第114話獣人が捕まった?
無事にスティーブンを殺ったハーミット様とゼットが戻ってきた。
「お疲れ様。流石、やるねぇ。」
ボスは嬉しそうにハーミット様を褒める。
実際に暗闇でのバトルって普通の人は出来なかっただろう。
獣人達は見えるらしいがあのスティーブンって奴と対等に渡り合えるのはゼットだけだったらしい。ボスやシアン達の目が慣れて戦闘に入れる様になる前にゼットはハーミット様の変化にいち早く気付いて1人で出ていった。
と言うか・・。ゼットは結婚していないって言ってたのだけど?
船のデッキで話したのに。ハーミット様はちゃんと聞いてたのかな?
聞いてて帰りたいとか言ってたのか?
何か妙にゼットを避けてる感じ。
何か長年片思いってすると拗れるよね。俺もそうだったから解る。
元締めと獣人達が再び転移してきて話し合いの続きが始まった。
問題はこのままエクア・ドルに残るか否か。
先ずはそこからみたいなんだよね。
戦争を終結させたい。しかし、政府異能者を全て倒すのは不可能だろう。
幾らでも追加が来る。
だからと言って長年住み着いた土地を離れるって嫌だとは思う。
でも、俺達はそれよりも安全を優先した。
難しい問題だな。
「ミナキ。漫画家からメール。」
ハッキングに夢中なハーミット様がメールは見ずに俺に携帯を渡してくれた。
『そちらは大丈夫かい?
リュートとオーガがまたカプリスにやられたと言う報告は貰ってます。面白そうだから今度、聞かせてください。
それよりも!!獣人が捕まったってリュートからメールと写真が送られて来ました。
君達が会って話を聞けた後なら良いんだけれど。
まだ獣人に会えてないなら助けに行った方が良いと思う!これから公開処刑らしい。写メ添付するね!』
まじで?
此処に居ない獣人が!?
「すみません!獣人が捕まったって!処刑されるって!連絡が入りました!」
ザワっと場が荒れた。
「ジャングルのアジトか?!」
直ぐに連絡を!
いや、下手に連絡は危ない!?どうしたら!
慌てた様子で混乱している。
「この写真なんですが・・・。」
恐る恐る皆に見せる。
獣人達は変だな?と言う顔をした。
「ベアル?は此処にいるよなあ?」
「茶の毛色の熊獣人はベアルだけだが?」
「ベアルに似てるけど違う。」
熊形態の獣人の写真と人型のまま?な人間が縄で縛られて檻に入れられている写真だった。
だが、写真を見た獣人達は首を傾げる。
「俺?あー!!コイツはイルーズだよ!マフィアの1人!ほら!隣にアソクってのが居るし。」
ベアルが叫んだ。
「異能コピーやな。確か前にヴァルヴァラちゃんが言うてたわ。」
リョウがそう言い出した。
リョウの話だとダークネスファミリーには異能完全コピーと言う異能者が居たと言う。
「簡単に言うと前回戦闘した奴の異能を完コピ出来る奴やねん。だから、ベアルさんの異能の獣人化を此奴に見せたんちゃう?」
リョウはベアルを見た。
「獣人化した・・・。人を人形にする恐ろしい光弾を沢山放って来て。太刀打ち出来なくなってやむ無く。」
えーと。その異能は間違い無くヴァルヴァラの異能だ。
「と言う事はコイツらはダークネスファミリーのイルーズとアソク?」
みたいだなあ。
「レイ君やってもーたな。オモロいから偵察しよ。ミナキも行こうや。」
リョウにそう言われて確認する為にも朱雀を放つ。
リョウの意識と朱雀と共に島を抜けて本土へ上陸する。
街の中心部に政府異能者達が大勢集まって居た。
こんなに沢山の政府異能者が来てたのか・・。流石に見つかる可能性もあるので隠れて偵察。
「24時間。イルーズの異能は異能発動したら使えるって聞いた。恐らくこのまま元に戻らずってやつやな。元凶やし仕方無いちゅー話やな。」
リョウがボソッとそう呟いた。
アソクは反論して喚いている様に見えた。
しかし、誰も聞く耳は持たず彼等2人はそのまま・・・。
政府異能者達は歓喜の声を上げてレイを賞賛している。
狂ってるよ。やっぱりこの世界。
何とかしないとならない。
そう。リョウも帰る為には大元帥を・・・。
暫くするとレイと半数の異能者は戦闘機に乗ってジ・パングへ飛び立った。
半分は残るのか。様子見る気だろうなあ。
レイが帰還するのを確認してアジトへ戻った。
「レイは帰ったがまだAランクが残っとるわ。表だった行動は出来んな。」
リョウと報告するとそこからまた会議が再開。
「新しいアジトを建設するのは目立つだろうな。」
「ジャングルに移動するか?」
「この人数は多すぎる。」
会議はなかなか進まない。
「なあ?駆除屋で何人か働くかい?」
話の纏まらない彼等に元締めがニヤっと笑いかけた。
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