第156話ラストバトル その1
アインシュタインの洗脳が解けたとは言えエメリヒの能力が変わる訳では無い。
「寧ろ怒りメーターが上がったかもね?」
ボスがエメリヒを見て身構えた。
何故、トール元帥はそんな事したんだろう。
エメリヒが怖かったから?
ゼットが戻ったおかげで文王も戻って来た。
結界の張り直し。
――
うん。かなり強化出来た。しかし?白虎はどう使うんだろう。リュートの青龍もだ。
「さあ?愚民共よ。休憩は終わりだ。そのまま死ね。」
エメリヒの目がまた鈍く光る。
本当に異能破棄無かったら危険な瞳。
「新しい異能?まさか。これを封じる為?」
ボスの顔色が変わった。
「結界から出るなー!!!」
エメリヒに向かおうとした社長とバックスレーさんにボスが叫んだ。
ヤバい何か来る!
結界の範囲を広げ何とかバックスレーさんと社長を囲った。
――ブラックホール――
小さな黒い闇が・・・エメリヒの前にポッッと現れた瞬間だった。
「はあ?!!うっそー!!!」
結界ごと持っていかれる。
大声を上げてそりゃあ必死!
本当にブラックホール?!
バタン!!大きな音をたてて背後のドアが外れ避ける。そのままドアは結界に当たって砕けながらも暗闇に吸い込まれた。
廊下に飾ってあった絵画も何もかもを吸い込み消えていく。
「もう1回異能破棄!!」
結界内でも強風で引っ張られそうなのを皆で耐えながらボスが叫んだ。
――
ブラックホールを収めたのか異能破棄が効いたのか黒い闇は消えた。
「接近戦が出来ねーのか?」
不服そうにバックスレーさんがボスを見た。
「異能名は暗黒エネルギー。この吸い込む能力だけでは無いな。ジハードより強力な重力も使える。ただし・・・インターバル5分。暫く大人しいよ?」
ボスはエメリヒの目を見ながらそう説明した。
「しかし。これは・・世界を無にする力だ。本当にこの世界を消したいんだろうな。」
トール元帥は暴走したエメリヒが全てブラックホールに吸い込ませて無にする事を恐れたのかもしれない・・。
「いけるかもしれません。」
オーガがコソコソと俺達に話しかけてきた。
「確かに。あと少しって所か。」
俺も下の階を確認した。
全員揃えばいける。
「見せてやろうか?コンビネーション。」
「いいねぇ。」
ボスとシアンが剣を抜いた。
「私達もやりましょう。」
「ああ。」
社長とバックスレーさんも。
全員が駆け付けたら一斉異能攻撃。
それまで・・・。
少しでも痛めつける。
ボスの言う通りエメリヒは体術のみの攻撃しか仕掛けて来なくなった。
バックスレーさんや社長の鬼の様な猛攻撃も易々と受ける所が凄い。
「トールが死んだか・・・。」
エメリヒが少しばかり悲しそうな顔をした。
「私は元の世界に戻れてただ幸せになりたかっただけなのに。」
彼はそう呟いた。叶わなかった願い。
絶望を与えられ信じていたトール元帥にも裏切られ。
「もう。後戻りは出来ないのだよ?全て消そう。なあ?愚民共。」
もう5分たった?
――ただいま帰り申した――
頭上に青龍。
結界が張り直せる。
もっと強力に。
白虎は今からオーガに寄って目覚める。
そして、ラストだ。
「俺らもやるで!!」
リョウ達も戻り。
「微力ながら参戦しますよ。」
レイ、ベイク、エルーカさん、ディード、バニラさんも戦闘を終えて戻って来た。
「愚民共が何人来ようと同じだ。」
エメリヒはクスクスと不敵な笑みを浮かべて笑った。
いや、やれる。
今からが本番。全員で。
――
俺は全員を護る。
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