第150話アインシュタイン総帥
厳重に何重にもロックされたセキュリティを解除。
そしてまたドアのセキュリティを解除。
「防火、耐震、核攻撃も大丈夫そうだね。」
それ程、頑丈な扉だ。此処だけは本当に異質なくらい守られている。
アインシュタインはトール元帥の管理するフロア奥にあった。
ユウヤの部屋にあった機械は駆除屋にある転移装置に似ていた。
あれは?アインシュタインでは無いのか?聞けば良かった。
トール元帥担当のメンバーはこの階に待機しているし。潜入しても身体は大丈夫な筈だ。
重い扉を開けると。
こいつは・・今迄、見た事があるスーパーコンピューターの比じゃないくらいデカい。勿論、これは計算の為のコンピューターでは無いし。
「これをハッキングしてきた俺って凄いよなあ。」
勝手な自画自賛にアルージャは凄いよとゼットは嬉しそうに頷いた。
「本体ってこんなに大きかったんだね。」
部屋全体がコンピューターだ。
俺が子供の頃にハッキングしたのはこれの一部システムだったんだろうな。
またはセキュリティが緩かったのかも?
本当にこのアインシュタインには苦労させられっぱないしだったよ。
それも今日で終わらせる。
中をくまなく観察したが外観からは
「ゼット間もなくだ。入ろうか。」
「うん。俺には多少の洗脳耐性あるから。」
うん。心強い。
なるべく後は同時進行で。
ミナキが突然、個体で神人の貸出が出来る様になってくれて助かった。
ミナキには結界と言う大事な役割がある。
「エメリヒとトールがご帰還だ。」
ゼットと見詰めあった。
うん。行こう。俺の最高の相棒。
多分ここだな。アインシュタインの中心部。
――
――文王潜入――
「ここがアインシュタインの中?」
「そそ。何時もと道が違うな。」
俺のパソコンからと少し異なる。
だけどハッキングは有効か。
トラップ無し。
確認は怠らず。飛ぶ。
「変な感じ。」
こう言う世界慣れしていないゼットはキョロキョロと見回しながら不思議そうな顔をしている。
顔は文王だけど・・・。
あった。あの扉で間違い無い。
「ゼット。あそこだ。」
「アルージャ。俺は同情なしで総帥も殺るよ?」
何を心配してるんだか。
それは俺も同じだ。
「油断大敵。」
「OK。」
洗脳だけが心配。
扉をゆっくり開けた。
明るくて広い何も無い空間の中心に光る玉は今日もあった。
フワフワと浮いていて俺達の侵入を待っていたかの様にクルクルと回り始めた。
『やあ。いよいよ決戦かな?』
光る玉は話し掛けて来た。
「ええ。壊しに来ました。」
クスクスと空間に響く様な笑い声。
ゼットは黙って観察をしている。
光る玉はクルクルと回る。
直ぐに壊すと早過ぎるんだよなあ。
恐らくエメリヒとトールには手が掛かる。
多少早くてもアインシュタインは問題無いかもしれないが。
少し情報収集するか。
「洗脳したのはお前か?」
ゼットは構えながらそう聞いた。
『洗脳?何の話だ?』
少し声のトーンが下がった。
怪しい。
『侵入者に過去映像を見せる事はプログラムされている。それには逆らえない。』
じゃあ。エメリヒか?
うーん?リョウも連れて来たかった。
嘘かどうか解らない。
「アインシュタインは何処まで自分の意思がある?意識とか?」
光る玉はクルクルと回り
『自我はあるが自由は無い。』
なるほど。自分の意思で機械動かせたら何時までも機械では居ないか。
「自由になる為にエメリヒを先に殺させたいのかな?」
確信だろ?
『残念だけど。人間に戻れたとしても私の四肢は無いんだ。』
どういう事?腕に足は人を現すのか身体なのか。
「意味が解らない。」
素直に尋ねた。
『両腕は脳内チップを入れる装置。両足は召喚装置。まあ、見事に分断されたね。痛みは無い。機械だからね。』
何と言うか・・・。
なかなか残酷な話だ。
壊さなくても大丈夫と思える考えは甘いよな。やはり殺るか。
「もう。壊して良いかい?」
剣を構えた。
「殺ろうアルージャ。」
ゼットも頷いた。
お互い、変な所は無い。
洗脳もされていないと思う。
『壊されたい。だが出来れば外から壊して欲しかったよ。
光る玉があの日の様に高速回転を始めた。
「映像かもしれない!」
「大丈夫!」
逃げはしない。ゼットと構える。
光る玉はフッと消え部屋の明かりが落ちた。
暗闇が広がる。
俺もゼットも見えるから問題は無い。
何が来る?見渡すが何も無い。
闇の中心がボォーっと光った。またホログラムか?
人間・・・?
それは、エメリヒでもトールでも無く。マントを身につけちょっと古風な服装。このおっさんは?
「アインシュタイン?」
その光に包まれた人間は頷いた。
「アルージャ!!」
ゼットはアインシュタインでは無く俺の身体に蹴りを入れた。
「痛えよ!!!」
あっ?もしかして洗脳?
ゼットは溜息をついてごめんね。と言った。
「目は見たらダメだよ。」
「了解。」
なかなか酷な事を言う。
暗闇の中で光る奴には嫌でも目が行く。
人の様に気配が無い。
そっか!此奴は機械か!
「ゼット!体術は任せる!」
「勿論、君を護るのは俺の役目だよ。」
嬉しい事を言うゼットにニヤけそうになりながらも俺は別の事をしよう。
ゼットは勢い良くアインシュタインに詰め寄った。
ホログラムの癖に攻撃は出来るし当たると効く様だ。
上段、下段の蹴りが決まりアインシュタインは吹っ飛んだ。
流石、獣人。
リオでの特訓で更に強くなったしな。
この間に。
暗闇の中、部屋の隅に移動した。
床に手を付いた。
――
さあ、始めよう。
ハッキングはずっとして来たから簡単だった。
次。
――
アインシュタインの動きが鈍くなりゼットの攻撃を受けまくっている。
そして。
――
アインシュタインの動きが止まった。
ゼットは剣を抜き斬りつけた。
「ありがと。アルージャ。」
勿論、血も出ないし。アインシュタインは消えただけだ。
空間に明かりが付いた。
「玉が・・・。」
光る玉は真っ二つに割れて床に転がっていた。
「末路だな。少しは敵討ち出来たかな?」
そう言うとゼットは微笑んだ。
これで正解か?
大丈夫だよな。
「皆と合流しようか。」
「うん。」
ゼットと2人、アインシュタインの部屋を後にし潜入終了。
戻った部屋のコンピューターはまだ稼働していた。
「良かった。動いてる。」
「疲れたね。」
早く行かなきゃ。
でも、何か座り込んで並んだゼットの肩にもたれかかる。
キスだけ。
チュッと優しいキスを。
「俺達、最強。」
「アルージャ、大好き。」
キスだけで元気が出るよ。
後はエメリヒとトールだ。
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