第166話それから
新政府、新政権誕生後から2年。
もっと世界は荒れるかと思っていた。
だが社長、いや・・ヴァレンティノ総帥のおかげで案外平和。
「はい。総帥でーす。今日から本当に同性婚を認めます。後は養子縁組制度もこれからきちんとした物を確立させるから期待していてね。」
そんなノリの良い政見放送を皮切りに本当に法律的に同性婚が始まった。
「愛って大事なのよ。」
当初はそれは解っているけれど?って感じだったが。
総帥が言った通りマフィア達の抗争は明らかに減った。
護るべき者の存在。
愛する人との結婚が法的に認められると言う事は異能者達の心のケアに繋がった。
異世界人の洗脳が解けて打ち解ける事が出来る存在になったのも大きかったかもしれない。
小さな争いは勿論あるがエメリヒ大元帥達が居た頃よりは明らかに平和になった。
もう1つ。
母親が出産時に亡くなった将来的に異能者になる子供を異能者同性婚の家庭に養子として迎える制度の確立。
昔はマフィアが匿う、異能者が個人的に匿う。
政府に捕まるの3択だった。
この制度により異能者の子供の人権も護られる。
色々と審査はあるのだけれども。
もう幼少期に辛い思いをする異能者の子の数は減少していくだろう。
さて、その後の俺達。
初めに入籍したのはバックスレーさんとヴァレンティノ総帥。
世界のお手本になるわ!と真っ先に婚姻届を出した。
ボスとシアン。ヴェガとジハード。ゼットとハーミット様。この3組も直ぐに入籍。
続いてディードとガブリエル。
ラズと元締めも最近漸く入籍した。なかなかプロポーズに時間がかかったらしい。
バニラさんとエルーカさんはまだ相手探し中。なかなか結婚したい程の相手に巡り合わないのよね?と言っているが。
2人が結婚しちゃえば良いのに!
と内心皆、思っている。
そして、1番驚いたのが・・・。
ビクターが猛アプローチの末にレイと今、付き合っている。
レイは元々ゲイだったと皆が帰還してから聞かされたのにも驚かされた。
・・・・・・・・・・・・
今日は2人で休みを取った。
朝、早く目覚めてダラダラしながらも落ち着かない。
「ウェン。いよいよ今日だ。」
「うん。やっとだね。少し心配でも。大丈夫。」
俺とウェンは実はまだ結婚していない。
何故なら海誠先生の漫画次第で俺はこの世界に来ない可能性があると言う事に気づいたから。
皆が帰還する日、俺は海誠先生に本当の事を話した。
JUSTICE&を読んだ事によってあの漫画でカプリスメンバーの死によって俺とアインシュタインの思いとが一致した可能性。
あの日の俺でないとダメなんだ。
カプリスを護ると言う信念も必要だし。
海誠先生には俺がこの世界に来た日に書く漫画の内容と俺を漫画に出さない事。
あくまで政府と警察の物語。主役はリュートとオーガの設定のままでお願いした。
カプリスはたまに登場くらい。
好き勝手なお願いをしたと思う。
でも!俺は絶対にこの世界に来たいし皆を護りたい。
パラレルワールドと言うのも考えた。
だけど・・幸せじゃない世界があるのは嫌だと言う俺の我儘。
ウェンにだけは全て話をした。
最初は驚いていたけど。
「初めて会ったのに俺が大好き過ぎるミナキの姿とオーラに納得した。」
そう言って嬉しそうだった。
何があっても大丈夫。それでも結婚したいと言ってくれたのに待ってもらって申し訳ない。
今日は俺がこの世界に来た日から3年。
海誠先生は3年前に遡り俺は6年間JUSTICE&を読んでいた。
うん。間違い無く今年の今日だ。
間もなく正午。
俺がこの世界に来た時間はもう過ぎた。
「ミナキ。」
ウェンが優しく微笑んだ。
「うん。」
やっと。不安が解消されたのと海誠先生への感謝やウェンへの思いとか。
溢れて溢れて。
涙も溢れてきた。
「ミナキ。一生、俺と生きてくれる?」
「勿論。ウェン。お待たせ。」
抱き締めあうと今でもドキドキする。
幸せで仕方ない。
ずっと大好き。
熱いキスを何度もしてそのまま政府機関へ向かった。
本日、俺達は入籍した。
「やっと結婚したか!」
ボスに御報告。
ボスは現在の役職は大元帥だ。
俺達がなかなか入籍しない事は少しばかり皆には心配されていた。
理由言ってなかったし。
「ミナキは今日が良かったんだよ。」
ウェンが笑ってミナキがこの世界に来た日なんだと言ってくれた。
「・・・。あー!なるほど。確かにそうだ。良く覚えていたね。」
ボスとシアンは嬉しそうな笑顔で祝福してくれた。
シアンは大元帥補佐と言うか秘書?
他の皆にも報告しなきゃ。
「元帥にも挨拶行こうか?」
「なかなかその呼び方慣れなよね。」
元帥はハーミット様。元帥補佐はゼット。
「アルージャ。暇してる?」
関係は相変わらず仲良しな俺達。役職はあくまで世間体。
「ウェンにミナキ。今日は暇だよ。」
「いらっしゃい。」
元帥の部屋を改装して使用している。
「入籍してきた。」
ウェンが本当に嬉しそうな顔で微笑む。
「おめでとう!どうせ何か理由あったんだろ?」
ハーミット様はニヤっと笑う。
ウェンはボスに言ったことと同じ話をした。
「記念日か。しまったな。何かそう言うの考えて俺達もすれば良かった。確かに今日はミナキがこの世界に来た日だ。懐かしいな。」
ハーミット様は思い出す様にあの日の仮りアジトの話や1週間の話をゼットに聞かせていた。
「だから法律決まって半年待ったんだね。言ってくれたら良かったのに!」
でも、おめでとうとゼットも喜んでくれた。
「今日は久々にアジト集合しようか?」
祝おうと言われて頷いた。
現在、俺達の家は政府機関の隣にマンションを建ててそこに住んでいる。
やっぱり住むのは皆でが良い。
アジトは勿論、最上階。
各国に仕事に行ったり政府宿舎にも泊まる俺達はアジト集合は本当に久々だ。
「20時アジト集合。ウェンとミナキの結婚祝い。」
ハーミット様が一斉メールを送信。
相変わらず好きなジャンクフードを持ち寄って今夜は語り合おう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます