第102話そう言えば5年ほど人付き合いしてへん
リョウ・ジャスティスなあ。
慣れん苗字やわ。でも、心機一転やね。
新しい国民カード。こんなん作れるんやな。凄いわ。
それにしても文字読むのって脳内チップに頼ってたんやなあ。流石に5年も居るから読めるけど何か時間かかる。
しかし、俺の部屋って貰い物のベッドしか無い。朝起きてからベッドでゴロゴロしている。
無計画で出て来たし。服は政府出てから少し買ったけど。
あかんな。
街ブラするか。
誰か誘いたいねんけど?
カプリスメンバーの顔を思い浮かべる。
そういや。俺、この世界に来て友達作った事無いわ。
異世界転移して来てこの世界の勇者やみたいな事が嘘やと解って居たのに眠っている間に脳内チップを入れられて。
警察官なって、政府機関に昇格して。
脳内チップの入った俺らは友情って感情は無かった。
仲間意識はある。
でもそれは俺の知ってる友情やなかったわ。
あれ?友達ってどうやってなるん?
はは。まだ何や色々欠落してる俺。
良し!誰か誘おう。
アルージャ?彼は優しそうな顔してたなあ。それに聞きたい事もある。
誘ってみよか!
と言う訳でアルージャの部屋へ。
ピンポーン。
朝、10時やねんけど。寝てはる?
「あー。そうかピッキング出来ないんだったな。」
真っ暗な部屋から黒服のアルージャが不機嫌そうな顔で出てきた。
ん?ピッキング。そうなんや怪盗って出来るんや!
「俺、基本夜型。まあ、良いや。起きたし入りなよ。」
「ごめん。起こしてもうて。」
暗い部屋に上がらせて貰った。
遮光カーテン?
「電気付けへんの?」
「基本、暗所が好き。良いよ電気付けて。」
そう言われて電気を付けた。
「眩しい・・・。で?どうした?」
あくびしながらアルージャは聞いてきた。
この人、本間に正直ものやなあ。
「あー。色々、部屋の物を買いたいんよね。それで、預金っておろせるんかな?」
ああ!と言う顔でアルージャはパソコンの前に座った。
「まあ、座りなよ。そうか。預金の事は忘れていたよ。」
今まで財布に入っていた金で買ってたがそろそろ底を尽きそう。
「下手に使うとこれも政府に連絡いくだろうからね。お金下ろす前で良かったよ。」
キャッシュカードを俺から預かりパソコンをカタカタと操作するアルージャ。
本間に凄い人やなあ。
「うげ。凍結されてる・・・。」
仕舞ったと言う顔でアルージャは俺の顔を見た。
「俺の150万シェルの預金が・・・。使えへんの?!」
ガーン・・・。ショックや。
「待て待て。このくらい何とでもなる。」
アルージャはニヤっと笑い銀行ねぇ。と言いながらハッキングすると言う。
スゲーな。
「凍結解除完了。後は預金は架空口座を転々として行先不明にしてっと。」
もう悪い事ばっかりしてるんやなあ。そりゃ怪盗やしな。
でも、何やろ不思議とそれが許せへんとは思えん。
「新しい口座はまだ作ってなかったな?」
「そやね。」
じゃあと言ってアルージャは自分の口座に最終的に移したと言った。
「後はもう1回口座を凍結して。バレないだろう。150シェルだけ残して置いたよ。」
とクスクス笑いながら完了!と言った。
無茶苦茶早い作業やった。
「じゃあそう言う事で俺は寝る。」
「え?一緒にお金下ろしに行って買い物付き合ってくれへん?」
「え?外出、面倒くさい。俺のカードから下ろして良いから暗証番号は・・・・。」
アルージャって・・?引きこもり?
「どうしても行きたいなら2時間後に起こせ。それまでテレビでも見てて良いから。」
俺はそうすると言って頷いた。
アルージャは寝室にまた入って行った。
信頼はされてるんやろなあ。
1時間くらいした頃にドアが勝手に開いた。これがピッキングかいな。
「お?リョウじゃねーか!」
来たのはバックスレー。デカいお兄ちゃんや。
「飯を頼まれててな。お前も食うか?」
ビニール袋にスーパーで買ったと思われる弁当やら飲み物やらカップ麺が沢山入っていたのをテーブルにドン!と置かれた。
「あー。おおきに。えーの?」
「俺も今から食うし!」
カプリスって何か思ってた人達と本間に違うなあ。今、3週間くらい共におるけど優しいしフレンドリーだし。
政府に居る時は知らなかった人柄。
「ほれ。これで良いか?」
スーパーの弁当を差し出されて喜んでいただく。
「なあ、バックスレーは身長2メートルあるよなあ?」
俺が178センチ。日本では大きい方だったんやけど。
「んー?205センチ?くらいか?」
あー。やっぱりなあ。横幅もあるしこの人は本間にガタイが良い。
その後、アルージャも起きて来てご飯食べて3人で買い物に行く事にした。
「昼間に外とか。」
まだブツブツ言うてる。本間に正直な人や。
エバーステイの地理はだいたい知ってる。
ちょっと勤務した事があってその時は警官やった。
「デパート行ってええか?」
「OK。」
何か人と一緒に買い物とか本間に5年ぶり。それだけで楽しい。
「めちゃくちゃ楽しそうだなあ?」
「顔に出てるよ。」
2人にケラケラと笑われる。
「いや、本間に人付き合い5年ぶりやねん!」
そう言うて転移してからの話をした。
「なかなか恐ろしい代物なんだな。」
「俺達もあのまま捕まっていたらそうなってたかもなあ?」
バックスレーの話やとあの政府から10年前に捕まって逃げたんやと言う話で驚いた。
「あー。せやからカプリスは目付けられてるんや。」
ん?とアルージャが首を傾げるので政府はカプリスは少人数やのに目付けてるって話をした。
「ブッ。だろうね!その後も護送車襲ってこの世界の異能者助けたりしたし。なるほど、それでカプリスの名前は知れているんだなあ。」
アルージャは満足そうな顔で笑い続けている。
うーん。本間にこの世界の異能者にとってはカプリスって正義の味方やん。
嘘は本間に付けへんしミナキがカプリスが大好きって言うてた意味が解ってきた。
デパートでは電子レンジに小型冷蔵庫、洗濯機、テレビ等の家電にソファやテーブルや椅子は配送にして貰い、細々した生活用品は手持ちで購入。
「配送は明日だろ?今日はアジトで過ごせば?」
確かにそれがベストやなあ。
「アジトは誰が使ってもOKだから。後はメンバーの部屋も大抵泊まれると思うよ?」
親切やなあ。何か・・・カプリスって居心地が良い。
「なあ?皆、何歳?」
多分、同じくらいやと思ってんけど?
「正確な年齢が不明なんだよなあ?でも25くらい。バックスレーとボスは26?ミナキが1番若い。」
と教えてくれた。
何故年齢が不確かかと言う話を聞いた時はちょっと・・・ショックを受けた。
親に捨てられてマフィアに拾われて初体験は男って言うてたよなあ・・。
この世界、やっぱり変やわ。
何で?
スーパーで晩御飯を購入して帰宅。
「本間に楽しかった!!」
何かプライベートな話とかも久しぶりした気がするわ。
「俺の部屋で食うか?レンジ使って良いぞ。」
バックスレーがそう言うてくれるので有難くそうさせて貰う事にした。
えーなぁ。
何や無茶苦茶楽しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます