第142話もし、元の世界に帰れたら
ボスの計らいで今日は決戦メンバー皆さんお泊まり!となりました。
俺は戦う力が無いので寄生に近いのだけれど。
政府の情報源と榎津さんとの繋がりと言う事もありメンバーの一員らしい。
今夜はリュートとオーガの部屋に泊まる事になった。
明日は非番だし。ちょうど良かった。
「マコトさん!ベッド使って下さいね。」
リュートは元々優しくて正義感の強い奴だったけどオーガが案外優しくて。
俺の見立てに間違い無かったなあと思えたりする。
漫画の内容は当初の予定より少しズレそうな気もして来たけれど。
果たして描いても良いものか?
「今日は泊まりで良かった。マコトさんに相談したい事があるんです!」
と二人揃って言う。
「あー。俺も話あったしゆっくり語ろうか!」
3人仲良くダイニングでお茶でも飲みながら語り合う事にした。
「相談って言うのが。元の世界に戻れたとしてって話です。俺達ってやっぱり失踪したって事になっているんでしょうか?」
オーガが真剣な顔で聞いてきた。
・・・。失踪?そうか。突然、召喚されたし。
「純粋に戻った後の事を考えていなかったね。俺は大人だから・・。まあ、海外に行ってたとか何とか誤魔化すか?」
連載は終わっていたが・・。もしかしなくても編集部に見放されていないだろうか?!
一応、両親もいるし絶対、連絡はされているよなあ?
「俺達はどうしたら良いんでしょう。」
リュートが大きく溜息をつく。
彼等は高校生。いや、当時は中学生か?
これは不味い事態になっていそうだ。
「ユウヤ・エノキズの能力って時代までは戻せないんですよね?来た日時に戻るのはやはり不可能ですか?」
オーガに聞かれてうーん?と唸るしか無かった。
「ちょっとリョウ君も呼ぼうか?」
これは全員で考える必要がありそう。彼の携帯に電話をすると直ぐに来てくれた。
彼が泊めるビクター君も一緒だ。
「お招きどーもー。どないしたんです?」
リョウ君とビクター君も交えてさっき話した事を話してみた。
「・・・。あかんな。俺、5年もおるやん!失踪事件どころか死んでるかもしれんやん!」
いや、失踪から死亡届け出るのは7年か?とブツブツ言いながらも現実を突き付けられて少々顔色が悪い。
「それは、帰るのも大変なんですね?」
ビクター君はこの世界観からは想像が付かない様で首を傾げる程度。
「俺達の居た国は特に厳しいんだ。設定をきちんと考え無いと日本警察は執拗いぞ。」
サスペンスのテレビの感じだけでしか良く解らないが科捜研とか絶対、防犯カメラとか調べるだろうし。
架空の誘拐事件とかで誤魔化せるのか。
「ユウヤのおっちゃんはかなり前から居てるけど。絶対、死んだ事になってるやんなあ?戸籍無いやん。どないするんやろ?」
リョウ君が更に嫌な事を言う。
洗脳を解いたら榎津さんも戻りたいだろうし。
「洗脳されてるから気付いて無いのか。戻る気が無いのか。元の世界に戻せるけど大元帥達に禁止されていると言っていた。」
その能力があるのに戻れない榎津さんが1番気の毒な存在。
俺は今まで騙されてきたけれど。でも、榎津さんの事を憎む事は出来ないでいた。
「しっかし、帰れると思うたら難題や。君ら凄いなあ。ちゃんとしてる。」
リョウ君はリュートとオーガの思い付きに凄く感心している。本当に頭の良い子達だ。
若いからこその発想。
俺も漫画家としてちょっと考えなければ。
漫画ならどう言う展開なら有り得るだろうか。
「転移先を日本では無く海外にしてもらって・・・。日本大使館に逃げ込むって形を取るとか?誘拐されて長年拉致監禁されて居ましたってネタとか使えないかな?」
あまりにも強引かなあ?日本人に迷惑はかけたくないし。
でっち上げ犯人を作るのも無理がある。
「無くはないですね。日本に居て突然現れるのは無理がある気がするし。」
リュートの父親は警官らしい。
そりゃ、普通の親より追求が厳しいだろう。
数日や最高でも3ヶ月くらいなら本当に何とかなっただろう。
「まあ、そう言うんは無くはないわな。話をきっちり合わせりゃいけるわ。ほんまはな?嘘は嫌いなんやけど。」
リョウ君は苦笑い。
「この案も本当にイマイチかもしれない。
だけど神隠しにあったとか?宇宙人に攫われたとかよりマシな気がするんだ。」
そう言うと皆もうんうん。と頷いてくれた。
まさか異世界転移してました何て絶対言えない。言っても信じて貰えない。
いやいや、言ったら頭の変な人認定されそうだ。
「後、少し日にちあるし。本真に良いネタ浮かんだらまた話し合いしようや。」
リョウ君の意見に俺も2人も賛成。
聞くに聞けないが洗脳が解けた榎津さんの能力で転移前の年に戻せるなら最高なのだけど。
これは榎津さん救出後の話だ。
戻れたらの後の話。
次は俺の漫画・・・。
「描いて良いんだろうか?」
描きたいのが本音。
でも、迷う。この漫画は異世界人大量転移の為の布石となる予定だった。
「正直に描いたら良いんちゃう?政府の事もカプリスの事や他のマフィアの事も。」
リョウ君はそう言ってくれた。
「俺は主人公やります!てか、やりたい!だって。辛かった事もあったけど無かった事にしたくないし。」
リュートは頷く。
「俺は思いっきりイケメンの俺様系にして下さいね?俺、先生の漫画読んでみたいです!」
オーガは嬉しそうに笑ってくれた。
確かに。
カプリスと段々と芽生える友情。そして真の敵を倒すって話にしたら面白いかも?
先ずは榎津さんの洗脳を解いて味方にする。
その後は皆様にお任せだけれど。
無事に帰れたらやりたい事が沢山だ。
ビクター君も何とか会話についていける様になって話は夜中まで弾んだ。
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