第112話アルージャの想い。新たな敵

ユウエンに連絡をすると獣人達と共に転移してきた。


この木の家。アジト?は壊れたし。どうするんだ?


しかし、獣人ってもっと居るかと思っていたけれど。子供入れても20人くらいか。

この女獣人の中に嫁が居るのかな?子供も・・・。

誰だろう?

いや。関係ないし。


今更、妬いても仕方ない。


「これから何処へ行く?他の獣人はもう居ないのか?」

ゼット達、若手獣人達に尋ねた。


「分散したんだ。」

確かベアルとか言う獣人がそう言った。


「各グループ20名くらいの小規模に分かれている。今、獣人は60人くらいだよ。」

ゼットはそう言った。山、島、ジャングルにそれぞれ住み分けしているそうだ。


「島へ渡るか。」

この人はジョルジオさん。結構年上の人。

ガラ・パゴス諸島ね。あー。幾つか島があるな。


ユウエンに頼み島へ転移。

しかし、ユウエンって本当に世界各地に行ったことあるんだな。驚きだ。

と、思ったが。


「あっ。ここの島じゃない。」

ゼットがそう言った。確かに見渡すと本当に幾つか大きな島が遠くに見える。


「流石にガラ・パゴス全部は制覇してないよ。」

ユウエンは苦笑する。

電話連絡して獣人の仲間に船で迎えに来てもらった。


船の中には入らず甲板で海を見る。

中に入りたくない。


何か複雑な気持ちなんだよなあ。

完全に助けた訳では無いから帰らないのは仕方がないけれど。

ボスはどうしたいんだ?


て言うか・・。ゼットと嫁がイチャつく姿は見たくない。


だから帰りたい・・・。


やっぱり、ゼットってストライクゾーンのど真ん中だった。今も昔も。


牢獄で会った時に俺の牢の鍵をぶっ壊したのを目の当たりにした時からだ。


・・・帰りたい。

急にネガティブモード。辛くなってきた。


「ハーミット様!聞いてます?」

「アルージャ。」

甲板に出て来ていたミナキとウェンが俺の顔をまじまじと見詰めている。

「ん?聞いてない。」


溜息をつかれてしまった。


「一先ず島の別グループの所で会議するって。」

ウェンがそう言った。そっか。

「帰りたいな・・。」

こいつら2人と居ると本音で話したくなる。

「ハーミット様。聞いてなかったんですか?」

ミナキがまたまじまじと顔を見た。


「いや、大丈夫。聞いてたって。」

はいはい。今後の獣人の生活決まるまでボスは帰らない気だろうな。


しかしなあ。もう政府はこれ以上攻めて来ないのか?

エンジェルの件はバレないのか。


そうか。同行をハッキングすればスッキリするな。

着いたらやろう。


島に上陸した。


見事に何も無い島っぽい。

「人も住んでいるよ。」

ゼットが俺の方を振り返って笑顔でそう言った。

「そうか。」

キラキラの笑顔に一瞬キュンとしたが素っ気なく答えた。


もう俺に話しかけ無いで欲しくなってきた。


この一帯の島は無人の島、空港がある島等、大小様々あるらしい。


でも、大半は山と海と動物。

獣人には住みやすそうだ。


島のアジトはやっぱり山にあった。隠れる様に・・・。

島は安全だからか中高年の獣人の集まりだった。知ってる顔が居て懐かしい。

何故、こんな風になったんだろうな。共存出来る筈なのに。獣人は悪人じゃない。

見た目は人だし。


いや、本来の姿に慣れない時点でアウトか。


そうか。エメリオを倒す意味は此処にあるんだ。


あーあ。11年。経っても会うとクソときめく。

嫁はどいつだよ!?

知ってどうする?

だーーー!ムカつく!


本当に何で今更、俺の心を乱すんだ。



話し合いの最中にも許可を貰い俺は政府にハッキング中。

これが総帥だと言うと思うと何か気持ち悪い。

あのトラップは総帥自身?

わー。触手思い出した。黒歴史。


ん?これは。

政府が出した出動要請メール。


この国で獣人の目撃情報ね。

偵察、Sランク異能者。エンジェルにレイにスティーブン??そんなのSランクに居たか?


「おい!スティーブンって誰だ?」

リョウに尋ねた。


「スティーブン?知らんで。」

「Sランク異能者の出動要請メンバーに入ってるぞ!!」


「えー?誰や?俺の変わりに昇格したんかな?」

リョウはブツブツ言いながら偵察を開始した。

まあ、確かに強い気配は2人だけだった。


えーと。スティーブンってどんな奴だ。

本当に昇格した奴なら情報の記憶が無い。


「解りそうか?アルージャ。」

ボスが心配そうに背後に来た。


「1度行った所には行けるから。」

トラップも無いし。


「あった!!」

スティーブン・ブロック


リョウに写真を見せると頷いて再び偵察開始。


Aランクから昇格。それで?

元は政府管轄国ミ・ケーネ在住。だからリョウも良く知らなかったのか。


「異能は闇?」

ボスが画面を読み上げる。

「今までのSランクの実績が無いのか詳しく書かれてないね。」

ジハードも背後に来てそう言う。


「多分、Aランクの時は書いてあったんだろうな。」

まだリョウが抜けてそう日も経ってないし最近決まったと言えるだろう。


「復元する。」

消されたデータの復元はそう時間もかからないだろう。


「闇ってさあ。姿が黒い?」

リョウが何やら変な事を言う。

「ちょ、ミナキも見てや。」

ミナキも偵察。ボスやシアンも危険察知発動し始めた。


「何か黒い影がこっちに来てる。」

「気配が薄い。でも何か居る。」


何か変な奴っぽい。

「張さん、転移させてくれ。何度も済まない!」

「大丈夫だぜ。俺、今日戦ってねーもん。」

ユウエンは豪快に笑いながらこのアジトに居た女子供の獣人、中高年とさっきの負傷者を連れて転移した。


残ったのはゼットとベアルと・・・?トーマスか。


「よし!ハッキング完了!捜す!」

Aランク異能者は多かったからな。


「あかん!来たわ!」

リョウの声と共にアジトは闇に包まれた。


パソコンの明かりだけ。


これはこれは。闇ってこういう事か。


パソコンの画面を閉じた。


「俺がやるよ。ミナキは結界頑張って。」


「獣人とカプリスだな?」

スティーブンって奴がアジトに侵入してきた。

おぉ!外も闇か!こりゃ島の人困ってるだろう。


申し訳ないが俺はとても居心地の良い異能だ。


ちょっと、イライラしてたし。

「殺ろうか?スティーブン。」


闇の中は俺もテリトリーだから。

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