第103話シアンとリョウの話を纏めてみる

引越しも落ち着き数日後にアジト集合の連絡が来た。


何時もの様に晩御飯ついでの会議。


「まあ、ちょっとシアンの話を聞いてくれ。」

ボスがそう言って晩御飯&会議が始まった。


「そう言う訳で俺は多分、総帥は居ないと思った。」

シアンの話は政府機関での事だった。


「でね?ボスと勝手な想像したんだけど。異世界人でこの世界を征服しようとしてる?って言う意見。」


大元帥と元帥は確かに異世界人だし。


この世界は何時からおかしくなった?って一番おかしくなったのは脳内チップ開発からっぽいし。


「ほい!元Sランク諜報員から意見言うで!」

リョウが手を挙げた。


「そう言われると・・。俺も総帥を見た事無いわ。大元帥はエメリヒって言うて多分、ミナキしか解らへんやろけど。ヨーロッパ系!あの辺の顔やった。元帥はトールって言う日本人?かな。」

リョウは考え込む様な神妙な顔でそう言って一旦黙った。


「トールは御厨亨だよね?」

海誠先生に教えて貰ったフルネーム。


「そうや!トオル!脳内チップ怖いわ。何も疑問に思わへんかった。てか、何で知ってるん?」

リョウは俺の顔を見る。


バラして良いのか?海誠先生の事。


ボスの顔を見ると軽く頷いてボスの口から話してくれた。

「カプリスの理解者が政府に居るって言う事さ。」

リョウは首を傾げた後に上を向いて。ん?と言う顔をした。


「えーと。それって?そうそう。マコト・ソトメだ!!あの人は脳内チップ入って無い!あー。これも操られて居たのか全然何とも思っていなかったわ。」

と海誠先生の事を思い出した様で凄く驚いた表情をしていた。


「たまたま俺が話しかけられてからの付き合いなんだけど。漫画家さんで海誠先生って呼んでる。」

リョウはまたしても思い出す様な顔。


「ビーストバスターの作者やん!!」

まじかーと言うまたまた驚いた表情だ。


「海誠先生のファンがえーと?榎津さん?って偉い人で。彼のお陰で脳内チップは入れられずに済んだって言ってた。」


リョウは榎津はナンバー4って言われている召喚能力異能者やと言った。


「ねえ?ミナキ。何かその漫画家さんの話ってもっと続きあったよね?」

ジハードが考え込む。


「えーと?漫画家を書くから3年計画でって話で・・・。あっ・・・。」


全員が顔を見合わせた。

多分、同じ意見。


辻褄がピッタリと合う。


「この世界の政府や警察が主人公の漫画を書くから脳内チップは見逃してくれた。そう、漫画が売れたら異世界転移してきた人が喜んで政府に仕えるだろう?みたいな話をしてた。」

俺はそう言ってもう一度考え込む。


「でも?海誠先生が自分からこの提案はしたんじゃなかったっけ?」


全員、考え込む様な沈黙。


「うん。確かにミナキはそう言ってたね。」

ボスは頷いたが

「もし、それが操られてそうなった?と言う場合は考えられない?」

と言った。脳内チップ入って無いのに操るか。


「あのね。10年前は脳内チップは無かったんだ。代わりに行われていたのは弱らせて洗脳する。そう。洗脳。」

ハーミット様の言葉が刺さるな。


「エメリヒ大元帥の異能は何か知ってるか?」

ボスがリョウに尋ねた。


「解らへん。会議で顔合わせるくらいやし・・。でもなあ。あの目は怖い。洗脳!!そうや!!」

リョウが思い出した様に立ち上がった。


脳内チップが入って居ても嘘が解るリョウが会議中に意見が言えなくなる瞬間があったらしい。


「洗脳の意見か自分の意志の意見かって嘘は見抜けるのかしら?」

エルーカさんがそう聞いた。


「んんー!?解らへん!やった事ない!」

リョウは自信なさげに苦笑した。


「漫画家さんにリョウを会わせてみたら?」

「エルーカ。冴えてるね!俺もそう思っていたよ!」

ボスが俺とリョウを見た。


行けって事だね・・・。


「海誠先生?!俺、会ってみたいわ!ファンやし!」

そのうち会う事になるとは思っていたし良い機会か。

どうしよう。そろそろJUSTICE&の漫画の話もした方が良いのかな。

リョウに嘘は付け無いだろうし。


「ねえ。リョウってどうやって嘘か本当か解るの?」

どんな感じなんだろう。


「言うてへんかったね。あのなあ。嘘やったら小さくアラーム音が聞こえるねん。ピーピーって。大嘘である程デカい音。自分が嘘を付くと警笛みたい。五月蝿すぎるから本間に嘘は付きたくない。」


「五月蝿そうだね。何か気の毒。」

ディードがそう言うと皆も苦笑い。


「慣れやなあ。最初からやし。」

特殊な異能ってそうなのかもね。ウェンの好きかどうか解るオーラもそうだ。


ボスはなるほどなあと頷いてリョウの顔を見た。

「リョウ。ちなみに俺の異能は相手の異能が解る。目で直接見た相手限定。写真などでは解らない。だから?」

ボスはそうリョウに言った。


「そうかあ。便利やな。あー。もしやエメリヒ大元帥に合わせろって事?無茶やで。」

リョウは焦った様にそう言った。


「政府機関から外に出る時とか知らないか?定期的にとか。」

そう聞かれて思い出す様に考えていた。


「政府管轄国訪問!毎月15日に何処かの国を視察する。元帥とSランク異能者も一緒やで。」

これは見るだけでも本間に危険やで?とリョウは顔を顰めた。


「考えておくよ。一先ずミナキは行動開始ね。転移は張さんお願いして行っておいで。」

これはリョウを元の世界に帰還させるだけじゃない。

この世界を変える戦いになるかもしれないよ?そうボスは言った。


俺も同じ事を考えた。


この異世界はあまりにもこの世界の住人に優しく無い・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る