第89話政府機関へ潜入
俺達は駆除屋に待機していた。
ヴェガさん達マーシェルファミリーの方々精鋭10名も一緒だが彼等はシアンの動向とは関係無しに政府機関に転移する。
イーヴェンデルタの幹部2人の死の確認または殺す事が目的だからだ。雑魚は放置で良いらしい。
同じジ・パングへの転移の場合はシアン奪還後にヴェガさん達のバトルのフォローに入る。
0時18分に海誠先生からシアンはまだジ・パングだとメールが入った。
「このままジ・パングだと良いな。」
ボスは少しばかり安堵した表情を見せた。
シアンがプエル・トリコに行かれてしまった場合はプエル・トリコに近いサン・パウロ連邦の空港に転移して小型機で向かう事になっている。
「うちの見張りがエンバスター達を確認した。間もなくだ。」
ヴェガさんがそう言った。
0時30分。エンバスター達は政府機関からSランク異能者達が出動するのを確認してから侵入するのだろう。
0時40分。ヴェガさんの携帯に侵入したとメールが入った。
そして俺の携帯にもワンコール。
「行くぞ!!」
「了解!!」
ボスの合図と共にジ・パングへの転移が確定した。
「じゃあ。行くよ。」
今回も元締めも一緒だ。
全員が入る特大サイズの魔法陣が描かれる。
――転移――
見た事がある建物だ。
政府機関の中枢。その裏手に出た。
「ミナキ偵察。」
「はい!」
朱雀飛べ!!
政府機関に侵入させた。
うわー。絶賛バトル中。
マフィアと政府異能者達が1階のデカいフロアで何十人も居る。
「ヴェガさん!!ジェームズ・エンバスター発見。階段に向かって居ます。マフィアも一緒です。」
ヴェガさんもそれを確認した様で
「イーヴェンデルタの幹部も一緒だ。俺達はそちらへ向かう!」
と建物へ侵入を先に開始した。
「シアンは?」
ボスに聞かれたがまだ発見出来て居ない。
「別棟だ。」
バトル真っ最中の上を飛び別棟を目指す。
あれか。別棟の入口。
「居た!!」
ただしシアン1人じゃない牢獄看守らしき人物が後、3人。
「大丈夫だ。侵入するぞ。」
朱雀を戻し結界を何時でも張れる体制を整えて侵入へ備えた。
「着いて来い。俺とバックスレー、アルージャは1度捕まった事があるからな!」
ボスの誘導で非常口からの侵入を目指す。
「エンバスターの目的は総帥だ。どちらかと言えばヴェガ達の方が危険だろう。早めに此方を片付けたい!」
ジハードが走りながらそう言うとボスは勿論だ。俺の我儘に付き合わせて済まないと共に走る。
「さあ、此処が牢獄に1番近い入口だ。」
閉まっていたドアはピッキングで。
「はい。非常ベル鳴るよ。」
ハーミット様がニヤっと笑う。
「望む所だ!!」
ジリリリリリリリ!!!
鈍い音が響き渡る。
遠くからまた侵入者だ!!と声がした。
さあ。勝負。
牢獄目指して走る。
ヒヤリとした覚えのある殺気を感じた。
「シアン・・・。」
ボスが呟いた。
此方へ来いと招く様に牢獄へ近付くに連れてシアンの殺気は濃くなった。
「背後から3人!」
ボスの言葉でバニラさんとディートさん、エルーカさんが立ち止まる。
「任せとけ!」
ボスは頼むと告げて俺達は牢獄を目指す。
「牢獄は角を曲がれば直ぐだ。」
「看守全員Aランク。俺はシアンを捕らえる!ミナキも俺の援護!」
ボスの命令に皆が軽く頷いた。
ハーミット様、ラズ、ウェンが剣を抜いた。
元締め、ジハード、バックスレーさんも援護体制。
牢獄入口には看守3人が待ち構えて居た。
ウェン、ラズ、ハーミット様が剣を振るい威嚇牽制し俺とボスをシアンの元へ行かせようとする。
俺とボスは看守の攻撃を躱しながら牢屋の奥へ。
「カプリス?いらっしゃい。」
冷酷な表情のシアン。殺人鬼の顔とも違う。やっぱり操られているんだ。
「ミナキは俺とシアンの戦いを誰にも邪魔させるな。さっさと捕らえてヴェガの元へ向かうぞ!」
「了解。」
――
背後に壁上に結界を張った。
ボスは・・・?ヴァルヴァラが誰かを従者にするのを待っている?
取り敢えず捕まえる気で居る様だ。どうやって?
捕らえたらどうする?
意図が解らないが誰にも邪魔させない空間は作り上げた。
ボスとシアンの体術バトルが開始した。
俺は朱雀を飛ばして後方や他の異能者が来ないかの警戒。
「やあ。シアン久しぶりだね。」
「何処かであったかな?」
お互いを試す様な体術。
ボスが・・・嬉しそうだ。
「会いたかったよ。シアン。」
そう言いつつも攻撃は怠らない。
フェイント、蹴り。殴打。
お互い躱しそして受けながらニヤっと微笑み合う。
出会った頃を思い出している様なバトルに見えた。
良し!ディート達は勝った。
看守はまだか。流石Aランク。しかし此方が優勢。間もなく勝つな。
あっ・・・!!邪魔が入る・・・。
「ボス!!オーガとリュートが此方に向かっている!」
俺は叫んだ。
「楽しんで居るんだけど。仕方ないな。」
ボスはフフっと微笑んでシアンを見た。
「シアン。俺ね?新しい異能に目覚めたんだよ。」
ボスの両手がポワっと光った。
「ミナキ。張さんを呼んで来い!!」
ボスが大声で怒鳴る様に叫んだ。
俺は言われて慌てて走る。
クソ!何か良く解らないけど見たかったぁ!!
・・・・・・・・・・・・
「まだ操られているね?」
シアンの目は何時もの美しいシアンブルーじゃない。
「何を言っている?」
――拘束――
シアンの異能技を躱す。
――拘束――
連続技を躱しながら俺の新しい異能を発動させる。
「我ながら馬鹿な異能を身に付けたんだ。」
また、役に立たない異能だよ。
「君以外にね!!!」
――
これはシアンにしか効果が無い。
シアンの手足には手錠。身体は鎖で縛る。
そのままシアンは倒れた。
「クソ!!何だこの異能!?」
暴れても動けないし解けないよ。
「俺は本当に君を欲しいらしい。」
君を失って目覚めた朝。
自分でも驚いたよ。
俺がどれ程君を愛していたか。
欲していたか!
縛りたかったのか!!!
背後から来た張さんとミナキ。
「張さん。約束通り頼むよ。」
シアンを捕らえたら張さんが安全な場所へ避難させる。
「この鎖は解けないから安心して。」
「ヴェガが終わったら呼べ。」
「うん。宜しく。」
張さんとシアンは転移していく。
「今のが新しい異能?」
ミナキに聞かれて優しく頭を撫でた。
「後はヴァルヴァラ次第だけどね。」
あの女が誰かを従者にしないと話にならない。だけど・・・。
「まあ、シアン奪還は成功かな?」
ミナキが微笑んだ後に険しい顔をした。
「オーガとリュートが来ました。」
本当だ。
此奴は厄介・・・。
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