第23話カプリス本拠地

エバーステイ市があったのはエルドラド。


さてアジトは?

「アジトってどこの国?」

知っている所なのか?どうなのか。


「アマル・フィ共和国。」

アマル・フィ?うーん?イタリアのアマルフィでは無いんだろうな。

漫画でもそんな国の名前は知らない。そりゃそうか。アジト不明だったもんな。

「聞いても解らないねー。」

そう言うとだろうね?とウェンも苦笑する。


「政府組織の本拠地の隣の国なんだよ。敢えて近くに居るんだけど?バレないもんだね。」

ボスが会話に入ってきた。

「隣の国なんですね。また堂々としている。」

俺も苦笑してしまった。


「因みに政府組織の国はジ・パング。」

あー。ジ・パングね。それは記憶にある。

「ん?」

俺が頷くのでボスが首を傾げる。全く鋭い人だ。

「ジ・パングでは無いけどジパングって俺が居た世界の出身国日本が昔そう言う呼ばれ方していたんですよ。エルドラドって言うのも黄金郷って意味だったし。案外共通なのかな?と。」

まあ、正直な意見だ。


「へー?興味深いね。近くて一方通行な世界なのにね。」

一方通行・・・。そっか。やっぱり帰れないんだ。一瞬だが俺の顔が曇る。


「帰りたい?」

ウェンが少し寂し気な表情。

「ううん。カプリスに居たい!!」

そりゃ。親や友達とか置いて来たけれど。捜索願いとか出てるのかな?とかも考えちゃうけどね。

ウェンは大丈夫。この世界も楽しい事もある。と優しく慰める様に微笑む。

あぁ。もう。絶対、今、オーラ真っ赤だ。

バレバレだもんな。


そんな会話をする事、小一時間でアマル・フィ共和国へ到着した。


アマル・フィ共和国、首都アマル・フィがカプリスの本拠地だ。小型機は郊外の空き地に降りた。こう言う小型機を貸出して回収する商売もあるらしい。ボスは到着と業者にメールしていた。

そこからパルクールで最短ルートを行く事15分程度で街へ着いた。

「地上へ降りるよ。」

そう言われてビルの屋上から飛び降りる。

何かもうこう言うのが普通になって来た。


ここだよ!

そう言われて眺めるカプリス本拠地?!


隠れ家では無く堂々とした5階建てビル。

いや?マンション?外観の1階部分はシャッター閉まっているし。

「え?これ?」

思わずそう尋ねてしまった。

「うん。このビル全部うちね。」

入ってとボスが言う。

入口はシャッター横に扉があった。

セキュリティ万全のマンションタイプな感じ。


「虹彩認証システムなんだよね。後でミナキも登録しなきゃね。」

そう言ってボスはロック解除する。


「虹彩認証システム?凄いですね。」

感心していると指紋や顔だと戦闘で・・・ねえ?と苦笑された。

怪我とかあるからかな。ちょっとそんな怪我とかは負いたくない・・・。


ビルの中に入ると広いエントランス空間を車庫にしていた。車が3台。うち1台は全員乗れそうな小型バス。あとは2台は普通車だ。


「こっちね。エレベーターと階段。」

そう言われて奥へ。

「バックスレーが乗るとブザーが鳴るからエレベーターは普段はあまり使わないのよね。」

バニラさんがクスクスと笑った。

「そうなのよねぇ。」

エルーカさんもそれに頷いている。

確かに鳴るだろうな。バックスレーさんはそりゃ仕方なし!!と堂々としているし。


階段で最上階の5階へ上がった。

5階は扉が2つ。

「こっちがアジト。こっちは俺の部屋。」

ボスがそう言った。

やっぱりここに住んでるんだ!!

何かこう言うのって良い!!何かめちゃくちゃ良い!


アジトの鍵が開けられ

「お邪魔します!」

と言って入ると他人行儀過ぎるなあとディードさんに突っ込まれる。


本当に普通のマンションだ!!玄関は広く靴は脱ぐ様になっている。

廊下があり一部屋、そしてリビングルームとダイニングルーム。

「広い!!でも、ちらかってる!」

思わずそんな声が漏れてしまった。

想像していたアジトと全然違う。凄い生活感。

俺の言葉に皆、ゲラゲラ笑い出す。


「掃除しねーで出てきたからなー。」

バックスレーさん笑い過ぎ。でも、何と言うか居心地の良い空間。

うちの家のリビングより広いから30畳くらい?ダイニングキッチンルームも20畳ぐらいあるよ。

これはマンションの一番高い部屋をアジトにしてるのかな?

4LDKだな。思わず部屋数を数える。


「取り敢えず飯食おうか。体力回復、異能回復には飲み食い睡眠。」

ボスがそう言うとエルーカさんとバニラさんが冷蔵庫に向かった。

何か作る・・・?訳では無さそうだ。冷凍庫からレンジでチンするメニューが温め解凍され始めた。しかもレンジ2台あるし。

普通ならこんな時間に食べて寝たら太りそうだけれど。太らないんだろうねー。

現在夜中1時過ぎ。


ピザ3枚、山盛り炒飯、焼きおにぎりと言ったご飯もの。それにパスタやグラタン何かも次々とテーブルに並べられた。

取り皿やスプーンやフォーク何かは食器棚からラズやディードさんが出してくれた。


「ちゃんと残しておいてねー!」

エルーカさんが食べ始めるバックスレーさんやボスに突っ込みを入れている。

俺も腹減ったぁ。

グラスに入れて貰ったジュースを取り敢えず一気飲み。

「プハァー。美味い。」

食べなよと勧められていただきます。あー。焼きおにぎりが食えるとはね。食文化が日本寄りで有難い。

ダイニングテーブルは6人掛けで残りはソファとテーブルで11人余裕で食べれるスペースだ。


「ここのアジトの部屋使って寝て良いからね。」

ボスに言われて

「え?良いんですか?」

とテンションが上がる。


「2階はバックスレー、ジハード、シアン。3階はエルーカとバニラ、ディード、4階はラズ、ウェン、アルージャが住んでいる。まあ、誰かの部屋に住んでも良いしアジトでも良いし。」


皆と同じマンション住まいか。

何かホワホワと幸せ感がアップ。

「全員、仲良しなんですねー。」


「便利だしね。」

「前は別々のマンションや家に住んでいたけど同じビル内だと集合が楽。」

と合理的なんだと言っていたけれど絶対、仲良しなんだと思う。

ある意味シェアハウス!


住む所も職もゲット出来た。


安堵で更に飯食えそう。ピザも頬張りながら1人ニマっとしてしまった。


「明日ってもう今日か。今日は自由にして良いよ。明日はこの宝石を裏競売にかけるから付いておいで。」

ボスにそう言われて頷く。

「ちゃんと当配分するからね。」

お給料!!そうか。そうやって稼いでいるのか。

一気にお金持ちになりそう。


「ではお昼ご飯時にアジトに来るから今日はゆっくり休みなよ。」

ボスはお疲れ様!解散!と声を掛けた。

ご飯も食べて皆も疲れからか眠そうだ。


「じゃまた昼にー!」

全員を見送ってテーブルの使った皿を見る。


「う・・・。もう朝から洗お。」

アジトに住ませて貰うんだし掃除も俺が頑張ろうかな。

うんうん。

どの部屋使うかなあと物色。


各部屋は8~10畳ほどの広さでどの部屋にもベッドと布団のみ置いてあり特に変わり映えはしなかった。


何処でも良いか。

疲れもありめちゃくちゃ眠い。

風呂・・・。着替え無いや。

そう言えば俺の服はウェンの旅行鞄の中にある。

そう思っていた時にアジトの扉が開いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る