第83話情報仕入れ。そして俺達は動き出す

「政府に殺人鬼シアンが捕まったので俺達はアマル・フィ滞在は安全では無いのですよ。そうです。はい。それは今は無理かも?少し考えます。はい。」

一夜明けてボスは再びエンバスターさんからの電話を受けている。


「タヌキ親父は誘って来たよ。戦争するってさ。」

ボスはクスクスと不敵な笑みを浮かべた。

断りは入れるつもりだけど上手く情報は仕入れないとね?

とハーミット様の顔を見た。

昨夜、ヴェガさんも戦争開始させる為の資金となるならと金印をオークションに賭ける事を了解してくれた。


「エンバスター家へのハッキング完了してるよ。」

ハーミット様はヴェガさんが了解してから直ぐにハッキングも電話回線盗聴まで仕掛けたらしい。


「競売は1週間後。それから武器を仕入れるとして?早くて2~3週間後かな?」

ハーミット様はエンバスター家のパソコン画面を見せてくれた。

プエル・トリコは島国なのか。


「国への侵入経路がお粗末だね。」

海から空からそれじゃ迎撃されるとボスは言った。

「張さんの異能も使えないよね。プエル・トリコは侵入経験ないだろうし。」

俺達もこっそり侵入はどうするんだろう。


「これはステルス機かな?」

ハーミット様が画面を切り替えた。

「あー。ステルス機だね。目視確認されるまでは無事だろうけど。かなり危険だよねー。」

ボスが苦笑。

「犠牲出す気だろ?1~2機は落として残りが侵入。子飼いの奴らも可哀想だな。」

ジハードがヴェガはどうやって侵入する気だ?と首を捻る。


ボスが元締めに電話を始めた。

「だーよねー。うん。張さんもヘルプ。OK?ありがとう。」

会話の内容でだいたい想像ついた。


「やはりプエル・トリコには行った経験なしだった。でも、着いてきてくれるってさ。帰りは直で帰れるね。」

ボスは嬉しそうに笑った後に真面目な顔をした。


「やっぱりどう考えてもこの計画は未完成過ぎる。」

「俺もそう思う。」

ボスの意見にハーミット様が大きく頷いていた。


「探れば?ねえ?ミナキ。」

ウェンが俺の肩をポンと叩いた。探る?


「なるほどエンバスター家の捜査しようか?」

ボスに言われて朱雀偵察か・・と頷いた。



・・・・・・・・・・・・・・


1週間後。裏競売当日。


あれから政府パソコンへの侵入を1度試みたがどうしても触手が多すぎて先に進む事が出来なかった。

現在、ハーミット様の意識専用の武器をエルーカさんに考えて作成して貰っている。


素手だとどうしても不利だ。しかし意識専用なんて出来るんだろうか?



元締めに転移させてもらい久しぶりのアマル・フィに到着。空気がリオとは違うなあ。


確認したくて懐かしい俺達のアジトのビルに来た。アジトはまだ売りには出さずにそのままだ。


「侵入形跡無し。シアンは何も話していないんだろうね。」

ボスがビルのセキュリティを確認した。


「シアンの虹彩認証は削除したからセキュリティを壊さないと中には入れないしね。」

ハーミット様が此処に隠しカメラ設置してた。とニヤっと笑いながら本当に小さな小型カメラを見せた。パソコンに繋ぐ。


「これエンバスター家の可愛がってるマフィアの奴らだな。俺達が居ないか確認しに来てる。」

何事も疑うおっさんだね?とハーミット様はウケる顔の奴らだと笑い出した。



「行こうか。情報収集と金儲け。」


俺達にとっても戦争開始だ。

エンバスター家に着くとVIP待遇の様に家に迎え入れられた。


「お待ちしておりました。カプリスの皆様。」

執事の様な方が今回はわざわざ地下へ案内してくれる。


地下競売場へ入ると俺達の入場でザワついた。


ジェームズ・エンバスターが競売前なのに挨拶に出向いて来るし。


「流石、カプリス諸君。漸く金印を手に入れた。ありがとうございます。」

ボスはニヤっと笑い

「いえいえ。どうぞ。本日のメインディッシュ?ですよね?」

とジェームズさんに金印を渡す。

目の色が変わった。

それは嬉しそうで企みを含んだ笑み。


「是非、これからの戦争にも参加して頂きたいですね。そのお力を貸して下さい。」

フフっと企んだ微笑み。

ボスはそれで?何をされるんですか?

と根掘り葉掘り聴き始めた。


「時間ですね。競売後にもう少しお話できますか?」

「ええ。勿論。」

ボスはジェームズさんが競売台へ向かう後ろ姿を見てもっと詳細を語って貰わないとねぇ?と微笑んだ。


「ミナキ。」

席に座るとボスが耳元で囁いた。朱雀偵察。

パソコンにも無い情報集めだよな。


朱雀は見えない様にして。


朱雀行ってこい!!


エンバスター家はやっぱり広いなあ。

警護者沢山。


見たいのはジェームズさんの部屋かな?

家の中を偵察して回る。1つ1つ部屋を確認。


朱雀はゴージャスな煌びやかな客間に入った。そこには何故かマフィアらしき人物が5人居た。裏競売には不参加?

子飼いの奴ら?


「プエル・トリコへの侵入部隊はまだ30人しか居ないのか?」


ん?侵入部隊?


朱雀をクルクルと浮遊させて話を聞いて見る事にした。


「後、20人は居ないと流石に政府に怪しまれるだろう。そこはジェームズ様の口の上手さで?」


「カプリスの奴らもプエル・トリコに回すとか言ってたぜ?でも、彼奴らはジ・バング部隊に欲しい。」


待て?ジ・バング部隊?

もう少し話してくれー!!


「カプリスはジェームズ様に本当に付き従って居ない。信用ならない。」


ああ。やっぱりマフィア反乱の舞台はジ・バングだよ!!

俺の記憶にプエル・トリコ何て国は無かったもん!


話を更に聞いているとやはりプエル・トリコに侵入させて政府異能者を集めた所にジ・バング占拠の計画。


俺、良い仕事したぞ!!

戻れ。朱雀。


声にまで集中したお陰で全然競売が頭に入って無かった。


金印のオークションが既に始まっていた。


結果は14億シェル。

もう当分働かなくて良いくらいの金額だ。


ボスも皆も満足そうだ。


「ミナキ。何か見えた?」

ウェンがそっと聞いて来た。

「うん。かなり重要な秘密をゲットしたよ。」

ボスがそれで良いとニヤリと微笑んだ。


競売の参加費用や落札した金の受け取り手数料が案外デカい事を今回知った。

1400万シェルも・・ぼったくりか。


競売後にジェームズさんは挨拶をし再び俺達の元へ寄ってきた。


「これで政府管轄国さえも侵入出来る証明がされた。君達のお陰だよ。」

ジェームズさんは腹黒い笑みを浮かべた。


「それで戦争なんですね?」

ボスは愛想良くジェームズさんと会話を続ける。


「プエル・トリコへは何時侵入するんですか?」

ボスは話に乗ってきたフリが上手い。


「2週間後の日曜日だよ。行ってくれるかい?」


ボスは愛想の良さは失わず

「侵入するマフィア次第ですね?流石に今、我々は政府に狙われていますから。」

と上手く躱す。

ジェームズさんが出したマフィア組織にイーヴェンデルタは含まれて居なかった。


やっぱり。


「もう少し人数が増えたら。御協力します。」

そう言って最終的にはジェームズさんの誘いを曖昧にしてその場を後にした。


「ミナキ。もう1回行け。」

ボスにそう言われもう一度朱雀を飛ばす。


地下競売場を出て1階に上がる俺達。


ジェームズさんはその後も他のマフィアを勧誘しまくっていた。

3つのマフィアの参加が確定した。


エンバスター家から離れた空き家からそのまま偵察を継続。


参加者が帰るとジェームズさんは客間に移動した。


「総勢60名以上がプエル・トリコに侵入してくれそうだよ。」

ケラケラとジェームズさんは笑い出した。


「囮は多い方が良いですね。ジェームズ様。」

マフィアの1人が不敵な笑みを浮かべる。


「一気にジ・バングを潰す。」

「そうだな。Sランクの居ない政府本部を叩き乗っ取る。」

意気込みを見せる奴ら。


「私がこの世界の支配者になる日も近い。」

ジェームズさんがそう言い放った。


そう。決戦はジ・バング。

2週間後だ。

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