第135話ウェンの悩みとその後の会議

昼寝は有難い。ミナキの異能って想像以上に消費が激しかった。

地味だけど激しい・・。


「ウェン。俺も一緒に昼寝する。」

「うん。」

ミナキもベッドに潜り込んで来た。抱き締めて寝たかったから嬉しい。

こう言う昼寝って久しぶり。ミナキを腕枕してそっと抱く。

甘える様に抱きつくミナキが可愛い。


でも・・・。

本当に・・ミナキを元の世界に帰さなくて良いのかな?

アインシュタインを壊したら帰れなくなる・・・。

ミナキはそれで良いの?


でも・・離したくない。


「ウェン?疲れすぎた?」

ミナキが眠そうな顔で俺の頬を優しく撫でる。

「慣れない事したからね。ありがと。」

チュッと優しくキスをした。


この温もりを俺は離したくない。

一生・・・手放せない。


そう思いながら眠りに付いた。



今、何時?


2時間程寝たようだ。

まだ、ミナキ寝てる。


寝顔も可愛いなあ。


本当に元の世界に帰さなくて良いんだよね?


髪をサラサラと撫でる。フワッと赤いオーラがキラキラと俺の手を包む。


愛しい。


ただただ・・愛しい。


「ウェン・・。起きた?」

「うん。」


俺の大事なミナキ。


「何か悩んでる?」

顔に出てたのかそう聞いて来た。


「ん。ちょっとだけ。」

「何?話して?」

ミナキはちょっと真剣な顔。

うん。そう言われると困る。


「元の世界に帰らなくて良いの?」

「うん。ウェンと一緒に居たいから。」

そう言うと思った・・。


「ありがと。」

ミナキを抱き締める。


でも、本当に俺の為に良いのかな。

嬉しいけれど本当にそれで良いのかと思えてしまうのは何故だろう。


ミナキにとっての幸せはこの世界にあるの?


沢山、言いたい事は有るのだけれども言葉が出なかった。


これはアインシュタインに潜ったせいだ。

大元帥や元帥の過去。それに総帥の話。

極めつけにアインシュタインを壊すと言う話。


壊さなければまた、新たに異世界人が来てしまうしな。


もう少し考えよう。今は決断出来そうに無い。


「アジトに行こうか。」

「うん。ウェン?本当に大丈夫?悩み過ぎてる?」

ミナキ鋭いなあ。悩み過ぎてるよ。


アジトに向かうとアルージャとゼット、ボスとシアンはもう集合していた。



・・・・・・・・・・・・



皆、集合完了。すっかりメンバーが増えて2LDKじゃ狭く感じるようになった。

前の広いアジトに戻りたいなあ。と、ちょっと思う。

しかし、さっきのウェンは何か変だった。

確かに帰れなくなると言われると決意が必要だよ?

でも、俺はウェンが1番なんだ。



「じゃあ、会議始めようか。」

ボスが声を掛けた。


「アルージャ、俺に話した説明をもう1回して。」

ボスがハーミット様に話を振る。


「了解。」

ハーミット様はアインシュタインの中での出来事を話始めた。


最奥は総帥のコア

エメリヒとトールの過去話。


本当にハーミット様が言う様に根源は総帥だ。

だけどエメリヒとトールが被害者であったとしてもその後の現在の出来事は加害者。


同情したいが出来ない。これが裁判制度で裁けるのなら情状酌量でも無期懲役とかだろう。


「何故、総帥はその映像を見せたのかな?」

ボスは同情させる為?と少し疑問を持ったようで。それに関しては皆も思った様だ。


「何だかんだで?総帥はエメリヒに洗脳されてるやん?せやから?うーん。言いたい事が上手く言えんわ!」

リョウの言いたい事は解った気がする。


わざわざ見せたのは同情を惹きたいのでは?って事だろう。


「判断が難しい所だけど。俺達がミナキを召喚するきっかけを作ったって言うのが衝撃的だね?」

ボスは俺の顔を見てニヤっと笑った。


「まさに都合のいい男ですね!カプリスに入る為に呼ばれたって言う感じが嬉しいです!!」

そう言うとボスを中心に皆、ケラケラと笑い出した。

俺は本当にツイてると思う。政府に召喚されずにカプリスに出会えたのは運命だ。


「さて。話を戻すが。エメリヒとトールを倒す。元の世界へリョウ達を転移させる。その後、アインシュタインを破壊が順番だよね?」

ハーミット様は呼び掛けた。


「シャットダウンした時にアインシュタインはミナキを召喚したんですよね?」

オーガが確認するように尋ねた。


「そう言っていたが。」

ハーミット様は首を傾げてオーガを見た。


「エメリヒ大元帥の洗脳が解けてトール元帥が死んだらアインシュタインは暴走しないんでしょうか?元の姿に戻るとか?」

なかなか恐ろしい発想だが何か解る。


「うーん。」

オーガの意見にハーミット様もボスも腕組みして悩み出してしまった。


「召喚士ユウヤの能力だけでは全員を元の世界に戻すのは難しいのかな?」

ボスが首をぐるっと回してそう言ってまたブツブツ考え出した。


「ユウヤに会った事あるリョウ、オーガ、リュートはどう思うんだ?」

ボスの独り言にハーミット様が反応した。


「榎津さんの異能力なあ。アインシュタインを使わへんでも出来ると思うで。せやけどなあ。1人が限界ちゃう?」

リョウは異世界を繋げるには異能量が半端ないと言う。


「その意見同じく。」

「俺もそう思います。」

オーガとリュートはそう言った。


「そこに増幅の異能を使えばいけるかなあ?マーシェルファミリーのボスが攻撃や異能強化させる能力者なんだよね。」

噂のマーシェルファミリーのおネエさん系ボスかあ。

まだ会った事無い。


「試したい事が多すぎるな。」

シアンがクスクスと笑いながらボスの肩をポンと叩いた。


「本番は1回限りなのに厳しいね?でも、やるんでしょ?」

ジハードがボスの顔をチラっと見た。


「やるよ。シュミレーションだけは何回もやるけどね。」

ボスが全員の顔を見詰めた。


「第1ターゲットはエメリヒ。」

全てはこいつを倒せるか否か・・・。

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