第22話政府組織の異能者

多分、ウェンが光弾を溜めている筈。これが一番有効だと思う。

その後どうするか聞いてないけれど。


オーガって剣も使うけれど?魔法は?



って刀きたぁー!!セーフ。耐えろ俺の気力と異能!

あー。1分が長い。


ザザッ!!ノイズが聞こえた。

「お前はそのままで良い。」

ボスはそう言った。大丈夫。カプリスを信じているし。


――音速の光弾ソニックバレット――


ウェンの異能が発動した。光弾は1つ今まで見た中でも一番デカい。

そいつは戦闘機に向かう!


ドッゴーン!!

と凄い爆音がしたが戦闘機は破壊されていない。

いや、目的はシールドの破壊!


――縮小自在リダクション――


ディードさんも異能発動。

「クソ!デカ過ぎ!動き過ぎ!」

「もう一回!!!」

――縮小自在リダクション――


戦闘機のスピードが急に落ちた。ガクンッと前後に揺れている。

中の操縦者は危険を察知したのか地上へ降りて来た。


「クソ!すまん!オーガ!」

「お前も手伝え!この結界を破る!」


げげっ!!2人?!


その瞬間に脱出組が結界を抜け走り出した。

「何!!?」

追いかけ様とするもう1人の政府異能者にバックスレーさんが立ちはだかった。


「追わせねーよー!」

相手の攻撃をもろともせずバックスレーさんはニヤリと笑う。


「良し、第1弾成功。ミナキ、良く耐えた。」

任せておけ。とボスとジハード様が俺の肩を叩く。

良かった。

戦闘機は人が乗れないサイズくらいまで小型化し遠くに墜落した。


ボスとジハード様は結界を抜けてオーガの前に立った。

「やあ。遊ぼうか?」

ボスはニヤっと笑った。


「カプリスのボスじゃないか?殺ってやるよ!」

オーガの刀をボスは剣で受けた。

ボスは湾曲の短剣の二刀流だ。


「全くガキが舐めてんじゃねーよ。」

ボス、強い!

そしてジハード様も

「失礼して。殺らせていただきましょうかね?」

うん。俺の知ってるジハード様だ。敵には冷たい敬語で丁寧なんだけど怖い。


――重力操作グラビティ――

ジハード様の重力の異能が発動した。

「うぉ!!」

オーガが裏返った声を上げて膝を付いた。


ボスがニヤっと笑い剣を振り下ろした。


え?!ここで主人公死ぬ?

一瞬そう思ったが剣は受け止められた。


「そう簡単に殺られるかよ!」


――異能破棄デストロイ――


「異能無効化。ただし自分への攻撃のみに有効だね?」

ボスがそう言うとオーガがニヤっと笑った。

「うーん。ちょっと面倒なタイプだ。」

ボスはまだ異能技は使っていない。いや、オーガの能力では使っても意味が無いと解っているのか!

異能無効化それで四神の雷が効かなかったんだ。



「ミナキ。」

ウェンが突然耳元で囁く。

こんな状況なのにビクッとなってしまった。

「バカ。この草原の端から端まで結界張れる?壁状に。」

「壁?」

「そう。逃げる為に。数秒稼げたら大丈夫。」

距離は200メートル?くらいある。


「イメージだよ。」

そう言われて頷く。


「おりゃー!!!」

バックスレーさんが操縦者だった異能者を倒した。流石だ。やっぱりバックスレーさんは強いよ。

これ3対1なら勝てそうなのに。逃げるの?



「ほら、追っ手が来るから。早く。」

ウェンがそう言った瞬間にパトカーのサイレンが遠くから聞こえた。

リュート・・・。そしてもう1人か。


全く、危険察知能力が俺はまだ全然足りない。

3対3、ウェンを入れても3体4。確実性は無い。主人公2人は本当に強い。

それにタッグ組ませたら最悪だー!!



壁、壁、壁。イメージ。

壁ー?!

俺の脳内には万里の長城とベルリンの壁しか浮かんで来ない。

大丈夫か?


いや、待てよ。

「四神達!等間隔で横一列に並べ!!」


俺とウェンを囲んでいた支柱が一瞬でフッと消え

ドン!ドン!ドン!ドン!

激しい音を立てて草原を横切る様に立った。


――四神結界――

キラキラと光の壁が出来た。


「良し、出来でかした!」

ボスがそう叫びジハード様と2人はオーガの攻撃を避けて壁の中に入って来た。


「退却!!」

ボスの声に合わせて猛ダッシュ。


パトカーのサイレンが大きくなる頃には草原を抜けていた。


「見えた。あれだ!」

ボスが更に走れ!!と促した時に身体にガクンと普段がかかった。

四神が俺の元へ戻っている。


「結界が破られた・・・。」

はぁはぁ。何だこの疲労感。不味い。

早く走れない・・・。


「おらよ!!大丈夫か?行くぜー!!」

フラフラになった俺をバックスレーさんがヒョイっと小脇に抱えてそれはラガーマンの様に猛ダッシュ。俺はボールだな・・・。


やっぱりバックスレーさんはすげーや。


小型機に到着すると皆が嬉しそうに歓声をあげた。

そして、小型機に無事全員乗り込みすぐ様、離陸!


攻撃を受ける事も無く地上を離れた。

もうあの草原は遥か遠い彼方だ。


「良かった。」

護れた。本当に良かった。バックスレーさんの右腕も無事だし。


「ありがとよ。お前のお陰だ。」

バックスレーさんがニヤっと笑って頭をガシガシ撫でる。髪ぐちゃぐちゃだよ。

「こちらこそ。さっきはありがとう。」

固い握手を交わした。


座席に漸く座り込む。

立って飛行機を離陸するのは初めてだった。

あれ?エルーカさんは?

って操縦はエルーカさんなんだ!!すげー。


「皆、お疲れ様。良くやった。目的の宝石はコンプリート。」

ボスが嬉しそうに労いの言葉をかける。


機内の時計を見ると0時40分。本当にあっという間だったな。

でも、物凄く働いた。

「ミナキ。ありがとう。カプリスに入ってくれて本当に良かった。」

ボスと目が合ってめちゃくちゃ照れる。


「いえ。護れて良かったです。俺の役目が果たせて嬉しい!!」


イェーイ!!!わぁー!!と拍手とノリの良い歓声。

カプリス全員が嬉しそうで俺も嬉しい。


「しかし、厄介な奴らだったね。調べようか?あのオーガって名乗ってた奴。」

ハーミット様がそう言って許可も出ていないがパソコンを起動。


「そうだね。もう1人、リュートって警察官も頼む。シアンと戦ってた奴だ。」

ボスが少し不機嫌そうな顔をした。


「バックスレーと同じタイプの身体能力系異能者だったよ。」

シアンが眠そうに答える。

「そうみたいだな。シアンは少し休め。」

「悪いね。」

ボスとやり取りをしてシアンは目を閉じた。


リュートの力・・・。俺なんてシアンの拘束を解くことも出来なかったのに。

やっぱり主人公なだけあるよなあ。

しかし、異世界転移の日本人。


JUSTICE&を思い出す。お洒落や拘りじゃなかったんだな。ピアスと唇ピアスや舌ピアス。政府や警察官の強者の証。

そう言われていた筈。


そして、俺の心に何か引っかかっる記憶がある。

何だ?この違和感の様な?思い出した方が良い記憶。


「どうした?」

隣の席のウェンが俺の顔を覗き込む。


うう。照れるからぁ!!

「異能使い過ぎた。」

そう答えておいた。


「もう少ししたらアジト。飯も食えるし回復するよ。」

ウェンにそう言われてテンションが上がる。

本当のアジト!?

まだ見ぬカプリスのアジトかぁ。


一先ず、思い出すのは保留!アジトへレッツゴー!!

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