱けよなあ。


「は・・・はい!!」

ヴェガは俺からそんなセリフが聞けると思わなかったのか凄く驚いた顔と反応を見せた。


「ジハード?」

まだ驚いているし。


「一生・・・一緒だからな!」

だんだん恥ずかしくなってきた。もう言わない・・・。


「ジハード!愛してる。ずっとずっと一緒に生きて行こう。」

ヴェガはギュっと俺を抱き締める。

その体温も声も匂いも何もかもお前の全てが好きだよ。


本当に・・もう言わないけどね!

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