第90話リュートとオーガ
「カプリス!!!」
オーガの叫ぶ様な怒りに満ちた声が聞こえた。
牢獄入口に戻ると看守達は倒されていてオーガ達が来ないなら直ぐにでもヴェガさんの元へ向かいたい雰囲気。
「シアンは張さんと無事転移した。まだ洗脳は解けて無いけどね。」
ボスがそう報告すると皆は嬉しそうに笑った。
「じゃあ。ヴェガの元へ行きたい。」
「俺もガブリエルが心配だ。」
ジハードとディードはそうだろう。
「誰がやる?オーガとリュート。」
ボスの口調が戻った気がする。
「カプリスめ!!来やがったな!」
「お前達もあの連中の仲間だったのか!」
オーガとリュートが来てしまった。
そしてその後ろに海誠先生!???
げっ。不味い。お互いに知らないフリ。
「ちょっと待ちなよ。特に政府異能者を殺す目的で来た訳では無いんだよ。」
ボスがオーガとリュートを窘める様にクスっと笑った。
「お前達の事何か信用出来るか!」
リュートはやっぱり熱血だし。
「見つけたぞ。ハーミット!この前の借りは返す!」
恨んだ様にハーミット様を睨みつけるオーガ。
「うーん?困ったな。場所を変えないかい?リュートにオーガ。」
ボスはそう言うが2人はそうはいかない感じ。
「君達にはマフィアの違いは解らないだろうけれど。俺達は先に侵入した奴らとは仲間じゃない。寧ろそいつらを倒しに来た。今、君達の総帥を狙って先に侵入した連中は上へ向かった。」
ボスは子供を諭す様に言い聞かせる。
「だから。場所を変えよう。」
オーガとリュートが訝しげな顔をして一瞬迷いを見せた。
「行くぞ!!!」
ボスの合図と共に俺達は駆け出す。
「走れ!上だ!ミナキは結界!」
了解。――
「こいつらー!!!」
オーガのキレた声が聞こえる中、階段へ向かって猛ダッシュ。
攻撃は勿論、結界で防御。
「先に行け!」
ボスに言われてジハードとディードは更にスピードを上げて階段へ向かう。
1階のホールの戦闘中の間をすり抜ける様に2人は駆け抜ける。
俺達に気づいた者もいてたまに攻撃が来るが今の所は結界で平気だ。
結界で壁を作るイメージで。兎に角、先にジハード達を向かわせないと。
階段は1段ずつ駆け上がるものでは無いんだな・・。跳ぶものなんだね。
10数段?の階段をだいたい2歩で上へ上がる。
本当に軽く飛ぶ要領で。
「ヴェガ達の気配だ!」
ジハードが叫び更にスピードを上げた。
ディードも合わせてポンと飛び上がるように階段を跳ぶ。
ビルの此処は6階?
「おい!お前達!どう足掻いても上層階には行けないんだぞ!」
オーガとリュートが追い付いた。
俺達の方が足は速いみたいだ。やっぱり逃げるのはカプリスは得意。
「上層階って言うか?用事は先に侵入したマフィアにあるって言ってるだろ?」
ハーミット様がキレた感じでオーガに向かって馬鹿にした様に言うと
「知るか!!俺はお前に用があるだよ!ハーミット!」
と本当に私的な恨みなオーガの発言。
「オーガ。何があったか知らないが俺達はマフィアを倒す事だよ!」
リュートは正論。
そんな会話をしていると遅れて海誠先生がやって来て階段の途中で止まった。
「マコトさん。取材したいかもしれないけれど気を付けて下さいね!」
リュートにそう言われ海誠先生は頷いている。
俺達は海誠先生を傷付ける気は無いんだけどね。
ビルの6階は各部署があるのか会社の様に見えた。
その奥で戦闘の強い殺気が伝わる。
「Sランク!」
ボスが6階奥のジハード達が走って行った方を見た。
「居る。間違い無い。」
「そりゃ居るさ。政府機関だ!えーと3人プエル・トリコに行ったから後2人居るし!」
リュートが馬鹿正直に答えてくれた。
「情報流してどうするんだよ!」
オーガにツッコミを入れられている。
「2人ね。もう1人はこの階には居ない。」
ボスはそう言って
「ミナキ、ウェン、ラズと俺はヴェガのフォローに行くぞ!」
頷きあって俺、ウェン、ラズ、ボスは6階奥へ走り出した。
Sランク・・・。ヴェガさん達は無事みたいだがかなりの殺気が近付くに連れて感じられた。
・・・・・・・・・・・
「あっ!畜生!ボスめ!」
オーガが叫んで追いかけようとしたので前に立ちはだかった。
面倒なのを!まーた!押し付けられた!
「ハーミット!そうだな!俺の相手はお前だ!」
オーガってウザいよね。
「いや?俺はそっちのマコトさん?って奴を相手にしようかなあ。」
指さすと漫画家さんの表情がビクッとなった。
あははウケるー。
「おい!揶揄ってないでやるぞ!」
バックスレーがやる気。
「私もやるわよ!」
「同じくね?」
バニラもエルーカもやる気かあ。
俺は?やらなくても良いんじゃないかなあ。
取り敢えず坊ちゃんを相手にして漫画家さんは守る方向だよね?
戦闘開始。
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