第85話ウィークリーマンションに引越し

駆除屋で早速IDとパスワードを打ち込み閲覧した。

「難しい。Sランクへのハッキングは時間がかかる。」

ハーミット様が言うにはパスワード持っている異能者がハッキングする可能性もあるからプロテクトがかなり厳重らしい。


「でも、まあ見てよ。シアン。」

シアンの欄は異能は拘束。ただし身体強化系異能者に弱い。

体術レベルA+、異能レベルB+。トータルAランク。

殺人鬼。身体能力が高い。

ヴァルヴァラの現在の従者。脳内チップ無し。ヴァルヴァラの異能効果が切れたら即対応して脳内チップを入れる事。


「なるほど。異能効果が切れるって言うのが気になるね。」

ボスがSランクを早く見たいと催促する。


「部屋。用意してよ。もう共同生活はきつい。」

俺達は1週間ヴェガさんの家に住ませて貰っているが。申し訳ないし部屋は共同で使ってベッドを並べている。


「ウィークリーマンション借りるか。」

後、2週間弱あるし。


「張さん。また詳しく決まったら連絡するよ。宜しく。」

元締めにお願いしてリオのヴェガさん家に戻ってきた。


「ただいま。ヴェガ。ウィークリーマンション斡旋してよ。」

帰宅するなりジハードがそう言った。

「え?!出ていくのか?待て待て。話は?競売は?」

ジハードは連絡していないのかヴェガさんはまだエンバスター家の本当の目論見を知らなかった。


「あっ。忘れてたね。後でゆっくり話すからさ。取り敢えず今はアルージャが1人でゆっくりハッキング出来る場所が必要なんだよ。」

ジハードは急かす様にヴェガさんに訴えた。


「はー。解ったよ。マーシェルファミリーの持ち物にあるから。お前達が協力する話はしてあるし。」

ヴェガさんはウィークリーマンションねーと言いながら携帯メールを打ち出した。


ディードはベッドを縮小中。

「何部屋?」

「俺はこの部屋で良いよ。」

ジハードがそう言うとヴェガさんは満足そうで

「俺はガブリエルの所へ行く。」

ディードはそうだろうと思ってた。

「ミナキと俺は部屋同じ。」

最低7部屋か。


裏競売の話をしながら待っているとガブリエルがやってきた。

「お久しぶりです。鍵持ってきました。」

マフィアの持ち物のウィークリーマンションはここから徒歩5分。そんな近くにあったのなら早く移動しても良かったんだろうけど。

でも、やっとボスも俺も落ち着いてきたんだよね。

当初はボスを1人にする事が出来ないくらいボスは落ち込んでいた。今も・・かもしれないけれど。どちらかと言うとやる気の方が強い。


ガブリエルのマンションも徒歩圏内だそうだ。

正直、俺もウェンも。ディードもジハードもボスに遠慮していた。いや?そう言う雰囲気な気分にすらならなかった。が正解かな。シアンの事でいっぱいいっぱい。


「ここだよ。入居者は今は居ないから。安心して。狭いけどね。」

ガブリエルの案内してくれたマンションはワンルームマンションだった。

仮住まいとしては充分だ。


各部屋に家電もあるし。


「じゃ、明日の昼に俺の部屋に来て。それまでに済ませる。」

ハーミット様がそう言って部屋に入っていった。

「では、今日はゆっくりしよう。」

ボスもそう言って部屋に入って行った。

少し、寂しそうな背中に見えた。

早く・・・。シアンを助けたいな。


「ミナキ。行こう。」

俺とウェンも部屋に入る。


ヴェガさんの家の近くにコンビニ、スーパーはあった。後で買いに行こう。


「正に1LDKだね。ベッドは隅に置くか。」

ディードの異能ってディードが解除するか時間で元に戻る。

強めにかけると数日効果がある。


今回は1時間くらいで戻るそうだ。

部屋の隅にミニチュアのベッドを置いてミニチュアのテーブルと椅子も台所の傍に置いた。

ソファも壁際に。


「暫く、床に座ろうか。」

「そうだね。変な引越しだねー。」

この光景。明らかに変だけど。これで一先ず終わりだ。

着替えの入ったトランクも床に置いて元に戻るのを待つ。


「ミナキ。やっと2人になれた。」

ウェンが切なそうな顔で見詰めてくる。

「うん。」


「ミナキがシアンの事ばかり考えるからちょっと妬けた。」

スっとウェンは俺の隣に来る。

確かにこの1週間そうだった。


一緒のベッドに寝ていても全然イチャイチャもしてないし。

2人っきりになる事も少なかった。


「ごめん。ずっと俺がもっと強ければって考えていた。」

ウェンがそっと肩を抱いてきた。

「俺ももっと強ければって思ったし。それはボスも皆同じ。」

久しぶりにウェンが近くに感じる。


優しさが肌を通して伝わる。


「我慢の限界が来た。」

ウェンが俺の頬を撫でる。

チュッとキスをされてそのまま絡む様なキス。

舌が熱い。久しぶりにしたキスは貪る様な激しいものだった。


「本当に・・。沢山、嫉妬した。」

ウェンの目は本気。

「俺のオーラは何色?」


「まだ濃いオレンジ・・・。」

不満そうな顔でそう言う。


「俺、浮気はしてない。ウェンが好き。ウェンが1番大好き。」

「解ってる。ミナキが優しいだけ。」


優しくて時折激しいキスは俺のシアンを護れなかった後悔の心を少しづつ溶かしてくれた。


「続きは夜ね?」

綺麗な赤いオーラになったと俺を満足そうにウェンは見つめる。


今夜は・・・激しそうだな。



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